アメリカのインフレが収まってきてアメリカの消費者物価指数の観測をやめていましたが、久しぶりに昨日のブログでアメリカの消費者物価指数の動きを見ました。
日本の消費者物価指数の動きは、ずっと追い続けています。
アメリカの消費者物価指数の動きを久しぶりで見たのは、FRBが雇用の統計と消費者物価指数の統計に極めて敏感で、それによって政策金利の下げ幅を決めようとしているからです。
雇用の増加が大きければ、求人難から賃金上昇の可能性が高い、賃金が上昇すれば、それは物価を押し上げる圧力になり、賃金・物価のスパイラルの可能性が出てくる。
賃金インフレの激化は絶対に避けなければならないということで、金利引き上げを続けて来て、やっとインフレが収まって来たと見ているのに、ここでまたインフレでは困るというのはFRBにとっては当然でしょう。
インフレが上手く収まれば、0.5ポイント政策金利の引き下げで景気を刺激、未だインフレの兆候があれば0.25ポイントにするかといった具合に、景気は悪くしたくないが、インフレになるのも困るというのが悩みでしょう。
その決定会議であるFOMCの関係者の中にも0.5ポイント支持と0.25ポイント支持がいるようで、それぞれの発言をするもですから、どちらに賭けるかという国際投機筋の動きもあって、世界中が右往左往です。
というわけで、アメリカの消費者物価指数の動きを見ますと昨日のブログのように物の値段は下がりサービス料金は上がっていますから、物価上昇は人件費つまり賃金の上昇が主因ということが解ります。
多分FRBは賃金の上昇が消費者物価指数を2%以上押し上げるようなら、政策金利の引き下げ幅は小さくし、賃金上昇がぶり返さないようならば、インフレはひどくならないから少し大幅に金利を下げて景気のテコ入れをと考えているのでしょう。
ところで日本の場合はどうでしょうか、日本では賃上げは春闘方式ですから、今年の分はもう決まっていて、変化するのはボーナスと残業ですから、消費者物価指数への影響はもうほぼ決まっているのです。’ボーナス・残業は変動費のような部分ですから消費者物価指数にはあまり影響はないでしょう)
春闘の結果は多少高めでしたがそれが賃金インフレを起こすようなものでないことはほぼ読めていて、実質賃金の対前年同月マイナスが消えるかどうかぐらいでしょう。
アメリカならインフレの心配はないから金利大幅下げでもいいかなという状況ですが、日本の問題はアメリカとは全く違って、ゼロ金利で人手が不足でも賃金が上がらないという病気ですからFRBのような金利政策の打ちようがありません。
代わりに金融正常化という経済学の基本問題が日銀の課題ですが、雇用情勢と賃金の関係が経済学の法則通り動かないという病気が治らないと、金融政策は半分しか意味を持たないのです。
人手不足になれば、賃金が上がって、インフレになり、インフレ抑制が必要になって金利を上げる、金利を上げれば不況になって、人手不足が解消するから賃金が上がらなくなりインフレは収まる。そこで金利を下げれば企業活動は活発になって、人手不足になって賃金が上昇しインフレになる、そこでインフレをおさえ・・・、という循環の山と谷を出来るだけ平準化するという金利政策の役割が回らないのです。
これを直すためには何が必要かですが、必要なことはもうお判りでしょう、人手不足になったら、企業は賃金を引き上げて、物価も上げることです。
アメリカでは,労働運動が賃上げをやりますが日本では労働運動がやらないので、企業がやらなければなりません。
そうすれば副産物として、家計の消費支出が増えて、今一番困っている「消費支出の伸び悩み」も解決し、少しインフレになって、日本経済の順調に回るようになるでしょう。