平成24年度から一本化された埼玉県公立高等学校学力検査。3年目の今年も管理職にお願いして、英語実音テスト問題の音源CDを借り受け、分析をしてみた。
今回の分析ポイントも、前年度問題形式との比較。変更の有無、wpm*の確認である。計算ミスも見つかったので、3年分の比較表も作成した。
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3月3日(月)14時20分、英語学力検査の開始チャイムが鳴る。その数秒後「放送を聞いて答える問題」が始まる。この問題が終わらなければ、他の問題に手をつけることは、実質的に不可能なのは、昨年までと全く同じである。
平成26年度入試も、試験は全部で7問、求められる解答数が11である。
問題1から問題3
会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一、ヒントの図表がついている。
問題4と問題5
それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
問題6
TaroとLucyの会話を聞いて、三つの質問(日本語で掲出されている)に日本語で記述する問題である。
問題7
オーストラリアからの留学生Billのスピーチを聞き、その内容に対する質問を聞き取る。その答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一問題で、英文の答えが出ている。
基本的な構成は、昨年までと全く変更がない。
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使用音源
平成26年度 英語録音CD1枚
計時使用機材
WMP12と一般的なCDプレーヤーを使った。
計時はWMPによる。ストップウオッチも使用。
・・・毎年同じ作業である。
分析手順
①原始的だけど、語数とセンテンスの数をカウント。
・一昨年から1回の実施になった入試。状況はどうなったか。
②何度も聞き直し、wpmを計測する。
③問題~問題の間のポーズを計測する。
④はじめから、「以上で問題は終わりです」までの、実時間を計測する。
⑤去年と対比を行う。
①から④は手作業(耳作業)である。
・・・ここも昨年と同じである。
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以下、音源CD構成と計時データ
トラック1 音量調整のための放送
試験当日朝に試聴のために用いる。
(試験とは関係ない。)
トラック2 無音
トラック1をかけたままにしていると、しから(注意さ)れる。
(間違えて、問題を誤放送させない配慮。)
トラック構成も昨年度と同じである。
トラック3(0:26)
0:00- 「放送を聞いて答える問題」のアナウンス。
トラック4(1:22) 問題1
0:00- 問題1から問題3の解答方法の説明
0:24 問題1放送 1回目
0:44 問題1放送 1回目終了
0:46-48 問題1 Question1回目
0:53 問題1放送 2回目
1:13 問題1放送 2回目終了
1:16-18 問題1 Question2回目
問題1は、AとBの会話である。A→Bが2回。Kenが春休みについて解答している。20秒で話者2、総語数55語である。
このペースで会話が続いたとすると、20秒は1分の33.3%なので、55を0.33で割る。
165wpmとする。(160)
カッコ内は、H.25データである。以下同じ。
トラック5(1:12) 問題2
0:01 問題2放送 1回目
0:27 問題2放送 1回目終了
0:29-33 問題2 Question1回目
0:37 問題2放送 2回目
1:03 問題2放送 2回目終了
1:05-08 問題2 Question2回目
問題2も、AとBの会話である。A→Bが2回。TomとMasakoの会話である。Masakoの週末の予定について解答するもの。26秒で話者2、総語数72語。
このペースで会話が続いたとすると、26秒は1分の43.3%なので、72を0.43で割る。
166wpm(135:昨年計算を間違えたので修正。)
トラック6(0:42) 問題3
0:01 問題3放送 1回目
0:22 問題3放送 1回目終了
0:24-28 問題3 Question1回目
0:32 問題3放送 2回目
0:53 問題3放送 2回目終了
0:55-1:00 問題3 Question2回目
問題3も、AとBの会話。A→Bの回数も同じ。Akiraと母親の会話。Akiraがスピーチコンテストに出ることについて、母親と話をしている。21秒で話者2、総語数42語。
このペースで会話が続いたとすると、21秒は1分の35%なので、42を0.35で割る。
120wpm(141:昨年計算を間違えたので修正。)
トラック7(1:09) 問題4
0:01 問題4と問題5の解答方法の説明
0:22 説明終了
0:26 問題4放送 1回目
0:37 問題4放送 1回目終了
0:40-42 問題4 Question1回目
0:48 問題4放送 2回目
0:59 問題4放送 2回目終了
1:02-04 問題1 Question2回目
この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。11秒で話者1、総語数26語、センテンス数4。
このペースで発話が続いたとすると、11秒は1分の18.3%なので、26を0.18で割る。
144wpm(184:昨年計算を間違えたので修正。)
トラック8(0:57) 問題5
0:01 問題5放送 1回目
0:19 問題5放送 1回目終了
0:22-24 問題5 Question1回目
0:29 問題5放送 2回目
0:47 問題5放送 2回目終了
0:50-52 問題2 Question2回目
問題5も問題4と同じパターン。18秒で話者1、総語数43語、センテンス数4。
仮にこのペースで発話が続いたとすると、18秒は1分の30%なので、43を0.3で割る。
143wpm(152:昨年計算を間違えたので修正。)
トラック9(2:54) 問題6
0:01 問題6の解答方法の説明
0:13 説明終了
0:16 問題6放送 1回目
1:25 問題6放送 1回目終了
1:33 問題6放送 2回目
2:42 問題6放送 2回目終了
問題6は、最初の方にも書いたとおり、ToroとLucyの会話である。69秒。総語数173語、センテンス数27。会話のやりとりが16回である。Taro→Lucyが8回である。
このペースで会話が続いたとすると、69秒は1分の115%なので、173を1.15で割る。
150wpm(161)
なお、トラックの長さは2:54だが、録音は2:42で終わっている。最後の問題までの間10秒ちょっと空白になる。
トラック10(4:35) 問題7
0:01 問題7の解答方法の説明
0:22 説明終了
0:24 問題7放送 1回目
1:45 問題7放送 1回目終了
1:47-1:51 Question 1
2:00-2:04 Question 2
2:12-2:16 Question 3
2:25 問題7放送 2回目
3:46 問題7放送 2回目終了
3:48-3:52 Question 1
4:01-4:05 Question 2
4:13-4:17 Question 3
問題7は、オーストラリアから来た留学生Billのお別れスピーチ。そのスピーチを聞き、内容について答える問題である。81秒で話者1、総語数213語、センテンス数23。
このペースで会話が続いたとすると、81秒は1分の135%なので、213を1.35で割る。
157wpm(142)
なお、問題7(トラック10)の4:25のところで、「放送を聞いて答える問題」の終了が告げられる。午後2時20分の英語試験開始のチャイムから、ここまでが13分20秒である。残り試験時間が37分程度。
リスニングテストの配点は100点満点中28点である。
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WPM比較
Questions | H.24 | H.25 | H.26 | |
1 | words | 36 | 56 | 55 |
seconds | 13 | 21 | 20 | |
wpm | 166 | 160 | 165 | |
2 | words | 45 | 36 | 72 |
seconds | 20 | 16 | 26 | |
wpm | 135 | 135 | 166 | |
3 | words | 39 | 26 | 42 |
seconds | 16 | 11 | 21 | |
wpm | 146 | 141 | 120 | |
4 | words | 37 | 40 | 26 |
seconds | 14 | 13 | 11 | |
wpm | 158 | 184 | 141 | |
5 | words | 37 | 28 | 43 |
seconds | 14 | 11 | 18 | |
wpm | 158 | 152 | 143 | |
6 | words | 187 | 218 | 173 |
sentences | 22 | 35 | 27 | |
seconds | 73 | 81 | 69 | |
wpm | 153 | 161 | 150 | |
7 | words | 212 | 204 | 213 |
sentences | 18 | 21 | 19 | |
seconds | 79 | 86 | 81 | |
wpm | 161 | 142 | 157 |
words:語数
sentences:文の数
seconds:英語の流れた時間(単位:秒)
wpm:1分間でどのくらいの語数を聞き取ることになるか。
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【雑感】
毎年考えることなのだが、リスニング部分にとどまらず、入試問題の得点を見ることにより、いろいろなことが読み取れると思う。
ある学校の入学試験を受験する生徒(中学校で3年間学んだ生徒集団)が、一定の出題意図のもとに作成された試験を受ける。そして、正答率(得点)がわかる。僕が毎年実施しているリスニングテストwpmの分析のようなことをすれば、学問的な検証はやや自信がないが、確実に何らかの数字を得ることができる。
1分間にどれくらいの分量(長さ)の英文を聞き、どの程度の正答率なのか。それを知っていれば、それにみあったTeacher Talkが考えられる。定期考査にリスニング問題を加える場合、『入学から〇〇〇、この程度の分量が聞き取れてほしい』という前提で、それまでの授業も、考査もデザインできる。もちろん入試データは合格者の数字ではない。資料の扱い方には配慮が必要だ。でも、こんな考え方ができることが大事だと思う。
入試点数がものすごくいい学校でも、かなり点数が低い学校でも、目の前にいる生徒が、ある分野で何%の正答率なのか知っていることはわるいことではない。当該学校に入学してくる1年生集団の基礎データとして有用であると同時に、入学年度ごとの経年変化も見ることができる。英語であれば、Can-Doリスト作成のための基礎のデータ。生徒実体のアセスメントに使えるはずである。
なお、英語試験の平均点は今年を含めて以下のように推移している。
46.1(H.26)、53.7(H.25)、44.1(H.24)
やや振れ幅が大きいように思える。
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音声問題の音声データは、埼玉県総合教育センターウェブサイトで公開されている。(新しいウインドで開きます。)
http://www.center.spec.ed.jp/
(メニューの「入試情報・説明会案内」から)
・平成23年度~平成25年度のリスニング(音声問題)を公開中である。
平成26年度も公開になる。3年分の公開ということになれば、平成23年度のデータは削除(非開示)になる。興味のある人は早めに確認されたい。
・英語以外も公開中である。
今年も分析をするために、東京新聞ウェブサイトの『首都圏公立高校入試特集ページ』を参考にした。問題を見るのならば、このサイトを利用するといい。関東地方の公立高校入試問題を、PDFでアップロードしている非常によくできたサイトである。毎年使わせてもらっている。特記する。
アドレスはこちら。(新しいウインドで開きます。)
http://www.tokyo-np.co.jp/k-shiken/index.html
昨年のエントリはこちらです。
2013.05.08
「平成25年度埼玉県高校入試・英語リスニングテスト分析」
*このエントリにおけるwpmの出し方(考え方)については、以下を参照されたい。
2010.03.11
「wpm」