tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

株式市場の乱高下と実体経済

2015年01月18日 09時59分31秒 | 経済
株式市場の乱高下と実体経済
 アメリカの異次元金融緩和の後始末も次第に終盤に入り、金利の引き上げを視野に入れた仕上げの段階に入るということでしょうか。
 
 経済評論家もマスコミも、アメリカ経済は力強い動きをしているといった言い方をしていますが、アメリカ経済が活発に動けば動くほど、経常赤字が増加するという背後にある事情に触れる解説はあまり聞きません。

 赤字は外国からファイナンスするしかありません。しかしリーマンショック以来、アメリカの証券は信用力を失墜しています。金融工学も馬脚をあらわしてしまいました。
 アキレス腱を庇いつつ、これからアメリカはどうするのでしょうか。

 翻って日本はどうかと言えば、アメリカに倣った異次元金融緩和を未だ続けています。日本経済が成長軌道に乗れば、矢張り金融の正常化を進めなければなりません。
 日本の場合、政府は借金まみれですが、国としては黒字国です。国民の合意さえ得られれば、国内で解決出来ます。国内政治の問題です。

 われわれ国民にとって、もちろんこれは大問題ですが、経済に元気が出れば、政府も国民も本気で考え、取り組みの具体策に真剣になっていくでしょう。日本人の真面目さと思慮深さがそうさせると思います。

 われわれは結局のところ、われわれの生産するGDPの範囲で暮らしていくことしかできないのです。GDPという付加価値を、企業の労使が、また、政府と民間が、どう分け合うか、最適な分配を模索することが、単純に言えば、経済政策のすべてでしょう。

 この経済政策の原点をしっかり理解していないと、GDP以上の生活が出来ると錯覚して赤字国に転落します。ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなど、EUを揺るがした問題の原因もそれですし、今日の世界経済不安定の大きな原因も、アメリカが万年赤字国だということです。

 実体経済の赤字をファイナンスするためには資本収支で埋めるしかありません。マネーマーケット盛況はその結果でしょう。マネーゲームには相場の変動が必要です。当然株式市況も乱高下しなければなりません。

 実体経済とほとんど無関係なマネーマーケットの変動に一喜一憂することなく、実体経済の健全な活性化に注力することが、皮肉にも、最終的にはマネーマーケットで勝利することにもなるというのが、歴史の経験のようです。