tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融資産を残すという失敗

2012年11月04日 09時56分39秒 | 経済
金融資産を残すという失敗
 日本人は、基本的に貯蓄に励む国民のようです。基本的に、「アリ型」です。「キリギリス型」には、なかなか、なれないようです。こうして日本人は世界も驚く1400兆円の個人貯蓄を積み上げてきました。

 価値の保蔵には何が便利か、といえば、それは「貨幣」です。もっとも使い勝手がいいからです。かつて「土光臨調」の際、土光さんは「子孫に借金を残すな」と言われました。
 確かに国債は政府にとっては借金ですが、国民にとっては「資産」です。そして日本国トータルとしては、巨大な貯蓄を積み上げて来ていたのです。土光臨調の問題は、国内問題で、官公と民間との配分アンバランスという問題だったのです。

 政府が借りて使ったとはいえ、国民は巨大な資産を積み上げてきましたが、それは、もっとも使い勝手がいい「金融資産」という形でした。
 しかし、残念ながら、自分に使い勝手がいいものは、他人にも使い勝手がいいのです。そして、日本の巨大な貯蓄は世界から狙われるという結果になってしまいました。

 お人好しの金持ちは、親類・縁者、知人などにたかられたり、怪しげな投資業者や振り込め詐欺に狙われたりするのです。国際投機資本が跳梁跋扈し、通貨価値が市場で大幅に変動するような経済社会では、金融資産を保有することは決して安全ではありません。安全とばかり信じていた、お人好しの日本人は、大失敗をすることになったのです。

 皆さんも、お手持ちの金融資産が、どんどん目減りしていくのをご経験ではないでしょうか。株も投資信託も値下がり、銀行預金はペイオフ、頼みの国債は紙屑になるなどと脅かされています。
 日本国としても、金融資産で保有することは決して安全・確実ではなかったのです。それどころか、カネは災いの元だったのかもしれません。

 しかし、日本政府も日銀も、アメリカを始め世界が日本の蓄積資産を狙うなどとは考えもしませんでした。政府は円切り上げを鷹揚に認め、日銀は、国内インフレの防止だけを考えてきたようです。

 その結果、日本は、円高不良債券の購入マネーゲームの失敗、対外投資のカントリーリスクなどなどで、蓄積資産の目減りだけではなく、経済成長実現のための経済社会体制や国民の意識まで毀損することになりました。
 まさに「カネは災いのもと」です。ならばどうしたらいいのでしょうか。