tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

お米の値上がり60%と農林中金の巨額損失

2024年12月25日 15時06分22秒 | 経済

このブログでは、毎月、総務省から「消費者物価指数」の統計が発表になるたびに、その動きを分析して来ています。

物価の動向は、日銀の金利政策の決定にも大きな影響がありますし、最も重要なのは、日々の国民生活における実質賃金の行方を決めることにもなり、当然春闘の賃上げ率との関係も国民の重要な注目点という事になります。

この消費者物価は基本的な動きとしては昨年来次第に沈静化に向かい、日銀も金融正常化(金利引き上げ)にも動いたところです。

ところで、皆様ご承知のように、この秋にかけてお米の値段が急に上がり始めました。最初は流通段階で何か不具合があって、値上がりしたが新米が出回るようになれば値下がりすると言われました。

一時的なものなら直ぐに収まると安心していましたが、新米が出回っても価格は全然下がらず、それどころか、総務省によれば「うるち米」の価格は更に上がって10月には前年比60.3%、11月には64.7%の上昇です。作柄は平年並みとニュースでは言っています。

物価の優等生と言われた「卵」が値上がりした時には、「鳥インフル」で膨大な数の鶏が殺処分になった結果といった理由の説明もあり、消費者もテレビで可哀そうで勿体ない殺処分のニュースを見ていますから納得だったでしょう。

ところが今回のお米の値上がりについては、何故か良く解らないというのが現状ではないでしょうか。

勿論農家の数が減り、高齢化が進み農家は大変だという事は食料安保問題などとの関連で理解されています。一方、政府の政策は相変わらず減反維持で、世界で日本のお米が人気だとか、お米の輸出が増えているとか、インバウンドが増えてお米を食べているとか、農業の法人化、大規模化が進んでいないなどは皆知っています。それは環境変化に即応していない政府の政策の失敗でしょうが、この秋から急にお米が60%以上の値上がりという説明にはならないでしょう。

一方、最近問題になっているのが農林中金の巨額損失です。

この問題が、今回のお米の値上がりに関係があるのかどうかは、全く解りません。日本人の主食のお米の60%を超える急激な値上がりにつての政府の説明も農水省の説明もないのですから、不用意な発言は厳禁でしょう。

農林中金は、全国の農協、今はJAですが、その金融業務の中央組織です。主要業務は全国のJAから資金を預かり 、それを運用して全国のJAに収益を還元することです。運用資産は56兆円(今年3月)で年間3000億円ほどを全国のJAに還元しているとのことです(NHK資料)。

その農林中金が今期、アメリカ債権の投資などで1兆5千億円規模の損失予想を発表し、JAの出資などで1兆3千億円の資本増強の意向という事です。

こうした問題は、お米の値段には関係ないので、お米の値段は早晩下がりますという事になってほしいとこのブログは思っています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。