ごきげんようでござる!
今や女性型トランスフォーマーの代表格であるブラックウィドー(D-8、ブラックウィドー、1500円)も当初はタランス(D-4、タランス、1500円)と同じ金型の商品でカラーリングのみを変更した商品で、TVアニメ(CG作画)のプロポーションとは大きくイメージが違っていたでござる。
当時のトランスフォーマー商品全てに言える事でござるが、女性型トランスフォーマーといえど中性的なデザインで男・女どちらともに使えそうな商品だったでござる。 アニメ本編では女性らしく描かれていたりもするのでなんとなく女性に見えてしまうのが常だったでござるよな。 (笑)
しかし、1999年展開の「トランスフォーマー ビーストウォーズ メタルス」にて進化(メタルス化)したサイバトロン・妨害工作員
メタルス・ブラックウィドー(C-48、メタルス・ブラックウィドー、2500円)はトランスフォーマー玩具としては初めて女性らしさを強調して女性にしか見えないデザインで販売された商品でござる。
さて、本品は海外でも1999年に「トランスメタルス2」商品ブラックアラクニアとして先行販売された訳でござるが、日本版は外観上の違いが分りにくいでござるが、一部仕様が変更されており劇中後半のストーリーに合わせてサイバトロン側商品として販売されたでござる。
全体的に見てもCGデザインとよく似ており違和感が無いビーストモードでござるが・・・
トランスメタル2にパワーアップした姿とはいえ、メガサイズ商品の大きさには驚かされるでござる。 いや、ホント何故か昆虫系ビースト戦士はリアルサイズ以上に大型化されたりするでござる?
日本と異なる昆虫文化やB級巨大昆虫映画の影響も強いのか開発者の趣味なのか分らないでござるが、昆虫系ビースト戦士は優遇されているでござるよな。 (笑)
さて、本品はスパイダーフック(クモの糸)を伸ばしたりスパーククリスタルを回転させてデストンやサイバトロン仕様のスパーククリスタルに変更するギミックを備えており、トランスメタルス2らしい機械と生物の融合や左右非対称なデザインなどで個性を引き立たせているでござるが・・・ 何かオカシナ感じがするビーストモードでござる?
そう、クモの足は8本のはずでござるが、本品では10本あるように見えてしまう事でござる。
説明書ではロボットモードの腕は触角と記載されているでござるが大きすぎるのでござるよな?
なお、D-8版ブラックウィドーではロボットモードの腕はクモの牙だったでござる。
本品の場合はクモの牙も造形されており、更に触角(?)でござるから違和感を感じるのでござるよな? 言うなればアナザーモードとかアタックモードに近いような気がするデザインなのでござるよな?
そう、実は本品の場合、綺麗に収まらないでござるが触角を腹部に折りたたむ事が可能なのでござる!
コチラの方がビーストモードに相応しいデザインでござるが、如何したものでござろうか?
一応本品はTVアニメ終了後販売の商品になるのでCGアニメに近いように設計されているのでござるが・・・ CGアニメでも触角が出たままのデザインで描かれてしまい、本来はアタッモードであるはずのデザインが通常モードに変更されたのではないでござるかな?
しかも、本品を入手済みの御仁なら感じたであろうクモ腹部部分の車輪(回転軸?)や触手の取り付け構造等も本来であればヴィークルモードの変形に関係していたはずがコストカットで設計変更されたような気がする商品なのでござるよな?
う~む・・・ TVアニメ後半3話に登場しただけなので扱いが悪いのでござろうか?
ロボットモードは広げたクモの足と女性らしいプロポーションで神々しく見えるでござるが・・・
何か劇中のイメージと違うでござる?
そう、違和感の正体は劇中とは異なる巨大な肩アーマーと胸部アーマーでござる。
しかも、頭部塗装の関係で劇中とは異なる印象を受けるでござるよな?
なお、本品の胸部アーマーは海外初期販売品(?)では着脱可能で所謂トップレス状態になるのでござるが、日本販売では接着されたようでござる。
胸部造形はCGアニメのデザインで作られているので残念な気がするでござるが・・・ これって何処かの婦人団体からクレームが来たのでござろうか?
更に困った事に本品はビジュアル的には良くできた商品でござるが、腰部にスピンキックのアクションギミックを仕込み、背中の重量のお蔭で股関節部分のボールジョイントだけでは立たせられない欠点があるでござる・・・ 解決策としてはクモの足2本を補助脚として立たせる事ででござるが、クモの足もボールジョイントなので重量に負けてヘタってしまうでござる・・・
立たせるには根気が要る商品であるのが残念でござる。
しかも武器パーツであるスパイダーフックは自動巻取りのギミックが採用された為に糸を伸ばした状態で固定できず、腕にとりつけると自重で腕が上がらないなどボールジョイントの弱点を曝け出してしまった商品なのでござるよな・・・
素直にデラックスサイズで製作しておいたほうがよかったような気がするでござるよ。 (笑)
さて、メタルス・ブラックウィドーの設定は元々サイバトロン側のプロトフォームである彼女はタランスの仕掛けたシェル・プログラムにより、性格は常にトップを目指し他人を利用する自己中心的な性格で、完全にデストロン向きのキャラクターに仕上がってしまったでござる。
しかし、そこは適役女性キャラの特権で、サイバトロンのヒューザー戦士シルバーボルト(C-41、シルバーボルト、1800円)との恋心にゆれた結果、トランスメタル・ドライバーを使ってトランスメタルス2に進化し完全なサイバトロン戦士となった姿でござる。
故に性格も良くなったはずでござるが、デストロンに身を置いた事からの引け目か素直じゃないツンデレな性格になってしまっているでござる。 (笑)
なお、能力値はパワー(5)、知力(9)、スピード(7)、耐久力(8)、階級(5)、勇気(8)、火力(7)、テクニック(8)で設定されており、通常のトランスメタルスより強力なテレキネッシス・自己修復・空中浮揚などの超能力が使えるようになり、武器であるスパイダーフックの他にリストブレードやスピンキックによ格闘戦も得意でござる。
商品完成度としては不満があるものの、キャラクター設定を活かした商品設計は認めざるを得ないでござるよな。
そして、玩具オリジナルギミックのディフェンスモードも本品の特徴でござるが、上手く生かされていないギミックの一つでござる。
そう、ディフェンスモードは本来女性限定のギミックであったはずが、日本ではメタルス・エアラザー(C-45、メタルス・エアラザー、1800円)が男として扱われ、次回作の「ビーストマシーンズ」ではメガトロン様(BR-05、メガトロン、2999円)にも採用されてしまったでござるから意味をなくしてしまったでござる。
日本のアニメ的演出だとディフェンスモードはマント風(?)に描かれて戦闘時には展開して完全武装な姿を現すとかになりそうでござるが・・・ 劇中の描写は無いようでござる。
なお、ディフェンスモードの肩部分はミサイルであるらしいでござるが、発射ギミックや角度調整などは出来ないでござる? おそらくコレも企画時には何らかのギミックがあったと思われるでござる?
設計変更が惜しまれるでござるよな。
なお、トランスメタルに進化したブラックウィドー(海外名、ブラックアラクニア)の正当な商品は本品でござるが、実は1988年にマクドナルド・ハッピーミールの景品としてCGデザインとは異なるブラックアラクニア(日本未販売)が登場していたりするでござる。
TVアニメ放送前(?)のトランスメタルス化を前提としたデザインと更に女性らしいデザインを加えた変更は面白いものがあるでござるよな。
一応、メタルス・ブラックウィドーのおかげで女性らしい女性型トランスフォーマーの商品需要が見直された結果となったので、トランスフォーマー玩具史に残すべき商品でもあるでござるな。