tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価は上昇基調:中身はいろいろ

2020年03月20日 21時37分59秒 | 経済
消費者物価は上昇基調:中身はいろいろ
 昨日、総理府統計局から、今年2月の消費者物価が発表になりました。
 総合で前年同月比0.6%の上昇でしたが、マスコミでは、38ヶ月連続上昇と書いていました。
 先月発表の19年暦年の対前年上昇率も0.6%でしたが、その時には、消費税増税でも「上げ幅鈍い」などとマスコミは書いていた記憶がありますが、さて、今の消費者物価は上がっているというべきか、あまり上がっていないというべきか、どうなのでしょうか。

 1%に足りない上昇というのは、常識的には物価安定という感じでしょう。経済不振で賃金もあまり上がらないし、年金などは、社会保険料などの上昇で手取りはじりじり目減りしているのですから、上昇幅は小さい方がいいというのが、大方の庶民感情とすれば、このぐらいなら我慢するかというところでしょうか。

理論的にいえば、日本人の働きの進歩である「生産性の上昇」と「賃金水準の上昇」が等しければ、物価は上がらずに経済は成長するということですから。理論的にはそういう形の「均衡成長」がベストなのでしょう。
     
 政府や日銀が、2%物価上昇が望ましいというのは、経験的に「景気のいい時は物価が上がる」ということで、それなら、「物価を上げれば景気が良くなるだろう」という「逆もまた真也」と考えてのことのようですが、先に物価をあげるというのはむずかしいようですね。

所で、今回は、物価上昇の中身を見てみました。
 表は、消費支出の10大費目のそれぞれの過去5年間の物価上昇率です。

 2015年は日銀の金融緩和策が成功して、円高が解消し、日本経済が長かったデフレ不況から脱出し、日本経済正常化元年というところですが、折よく総理府統計局が消費者物価計算の基準年にしましたので、消費者物価指数はすべて100.0になっています。

 10大費目それぞれに、上下に動きながら緩い上昇傾向ですが、その中で最もコンスタントに上昇しているのが「食料」です。ほぼ1年1%ほどで一貫しています。上昇率も最も高いようです。
 (付け足した2020年は最新時点2月の数字ですから、まだ先行きはわかりません。ご注意ください。)

 食料の中には「生鮮食品」が入っていて、これは天候次第で上下するので、それで統計が歪まないように「生鮮食品を除く総合」などという項目があるにも関わらずこのコンスタントな動き(食料品には消費増税もなしですね)は、やっぱり消費需要がコンスタントということでしょうか?
 そのコンスタントの中身を見ようと最近デパ地価やスーパ-、コンビニなどで気になるものを見てみました。

気になる「食料」の中身

              (資料:総理府「消費者物価統計))
「生鮮食品」「生鮮食品を除く食品」「調理食品」「菓子」です。生鮮食品は異常気象で高い年が続きましたが、昨年は温暖化の影響で下がりました。その代わりという訳ではありませんが、菓子が上がっています。これは最近値上げや、包装内の量目の減少が指摘される所です。
 この2者が相殺して偶々、「食料」と「生鮮食品を除く食料」がほぼ同じになっています。

 これからは多分新型コロナ禍での消費不振で、消費者物価にはまたイレギュラーな動きが多くなると思われますので、今回は、デフレ不況を脱出してからの、この所の消費者物価の中身の動きを見てみました。

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