戦後の復興期から高度成長期にかけて、日本の目標は「経済復興から経済大国へ」でした。国民も、政府、官僚もまさに一体でした。
目標が明確であれば、ベクトルの方向は一致します、アカデミアも種々の経済成長理論を編み出し理論的、知的な応援をしました。
もともと日本人はエネルギーレベルが高いようです。政府もその気、官僚組織は生き生きと自律的に動き、経営者は企業の発展を越えて日本経済の発展迄考え、労働組合は、経済発展に見合う生活の向上を目指して日本経済のバランスの需要面を支えました。
こういう体制が整えば、日本経済は、まさに力強い発展を見せます。アメリカとの経済摩擦も日米繊維交渉以降、自動車半導体まで続きましたが、良いものを安くという日本製品の伸長は世界で進みました。
そして驚く勿れ、アメリカの人口3分の1、国土面積25分の1の日本が。アメリカに次ぐ世界第2の経済大国になったのです。これは今の中国の位置と同じです。
しかも、ハーバー大学の教授が「ジャパンアズナンバーワン」などという本まで書いたのです。
アメリカにとっては、戦後いろいろと面倒を見てやった日本がアメリカに追いつて来るというのは、あまり面白くないでしょう。特にアメリカの核の傘の下で、国を守る苦労もせずに、安全を保障され、経済発展ばかり進めるのは・・・です。
そこでアメリカが何を考えるかは、状況を顧みれば、誰にも解るのではないでしょうか。アメリカに恩義を感じつつも、非戦を謳う日本です、今の米中対立とは違う道、アメリカとの友好を選んだのでしょう。
これは世界にとっても良かったというべきでしょう。しかし、アメリカが「アメリカと共に戦え」という所まで来れば、日本は納得するべきではないでしょう。
日本は戦後79年の経験から、世界のために日本は何をすべきかを学びました。それは、「人類世界から破壊と殺戮をなくし」、「人類文化の向上に役立つ国になる」という理念ではないでしょうか。
そのために日本の国民は何をすべきでしょうか。最も大事なことは、日本は世界のために役に立つ国でなければならないという事です。これはアメリカのために役に立つこととは違う場合もあります。違った場合には「世界のために役立つ方」を選ぶことです。
そこに、このところの自民党政治との違いが出ます。「日本自体の目標」が明確になるのです。日本に改めて自己意識が生れれば、日本人は変わるでしょう。
話を具体的なレベルに下せば、そのためには、「選挙をすればどうせ自民党が勝つのだろう」と言って選挙に行かなかった有権者がみんな選挙に行くことです。結果は「政権交代とはこんな簡単なものだったのか」でしょう。
自分たちで目標が決められることになれば、日本人のエネルギーは、忽ち発揮されるでしょう。
今でも、政治に抑圧される学術は低迷ですが、食文化やスポーツ、映画、さらには、全く新しい「文学とアニメと音楽とダンスの融合の様な」嘗てのサブカルチャーの分野では、日本は、世界中に強烈な影響を与えています。そうした分野では、自分たちで自分たちの目標を決められるからでしょう。