tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円レートの安定で企業は安心して投資

2012年11月28日 11時54分55秒 | 経営
円レートの安定で企業は安心して投資
 日本の企業へのアンケートで「経営計画をお作りですか」と聞くとだいたい8割の企業から「作っています」という答えが返って来ていました。おそらく今もそうでしょうが、同時に「経営計画が立てにくい時代だ」という感想が付くのではないでしょうか。

 もちろん経営計画には、大変精緻なものから、「それなりのもの」までいろいろあるでしょう。立てていないと答えて居られるところでも、経営者の頭の中には何か目標があるはずです。
 目標がなくて経営をするというのは、登る山を決めないで、歩きはじめるようなもので、どちらに歩いていくべきか解らないはずです。

 ところで、山に登るといっても高尾山からエヴェレストまであります。当然自分の力に応じて目標の山を決めるのですが、さて企業が、経営目標を決める場合、今の国際化した企業環境の中で、自らの力を知り、次はこの製品を主力に育てようと考え、そのためのR&Dや生産設備、市場開拓への投資を決めます。

 その際、その生産や販売が始まる2年後あるいは3年後、5年後、円レートが90円なのか、80円なのか、70円なのか、60円なのか、はたまたどなたかが言われる様に50円にまで円高になっているのか、解らなかったら、思い切った投資が出来るでしょうか。

 今の日本企業の置かれた情勢は、まさにこうした不安定な状況そのものです。勢い、企業は本格的な投資には躊躇することになり、短期的な投資をして後は様子見ということにならざるを得ません。
 
 日本経済の、競争力、成長力は、基本的には、企業の技術開発、設備投資、市場開拓に依存します。そのいずれもが、円高によって、大きく影響を受け、20年以上にわたり苦杯をなめ続けてきたのですから、企業が消極的になるのは当然で、その結果として、日本経済がマイナス成長を続け、次第に縮小するのも、まさに当然です。

 企業が消極的になり、経済が成長しなければ、雇用は増えません。 賃金も増えません。国民の意識は低迷、諦めムード蔓延、社会は次第に劣化、わけも解らないような犯罪が多発します。こうして社会は劣化は進むのです。

 従来超優良企業と言われた所でも、利益が減り、賃金が減り、雇用も減り、正規雇用は賃金の安い非正規に置き換わり、日本経済自体がじりじりと縮小する中で、医療、介護、年金といった社会保障にしても、環境問題にしても、政府の言う国民生活の向上にしても、どこに財源を求めるのでしょうか。国民の懐を当てにした増税でしょうか。経済が縮小する中ではできることは限られています。

 今回の選挙では、すべての政党が異口同音に、国際社会に向かって、為替レートの安定を主張するぐらいの気概を持ちたいものです。いま日本の抱える問題の根本原因は、日本国内にあるのではないのです。