tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

変わらぬ節約志向、消費者物価と消費支出(2016/11)

2016年12月27日 14時41分05秒 | 経済
変わらぬ節約志向、消費者物価と消費支出(2016/11)
 クリスマスも静かに過ぎて、せわしない年末、そして希望に満ちた年明けといいたいところですが、いろいろな意味で先行きの見えない中での年末年始の様相です。

 勤勉に働き、真面目に行動する日本人ですが、このところ、経済も社会も何か沈滞気味です。
 企業業績はそれなりに良好な状態を続けていますし、経常収支は大幅黒字を続ける日本、求人倍率は空前の高さで、失業率の3%程度で世界最低レベル、外国から見れば、日本ほど健全な経済の国はないと言われそうですが、この沈滞はどこから来るのでしょう。

 11月の消費者物価指数が発表されました。マスコミは生鮮食品を除く指数は前年同月比で、-0.4%の下落で下落は9か月連続などと書いて、物価は下がり続けのように言いますが、実体はどうなのでしょうか。

 総合指数は前年同月比0.5%の上昇で、引き上げたのは生鮮食品です。秋の長雨で前年同月比21.6%も上がっています。しかしこれは一時的なものですからこれを除けば、マスコミ報道のようにマイナス0.4%です。

 消費者物価を引き下げている要因は電力・ガス料金、交通通信(特に携帯電話)、住居、家具家事用品(家電)で、保健医療、教育、教養娯楽、雑費などは上昇、といった状況です。

 これを総じてみれば、生鮮食品は上がったが、海外資源価格(原油など)の値下がりでエネルギー関連は下がり、家電(特にテレビ)も下がり、上がっているのは、人件費が主要コストであるサービス関係、特に教育関連が上昇、といったところでしょう。

 総務省の総括表では、「総合物価」は0.5%の上昇、「生鮮食品を除く総合」は0.4%の下落、更に低下気味の「海外エネルギー価格」も除いた「食料(除酒類)・エネルギーを除く総合」は0.1%の上昇となっています。

 生鮮食料はお天気次第、エネルギーは海外次第で、これから上がりそうす。では、日本経済自体の生み出すインフレ率はどうなのかといいますと、「食料(除酒類)・エネルギーを除くと0.1%の上昇」というのがそれに当たります。

 デフレではなく、ホームメイド・インフレは極小で、生活者には有難い状態という事ではないでしょうか。
 それなのに、「日本経済で最も不振なのが消費支出」という現状が、同じく総務省の家計調査(11月分速報)で27日発表されました。

 それによりますと、勤労者世帯の実収入は名目で。1.6%の上昇、実質で1.0%の上昇になりましたが、消費支出は名目で‐0.3%、実質で‐0.9%とマイナスで、その結果、平均消費性向は、83.6%と前年同月の85.5%から1.9ポイントの下落(7か月連続の下落)になっています。

 繰り返し触れているところですが、国民が「収入が増えても消費しない」という節約志向になってしまう原因を、政府が本気で、国民と共に考えるようにならないと、今日の日本経済沈滞の問題は解決しないのでしょう。