...少なくとも、公務員の倫理規定に触れるのではないか。
31日の読売、朝日等のニュースによれば、「三省堂」(東京)が検定中の中学英語の教科書を校長ら11人に見せ、謝礼金を渡した。謝礼は5万円とのことだ。
最初このニュースを見た時、正直目を疑った。金額もビックリだが、もらった「校長ら」の正気を疑った。何か裏が有るのではないか、そう思った。
備忘録として、まとめておこう。
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中学校の教科書採択は、個別の中学校・校長が最終決裁権限者ではない。先生たちや校長がどれほどどこかの教科書を使いたくても、それはできない。ただ、11人のうち5名が地元教委などの「調査員」に選ばれ、教科書の採択に関与する立場についている。これはただごとではすまない。
文部科学省は三省堂に対して、この件について、文書で厳重注意をしている。それですむのだろうか。
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検定中の教科書(通称「白表紙」)は、外部に見せることは許されない。それを見せること自体、ダメなはずである。朝日の記事によれば、三省堂が開催した「編集会議」は昨年8月23日に開かれた。
参加したのは以下の府県の「校長ら」である。
青森県、埼玉県、山梨県、長野県、岐阜県、京都府
大阪府、兵庫県、奈良県、福岡県、大分県
場所は都内のホテル。「会議」後、2時間ほど立食形式の懇親会。ビールやワインなどが提供された。
三省堂は校長ら全員に5万円を「編集手当」として支給。交通費、宿泊代、懇親会費も負担。一部の参加者と開いた「2次会」費用も、三省堂が負担。飲食した代金の大半を支払う。
これまでに9人が5万円を返却したとのことだが、それですむ問題ではない。
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昨年8月23日は土曜日である。土日の会議のようだ。
「校長ら」は、どのような服務で東京に来たのだろう。出張、それとも私用あつかいか。
前者の場合、交通費その他の処理はどうなっているのだろう。三省堂から交通費、宿泊代として支払われている以上、会計上先方負担金の処理がなされているはずだ。もしそうでないとすると、これはまずいことになる。後者ならば一切お構いなしかというと、そうとも思えない。利害関係者である教科書作成会社の人間と、飲食をともにするのはやはりダメだろう。
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埼玉県の中学校長で、英語の教科関係、教科書関係の先生。探せばすぐわかると思っていたら、埼玉新聞に現在川口市の中学校で校長をしていると書かれていた。
この校長は、主催者が三省堂であることや、白表紙を見せられることも、事前には知らなかったと市教委調査に答えている。会議の会場で交通費(1千円)を受け取り、懇親会にも出席。謝礼は1度受け取ったが、封筒の中に5万円が入っていたため、その場で返却したとのこと。これだけだと、何だか被害者(だまし討ち)のようにも思えるが、その言い分を周りが信用、納得してくれるかどうかは、別問題である。
困ったことである。