前回は、日本では政府が「貯蓄から投資へ」と課税免除までして株式や投資信託への乗り換えを奨励しているのですが、家計の動きははかばかしくないという状況を見てきました。
政府がいつも引き合いに出すのは「アメリカでは家計貯蓄の半分以上が株式や投信といった投資で、日本の場合は20%程でしかない」という比較です。
そして、もっと積極的に投資での運用を増やせば、家計の所得は増えて、生活は楽になるし、消費も増えて経済成長に役立つから、NISAという制度まで作って、免税までしてあげているのです、という事のようです。それでも日本の家計が政府の方針に乗るのには時間がかかりそうです。
日本の家計が貯蓄優先の理由は多分2つでしょう、1つは、日本には「あぶく銭」(投機などで労せずに儲けた金)をさげすむ文化があったこと(もう過去形ですね)、もう1つは「相場に手を出したら身の破滅」という失敗の経験が多いことです。
森永卓郎さんではありませんが「投資と言っても基本は投機、つまりはギャンブルなのですよ」と損失を身につまされている人が結構多いようです。
株などで儲ける人は大金持ちで眼の利く人、素人が宣伝に乗って手を出せば結局は元も子もなしで終わるという経験が多い現実のようです。
ではなぜアメリでは家計の金融資産の半分以上が株式や投資信託で運用されているのでしょうか。
アメリカでは、多くの人や家計が、株式投資や投資信託で貯蓄を運用し成功している人が多いからでしょう。
というのは、1970年代以降のアメリカというのは、マネーゲームに生きる国になってきているからでしょう。アメリカは経常収支では万年赤字の国です、収入より支出が多い国なのです。赤字部分は資金運用で埋めなければならないのです。アメリカには「あぶく銭」という概念はないようで、何で儲けてもカネはカネで違いはないようです。
所謂金融工学の発展で見るように、アメリカはカネでカネを 稼ぐマネーゲームでは圧倒的に優れた国です。しかも巨大な金融資産を持っていますから、ゲームをすれば殆んど勝つでしょう。
このブログでも「国際投機資本はストーリーテラー」などと書いたことがありますが、彼らが相場のストーリーを作れば、世界の投機資本が提灯をつけるのです。
W.バフェット氏が「これからは日本株」と言って本当に日本株が大幅に上がったのはついこの間の話です。
やっぱりアメリカの家計は、アメリカでは株や投資信託で運用した方が銀行預金より圧倒的有利という経験を持っているのでしょう。
やはり、日本の家計が気軽に投資に手を出すのには、成功体験の積み上げが必要なようですが、現状を見ても、成功体験は、なかなか積み上がらないようです。