tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

見えて来たアメリカの金利政策の方向

2024年09月19日 14時26分52秒 | 経済

アメリカの中央銀行FRBの9月の金融政策決定会合(FOMC)が終わり、政策金利の下げ幅は0.5%と決まって、思惑で揺れた金融市場も当面落ち着くことになりそうです。

基軸通貨国であるアメリカの政策金利の動向は、世界中の為替レートに影響を与えることになります。特に経済関係が多様に入り組んでいる日本の場合は、いろいろな面で大きな影響を受けることになりますから、目が放せません。

勿論、実体経済への影響が大事ですが、アメリカの政策金利が、即座に影響する為替レート、その影響を受けるマネーマーケットなども大変でしょう。その関係者は発表前から、情報を集めシミュレーションし、勝ち筋を狙うのでしょう。

今回のFOMCの政策金利の引き下げは0.25%か、0.5%かに絞られていましたが、0.5%に決まったことは、FRBは、アメリカ経済の活発化、雇用の安定といった積極面に対する強い意識の表れでしょう。

ただ、パウエルFGB議長は、今回の大幅引き下げは、今後についても大幅引き下げを示唆するものではない、11月のFOMCは今後の雇用指標、物価指標といったデータ次第で0.5%もありうるし0.25%もありうるといった 微妙な発言で FRBの現実的な態度を示すとともに、無用な憶測や思惑排除にも対応しているようです。

しかし、今回の思い切った政策金利の引き下げで、アメリカ経済の対する積極的な態度を明確にしたことで、基本的な政策方針は、アメリカ経済の順調な成長という視点にあることは理解されてのではないでしょうか。

もともとアメリカは経済活動が活発な国で、インフレ率は高めというのが体質のようです。そしてその方が雇用にとっても望ましいので、インフレ含みの経済成長という選択はあったのではないかと思うところです。 

アメリカの目指す2%インフレというのは、その理想形という理解なのだといった気もします。その意味では、イエレン財務長官が指摘していたように、すでにアメリカはインフレ抑制に成功して、軟着陸を果たしたとみてもいいのではないでしょうか。

そういう事であれば、今後のFRBの金利政策は、物価と雇用といった経済指標に即してキメ細かく運用していけばいいので、パウエルさんの言われるようにデータ次第ということになるのではないでしょうか。

翻って日本を見たとき、日本は,長年の異常なゼロ金利政策から、金利の正常化を進めなければならないという、経済と金利のアンバランス是正の要請の中で、意図的に政策金利の上昇を続けなければならないという困った状況の中にあります。

既に、8月の誘導金利の引き上げ(0.1%→0.25%)では雇用市場の株式の乱高下がありました。日銀は、マネーマーケットの混乱がないようにと繊細は注意を払いながら政策発表をしたようですが、マネーマーケットは過激な反応を示しました。

9月にはアメリカが金利を引き下げるという思惑と考え併せての神経質な反応になった面もあるでしょう。

そのアメリカの政策金利の動きが少しは解り易くなったということでしょうから、今後の日銀の政策決定は少しはやり易くなるのかもしれません。

実体経済に資し、マネーマーケットを混乱させない巧みな舵取りを望むところです。