甲子園出場校の「旭川大学高校」が、来年度から「旭川志峰」に校名変更する。出場決定後のスポーツ新聞等の書き方である。この変更は、校名変更にとどまらない。
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同校の設置法人は「学校法人旭川大学」である。令和4年度、以下の学校園を設置・運営している。
①旭川大学、旭川大学大学院
②旭川大学短期大学部
③旭川大学高等学校
④旭川大学情報ビジネス専門学校
⑤旭川大学付属幼稚園
このうち大学・大学院、短期大学部の設置・運営が、 令和5年度から「公立大学法人旭川市立大学」になる。設置法人の変更である。
いろいろ調べてみた。
旭川市ウェブサイトに「公立大学法人旭川市立大学の設立の認可申請について(令和4年6月)」を読むと『 公立大学法人旭川市立大学の設置に向けて、令和4年第2回定例会において法人の定款等について議決を得て、令和4年6月22日付けで北海道に公立大学法人旭川市立大学の設立の認可申請をしました。』と掲出されている。
掲出資料『財産の出資(参考図を含む)』によれば、土地建物への出資として、以下のように記されている。
土地:681,510,000円
建物:637,460,000円
合計:1,318,970,000円(13億1897万円)
資料別紙に土地建物の詳細が示されているが、上記⑤の付属幼稚園の土地建物は含まれていない。大学付属幼稚園だが、「公立大学法人旭川市立大学」には移管されない。少なくとも土地建物は公立大学法人所有にならない。
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①から⑤の学校・園の名称は、令和5年度当初(おそらく)以下のようになる。
①旭川市立大学・同大学院
②旭川市立大学短期大学部
③旭川志峰高等学校
④新名称はおそらく「旭川大学」がつかない。
⑤ 〃
設置法人が「学校法人旭川大学」でなくなる①②は、旭川市立大学・同大学院、短期大学部になる。
③は名称に「付属」と付いていないが、旭川志峰高等学校に変更。④と⑤も設置者が「公立大学法人旭川市立大学」でないのだから、現名称は変更だと思う。
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なお「地方独立行政法人法(以下、「法」)」を読むと、以下のように定められている。
(大学附属の学校)
第七十七条の二
公立大学法人が設置する大学に、当該大学の教育研究上の目的を達成するため、定款で定めるところにより、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、幼保連携型認定こども園又は専修学校(次項において「学校」という。)を附属させて設置することができる。
2 設立団体の長は、前項の規定により公立大学法人が設置する学校に係るこの法律、他の法令又は設立団体の条例若しくは規則の規定に基づく事務を行うに当たり、必要と認めるときは、当該設立団体の教育委員会に対し、当該学校における学校教育に関する専門的事項について助言又は援助を求めることができる。
③④⑤の学校・園が第七十七条の二に該当するが、新公立大学法人には移管されない。『公立大学法人でない者は、その名称中に、公立大学法人という文字を用いてはならない。』(法68条2)とまで規定されている「公立大学法人」の設置運営する「旭川市立大学」と類似する名称を使うことは難しいと思われる。
令和5年度以降もなにかしらの関係(③と④,②と⑤)は残るかもしれない。現在の学校法人旭川大学が残るとしても、法人と学校・園の名称変更は避けられないだろう。
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令和4年度、「徳山大学」から「周南公立大学」設置認可のための「公立大学法人設置認可」「大学名称変更」「設置者変更」が認められたのは、昨年12月頃のこと。旭川市立大学もほぼ同じスケジュールですすものと思われる。
旭川市ウェブサイトに「旭川大学をベースとした公立大学の設置に係る附帯決議を踏まえた整理について」(令和2年10月、旭川市総合政策部)があり、わかる範囲で資料を読んでみた。大学・短期大学の学生充足率、効率化による将来予測も算出されていた。なかなか大変そうだと感じた。
大学等を引き継ぐ新法人も、高校等を運営する法人も、それぞれの設置学校園が大変な移行期を上手く乗り切れることを願いたい。