ニュースを見て、一瞬なんのことかわからなかった。
前に学校と爆弾の時も感じたんだけど、単語としては理解できても、頭の中で上手く意味を成すようにつながらない、理解できないことがある。僕にとって「無免許」という言葉は、つながるのは「運転」くらい。「無免許」and「医師」はややつながるかなって思う。でも、お医者さんに関しては、「ニセ医者」になるのであまり使わないよなあ。
公務員で教員だったりすると、今回の「無免許」の「教員」なんて、発生するはずがない採用システムだと思いこんでいる。採用試験時大学4年生だと卒業前なので、教員免許状は申請中(高校の教員免許状は大卒が基礎資格だから)になるけど、採用試験合格後の着任前校長面接、着任時の書類提出でも絶対わかるはず。そう思っているんだけど。
でも、無免許の教員が授業をしてしまった。
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【都立高の教壇に「無免許」教員、失職処分に】
東京都教委は25日、今年度新規採用した男性(28)が教員免許がないまま都立高校で数学を教えていたとして、今年4月1日にさかのぼって失職処分とした。
採用試験には合格していたが、都教委や学校は免許を確認していなかった。都教委は校長ら5人を文書訓告処分などとした。
都教委によると、男性は数年前に都内の4年制大学を卒業。今春、都立府中東高校(吾妻完一校長)に赴任した。大学では教職過程の単位の一部が未取得のままだったが、昨年秋の採用試験で男性は、「単位はすべて取っており、近く都教委に申請する」とうそをついて合格。その後、都教委では実際に免許の申請が出たかどうかの確認を怠っていた。
通常、合格者は3月末までに免許状を提出しなければならない。ところが、男性は今年3月の同校の副校長らの面接に対しても、「さらに免許を申請中」と虚偽を申告。学校側が都教委に問い合わせなかったため、男性はそのまま教壇に立つことになった。
しかし、8月になっても免許状が提出されないため、校長らが事情聴取したところ、「無免許」が発覚した。男性は「言い出す勇気がなかった」と話し、4月以降の給料も自主的に返還したという。男性は指導熱心で生徒に人気があったという。(05年8月26日 読売新聞)
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どうしても教壇に立ちたかったのだろうか、指導熱心で生徒に人気。。。でも、それとこれは別問題である。ブラックジャックじゃなんだから、無免許ではまずいのである。僕らは無免許ということはあってはならない職業である。システムマルファンクション(「仕組み」「ルール」の機能不全)がこわい。
この”先生”の件だって、少なくとも4月着任の段階で免許状の提出(事務方による確認)ができたはずである。通常は原本を事務室に持参し、コピーを作成して学校に保管するものである。出せなかったらおかしいのである。携行するものではない(かなり大きい)けど、持ってくるように指示すればすむことである。
(以前ソフマップの会員カード(ティーチャーカード)を作るとき、免許状見せてくださいといわれたことがある。運転免許と同じようなものと思っている人もいるけど、結構大きいものである。埼玉県は大きさがA4縦。。。話がずれました。)
教員免許状を取りたい者が、教職課程を受講して、問題なく単位が取れ、併せて教育実習も終えていれば、大学卒業時に教員免許状は大学が一括申請をしてくれるはず。卒業時ではない27、8歳になってから申請すること自体、それほど多いことではない。もちろん在学時に教職をとらず、卒業後通信教育で教職課程を履修し、免許を取得することはめずらしくはない。でも、これは少数である。「申請中…」が不自然なことは、管理職ならばわかるはずである。
教師がもしも教員免許状を紛失・盗難等にあった場合、警察に届けてからではないと再発行の申請すらできない。教壇に立つための基本的な資格である。どうして8月までごたごたしていたのだろう。
無免許が発覚したあと、4月以降の給料も自主返還をしたとのこと。4ヶ月分かな。当然夏のボーナスも出ている。新採用だと、二分の1ヶ月分くらいかな。でも、これですむことではない。公金横領にもなりかねないはず。
新聞も取り上げてはいないけど、この”先生”が教えた生徒の成績はどうなるのだろう。
生徒の成績は規則上最終決定権は学校長にある。しかしながら一学年何百人単位の生徒の、各教科科目の学習指導を校長ができるはずもないので、各教科の先生がそれを行い、よほどバカなことがなければそれを追認して生徒の成績は決まる。
1学期分何クラス分かわからないけど、本来教えてはいけない”先生”がつけた成績。校長が承認しているので法律問題はないとは思うけど、本来はあってはいけないことなのである。実態としてどんなもんなのかな。
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小さいこと、大切なことにガタが来ると、システム全体がおかしくなる。それが心配である。
ハインリッヒの法則を思い出した。1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏にはケガはないがひやっとした300件の体験がある。同じように、ビジネスにおける失敗発生率としても、これは活用されている。例えば1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレーム、苦情で明らかになった失敗がある。さらにその裏には、300件の社員が「しまった」と思っているが外部の苦情がないため見逃しているケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在する。
この無免許事件は1なのか、29なのか、それとも300なのか。
どれなんだ。