tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本の実体経済、その強さと弱さ4<全体的見地から>

2015年01月27日 09時53分46秒 | 経済
日本の実体経済、その強さと弱さ4<全体的見地から>
 労使関係のバランス「労働分配率」と官民関係のバランス「国民負担率」と実体経済の関係を見て来ました。
 まとめとして、国民経済の最も基本的はバランスである国際収支のバランス「経常収支」も加えて、総合的な関係を見ておきましょう。

 一国の経常収支は、「その国が、GDPの範囲で暮らしているか、GDP以上の暮らしをしているか」を示す数字です。
 GDP以上の生活をしていれば、国の経済は赤字となり、赤字分は、どこからか借金しなければならないことになります。

 家計(夫婦共働き)に例えてみれば、「労働分配率」は家族(夫婦と子供)の消費生活のためにどれだけ使っているかということで、余った分は将来の子供の学費、老後費用、家の建て替えなどのための貯金になります。「消費+貯蓄=収入」です。

 国民負担率は父親や母親が家庭を維持するために支出する費用で、政府、地方自治体、町会、等の税金や費用から、父親・母親が「家族のために」使わなければならない家の体面を保つための費用ということになりましょう。父親の交際費も入るかもしれません。

 将来への備えのない家計(高すぎる労働分配率)は、貯蓄過小で何かあると借金しなければなりません。借金出来なければ、家族の将来に問題が生じます。
 通常、家庭の親は自分の経費は節約して家族のためにお金を使います(小さな政府)。親が「家庭を維持するためには経費が掛かるのだ」と言って金を沢山使うと(高い国民負担率)家族は貧しくなります。

 こうした活動が、父親、母親の稼ぎの中で収まっていれば、家計自体は赤字になりません。稼ぎをはみ出すと、親戚や知人、あるいは銀行、さらにサラ金から借金しなければならなくなります(国の経常収支赤字)です。

 日本の場合はどうでしょうか。親(政府)は「家庭の維持には経費がかかる」と言って金を使います。幸い子供(国民)が倹約で貯金をしていましたから「それを貸しなさい」と言って借りています(国債発行)。
 家計としては赤字になっていませんが、家の中の分配関係は改善しないといけないようです。

 今回のギリシャの場合などは、生活費が収入を上回っていたので、父親が「もっと倹約しないと我が家は潰れる」と言って、倹約を始め、やっと赤字が出なくなって「よし、これからも頑張ろう」と言っていたところ。家族が「こんな倹約生活はもう御免だ。オヤジの頭を元に戻せ」と言って選挙で野党が勝ったという図柄でしょう。

 家計そのものが赤字という場合は早く何とかしなければいけませんが、日本のように、家計は現状黒字でも「子供が黒字」「親は赤字」と言う状態では、これをあまり長く続けるわけにはいきません。

 「和を以て貴しと為す」と、日本は昔からバランスを貴ぶ国です。自然そのもの、地球も宇宙全体もそうですが、アンバランス、インバランスは長くは続きません。
 日本人は改めてバランス感覚に磨きをかける必要があるようです。「過ぎたるは及ばざるがごとし」「無理が通れば道理が引っ込む」「三方一両損」「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う」などなど、古来、日本には、バランス感覚を原点にしたいろいろな諺もあります。