tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済成長の回復と投資分野

2012年11月21日 15時11分34秒 | 経済
経済成長の回復と投資分野
 総選挙への舌戦が始まる中で、安倍さんの金融緩和論が現実の効果をもたらしています。2~3パーセントのインフレターゲットを掲げて、無制限な建設国債の日銀直接引き受けを、という発言は、国際投機資本への当面の影響はあったようです。ドル/円は81円30銭あたりで、後は様子見のようですが、日経平均も連騰、流行のマネー経済の性質が丸見えです。そうした性質を巧く利用するのが勝ちということかもしれません

 日銀の神経質な反論にもびっくりですが、そんな根回しもない発言なのかということにもびっくりです。 
金融さえ緩めれば、インフレになるというのが、正しいかどうかは別として、問題は円高是正なのですから円安効果のあることは大いに利用すべきでしょう。
 その上で、本当の日本経済の再建政策は着実に確りと舵取りをするのがいいようです。

 現実には、建設国債を日銀に引き受けさせると言葉では言っても、実際にそれをするまでには、かなり「余裕」があるのではないかと思っています。というのは、日銀が買う前に、まだまだ国民が自力で引き受ける力があるように感じるからです。

 貿易収支が月により赤字になったりしていますが、経常収支で見れば、今年度も多分何兆円かの黒字というのが日本経済でしょう。復興国債が引き受けられ、赤字国債法案が通っても、まだ経常黒字が出るのなら、建設国債発行で経常黒字を吸収すればよいと思っています。日銀の無制限引き受けは、当分、アナウンスメント効果の段階でしょう。

 ところで、建設国債を活用しなければならないと思われる分野はいくらでもあります。日本国内各所で、橋梁や道路などの基本インフラの老朽化が指摘されているようです。現在活用されている基礎インフラの老朽化は大問題です。耐震対策の遅れも頻繁に指摘されています。

 新規に何か建設する方が格好良くて目立つでしょう、しかし要らないものを作って、維持費ばかりかかり、役人の天下り先確保などと批判されるのではない、本当に必要な投資分野は、いくらでもあるでしょう。
 金融資産として残し、アメリカに貸したりして目減りさせるカネがあるならば、耐久性のある強靭なインフラという実物資産として、子孫に残すことの方を出来るだけ選択すべきでしょう。

 さらに余裕があれば、初期投資はかかるが、後からは低コストで利用効果の高い、再生可能エネルギーのための設備、さらに進めば、そのために必要な研究開発投資などの形で着実に子孫に「発展する日本経済の形」を残すことを選択すべきでしょう。
 日本経済が順調に回れば、従来であれば、年に10兆円とか20兆円とかの経常黒字が出ていました。多分現実に日銀に頼ることはないでしょう

 そこまで行くのに最低限必要な「円高阻止」実現のために当面必要ならば、言い換えれば、国際投機資本の日本に対する見方を変えるために必要ならば、言葉のアヤもあり得ます。
 日本経済が経常黒字を出さない(GDPを使い切る)しかも酷いインフレなどを招かない健全な状態に上手に繋げることは、改めて円レートが正常に近づいた時に考えればいいでしょう。日本の場合、それはそんなに難しいことではないはずです。