昨日は厚労省から毎月勤労統計が発表になり、25か月続いた実質賃金の対前年対価が止まりそうな気配ということを報告しましたが、今日は総務省統計局から家計調査の「家計収支編」の7月分が発表になり、賃金と消費、さらにその延長線上にある景気回復への検討資料が集まってきました。
マスコミでは家計の実質消費支出は3か月ぶりの増だが僅か0.1%といった消費不振を指摘していますが、確かに賃上げ率も高く、ボーナスも多かったにも関わらず消費はあまり伸びていないようです。
7月の二人以上の全世帯の実質消費支出は名目値で3.3%増、実質値では0.1%増ということで昨年は殆んど毎月前年比実質減、今年1月が最悪で実質6.3%の減少から4月は0.5%増加になりましたが、5月、6月は減少で、7月ようやく0.1%の増加という低迷状態です。
毎月追跡している二人以上勤労者世帯の平均消費性向も、少しは変化が出ているかなと思って見ましたが、下のグラフのように、対前年同月比大幅低下で期待には全く答えてくれませんでした。(昨年7月59.7%→今年7月55.0%へ5.7ポイントの低下)
ということで、少し中身を見ようと勤労者世界の可処分所得の増加状況と消費支出の伸び具合を並べてグラフにしてみました。
可処分所得というのはいわば「手取り収入」で、家計調査の場合は、世帯主、配偶者、その他家族の実収入の合計から税金や社会保険料などの天引き分を差し引いたもので、平均消費性向を計算する際の分母になるものです。
その分母で家計の消費支出を割って、%表示したものの集計が「平均消費性向」になるわけです。
今年に入っての状況をご覧いただくと下のグラフです。
1月から5月までは、何かあまり変化はありません。大企業関連ではでは4月から世帯主の賃金が上昇という世帯もありますが、前年度で世帯主が再雇用転換とか退職という世帯もあるでしょう。平均値の変化は少ないのです。
ところが6月、7月と状況は様変わりで、青い柱(可処分所得)は、6月は大幅に伸び、7月のも結構伸びています。ボーナスは多くは6月支給ですが、7月支給もあるからです。
これは例年のことですが、今年のボーナスはかなり高かったということです。
それ自体は大変結構なことですが、赤い柱の消費支出の方は、そんなことには全く関係ないようにそれ以前と変わらにペースを維持したままというのです。
まさに「これが今の日本の家計の有り方か!」という感じです。所得が増えても消費は容易に伸ばさない。長年の不況の中で、いかに生活を守るかと身構えた姿勢のようです。
国民の消費生活にも「慣性の法則」があって、これまでのような日本の政治・経済ではまず大事なのは生活防衛」といった意識は、簡単には変わらないようです。如何にして、この堅固な家計防衛の意識をもっと前向きの姿にするかを真剣に考える必要があるようです。
いずれにしても、消費が延びないと日本経済は元気にならないというのがいまの状況です。
「ボーナスや一時金じゃダメ」やはり、月例給が増えるのが必要という声もあります。さらに考えれば、「これからは生活が良くなる時代」という期待を国民が持てれば解決するでしょうという声も聞かれます。
さしあたって、経営者の考え方、そして、国民に安心感を与えるような政府をつくることが必要なようです。