今日、総務省統計局から11月の家計調査の家計収支編が発表になりました。
このところ、消費者物価指数は反転上昇の気配で、家計は消費を手控えているという報道が多いので、毎月追いかけている二人以上勤労者世帯の平均消費性向も相変わらず下がっているのではないかと予測して、パソコン上のページをめくっていきましたら、案に相違して11月の平均消費性向は上昇でした。上昇と言っても昨年の11月が74.7%で、今年の11月が74.9%ですから僅か0.2ポイントの上昇です。
この3年間の動きのグラフを下に掲げますが、ご覧いただきますように今年の5月からずっと前年の数字を下回っていて消費が伸びる気配はありません。
5月からは春闘の結果、賃金上昇になっているはずで、特に6月7月はボーナスがの伸びが大きく実質賃金がプラス転換したにもかかわらず、勤労者世帯の消費は実額で見ても、それを反映するような上昇は見られず、結果的に平均消費性向は前年同月に比べ、かなりの下落となっています。
政府は賃金が上がれば消費が増えて、経済成長率が高まると理解していたようですが、家計の方は、やっぱり将来のことを考えて、一時的に収入が増えたと言っても浮かれて使うべきではないと考えているのでしょう。
それが11月になって消費性向が上がったのです。
年末商戦には未だ1か月ありますが、少し消費意欲が出てきたのかなとも考えましたが、どうもこれは違ったようです。
確かに勤労者世帯の可処分取得は配偶者の収入が増えている事もあって11月には前年同月比4.6%の増加になっています。
一方、消費支出は4.9%の伸びですから、平均消費性向は上がったのですが、支出の内訳の数字が出ている「二人以上世帯の消費支出」を見ますと、目につくのは、(最近エンゲル係数も上がっているようですが)消費支出の3分の1を占める食料の支出が、いい月には、対前年同月比で、名目4.2%、実質 -0.6%という事になっています。
恐らく、11月の状況では、昨年より60%以上も値上がりしたお米の値段を中心に食料費に予想外の支出が必要になったお蔭で平均消費性向が上がったという要因が大きいのではないかという推論結果になった次第です。
やっぱり家計は、未だ消費意欲が出る段階には至っていないのかと考えるのも情けないですが、考えてみれば、毎年それなりの賃上げがあるという日本経済にならないと、家計は将来の心配ばかりで、安定して消費を増やす気にはならないようです。
そういう事であれば、先ずは、これから始まる2025年の春闘に期待することになるのでしょうか。