この10年、企業の付加価値の動きを見る
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数字の方が正確ですが、「見える化」という事でグラフにしますと
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こんな形です。
財務省の「法人企業統計年報」の全産業の付加価値を取ったものですが、平成20年度から、リーマンショックの影響を受けて、大きく落ち込んでいます。この落ち込みの回復には平成27年度までかかっています。
中身を見てみますと、落ち込みのひどいのは役員報酬で、これは27年度に至ってもリーマンショック前を回復していません。大企業では年間1億円以上の経営者が400人を超えて増えているなどといった状況もあるようですが、全法人企業で見れば、これが実態なのでしょう。
従業員給与、社会保障費なども含んだ人件費ですが、これは27年度に至って、漸くリーマン前の水準を超えることが出来ました。人手不足の状況は有効求人倍率などで見てもリーマンショック以前を越えていますが、賃金はなかなか上がらないといった状況を此の数字が示しているという事でしょう。
支払利息等は、リーマンショック時に急増していますが。これは利息が上がったのではなくて、多分、リーマンショックの金融パニックで、「等」の部分の損失が増えたからでしょう。
その後はゼロ金利政策で、支払利息等はずっと減ったままです。
賃借料は、あまり変わり変わらず、租税公課は、不況で落ち込みましたが、この所急増でしょうか。
特筆すべきは、営業純益の増加ぶりです。営業純益というのは、この統計に特徴的なもので、営業利益から別掲しているし支払利息等を差し引いたものです。これはリーマン前に比し25%ほど増えています。
勿論リーマンショックによる減益の痛手は大変なものでしたが、25年からの円安実現の効果が大きかったのでしょう、急ピッチの増益です。
まだ統計の出ていない、28年度は足踏みになりそうですが、平成25年度以降の景気回復は、企業経営上では、ほとんどが、利益の増加という形で実現されているといった状況が窺えます。
なんだ、利益だけ増やしているのかといった声も聞こえて来そうですが、企業から見れば、リーマンショックで空いた大穴を何とか埋めなければならない取った気持ちと、もう一つ、この時期の増益というのは、ほとんどが円安という環境変化によってもたらされたという意識があるのでしょう。
企業としては「奇貨居くべし」で、内部留保して、企業の将来のために使うといった意識が強かったせいもありそうです。
そうした意味で言えば、この所の堅調な景気の動きは、多少の円高にも抗して、企業の実力向上によるところ、という事になりましょう。これはまさに従業員の開発力、生産性向上努力によるものという事になります。
であってみれば、今後の付加価値配分は、多分利益に偏るもではなく、従業員の努力に還元される部分が増えていくのではないでしょうか、日本の経営者には基本的のそうした行動様式があるはずです。
北朝鮮が今後どうするかわかりませんが、国際情勢が何とか落ち着き、改造安倍内閣も、国民の前にしっかり過去を清算して、公約通り、経済中心のまともな政治をしてほしいものです。国民は本気で真面目に頑張っているのですから。