tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカ経済は落ち着いてきたようですが

2024年09月07日 13時59分23秒 | 経済

アメリカでも日本でも投機筋などが特に注目をしていた8月の非農業雇用者数の増加が6日(日本の昨夜)発表になりました。

数字そのものは14.2万人増と結構な数字ですが、マスコミの報道では数字などは書かずに「市場の予想より低かった」とだけ書いているところもありますように、市場の予想に比べて高いか低いかが問題だったようです。

市場の予想はたいていが投機筋の調査機関などによるものです。投機筋は、FRBが9月に利下げをすることを望んでいて、それもパウエル議長が以前言っていた0.25%ではなくて0.5%の方が景気刺激、株価上昇の環境としてはいいわけですから、多少高めの予想をしたくなるでしょう。

失業率の方は4.3%まで行ったのが4.2%に下がってきて、アメリカの雇用情勢が悪化とはいえないようですが、これで一応9月の政策金利の引き下げが大幅(0.5%)になる確率が高くなったということで満足でしょう。

日本にしてみれば、アメリカがより大幅な金利の引き下げの可能性ということで、円高が141円台まで進み、この間までの日経平均40000円越えの騒ぎは当面「過去の話」となりそううで、すべてはアメリカのご都合次第ということです。

アメリカ政府としても、ドル高は都合のいい面もありますが、株価の上昇は大統領選の最中でもありアメリカ経済は順調と言うためにも歓迎でしょう。

前FRB議長で現財務長官のイエレンさんは、雇用の伸びも順調、失業率は低下でアメリカの雇用は健全という見方をしているようです。

それでは日本の方はどうかと言いますと、日経平均40000円で止まらず、50000円もあるなどといった、ついこの間までの論調は何処へやら、円高が140円で止まるのか、アメリカの年内の更に0.5%引き下げもあるなどの論調に対して、日銀も利下げで対抗などという余地もないので、甘んじて投機筋の作る円高を受け入れということになるのでしょう。

思い起こせば、りーマンショックの時も、アメリカのゼロ金利で円レートは80円になり、日本経済に生死の境の数年間を齎しました。アメリカの金利政策は恐ろしいです。

今回は、アメリカが勝手に賃金インフレをやってFRBはその抑制に政策金利の引き上げを重ねた結果投機筋はここぞと円安を演出、日本株を異常に吊り上げ、日本政府も「貯蓄から投資へ」と提灯に火をともして浮かれましたが、後始末をするのは国民です。

アメリカが景気対策で政策金利を動かすと予想されたら、日本は直ちに円レートへの影響、それも投機筋の好む過剰な反応を考慮の上,積極的に対応を考える必要があるというのが、度重なる経験の教えるところでしょう。

今回の場合は、未だ円レートは141~2円ですが、9月19日ですか、FRBの政策決定でどうなるかを読むのは簡単ではないでしょう。

141円というレベルは日銀「短観」で企業は予測しているところですし、今回のごたごたの発生前は110円前後でしたから、日本企業の抵抗力はリーマンショックの時とは大違いでしょう。

折しも日本経済は再生の緒に就いた段階で、これまでの経験を産業労使も適切に生かし、官僚を含む政府全体が誤りのない舵取りに専念する必要があるようです。

アメリカについていく限りは避けられないことですし、アメリカ自体が、日本のように安定した社会構造や労使関係ではありませんから、これは容易ではないでしょう。

アメリカという大船に追走して、その起こす波に揺れ動く日本丸です。近くに寄るほど危険のようです。