アメリカ在住の芥川賞作家・米谷ふみ子さんのエッセイはとても歯切れがよい
今日読んだ新聞に、1986年に『過越しの祭』(新潮社刊)で芥川賞を受賞した作家であり画家でもある 、アメリカ在住の米谷ふみさんが、「最近日本を訪れて考えたこと 『叱られるかも知れませんが』」と題するエッセイが掲載されている。さすがアメリカ暮らしが長いだけに、歯切れがよくはっきりと思いを書かれていて、とても気持ちがいい。
「サイン会の会場で、40歳くらいの元気そうな女性が私に、『握手をしてさせてくださいませんか?米谷さんの元気を貰いたいから』とったので驚いた。そんなのアメリカではないからだ。『私は、78歳なのよ。元気なんてありませんよ。あなたの方がずっとお若いのに何を言うてるんですか?元気くらい自分で出しなさい。人に頼りなさんな!』と、つい言ってしまった。(中略)今若い人々が、または日本人全体がこうなのか分からないが、何でも誰かしてくれるだろうと人頼みの風潮がある」。 私も、自分自身で元気にならなければと、自戒した。
そして、エッセイの最後には、オリンピックの東京招致についても書いている。「この景気の悪い時にどうして東京でしたいのかわからない」と書き、これまで開催した都市の莫大な費用負担に触れて、「オリンピックが若者を鼓舞するためと言っても、庶民は税金を搾られることになり、オリンピックに関係のない若者に付けが回り、鼓舞することにはならない」。まさに同感である。そのオリンピックの2016年の開催都市が今晩決まる。