東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

手紙

2022年01月24日 00時41分44秒 | 2022リレーブログ

いつもお世話になっております。

新3年、スナイプスキッパーの西尾拓大です。

 

千田ちゃんの生き物愛に驚きます…自分は虫が大の苦手なので…

あと、てる君が気になります。

それに素敵な紹介ありがとう。「受け止めて”くれる”」じゃなくて「受け止めて”くれそう”」というとこに自分の甘さを感じます笑。けど、全てを一緒に共有してくれる仲間がいるから頑張れるのかな。引退するときにそう言ってくれたら最高です笑

 

 

実は今回ブログに書く内容を迷いに迷いました。

ただ、今率直に思っていることを書きたいなと思ったので、今回はブログではなく手紙を綴りたいと思います。

 

〜〜

拝啓

 

冬の寒さが身にこたえ、雪が降るのをいまか今かと待ち望む季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 

さて今回は柄にもなく、気持ちが前に出すぎて、まとまりのない手紙になってしまいましたが、最後まで読んでいただけると幸いです。僕からの一人一人への「メッセージ」として。

文の体裁も整っていないので読みづらいと思いますが、どうかお許しください。

 

ヨット部に入部して感じるのが、言葉の凄さ。

面と向かって言葉で伝える、という大事さ。

 

僕は小学生の時からそれほど賑やかでクラスの中心メンバーではなかった。クラスを盛り上げる訳ではなく、どっちかというと、みんなから一歩ひいて、あの子は今何考えてるんだろうって想像するタイプだった。自分がまるで万能の神であるかのように。今になって思うけど、なんて傲慢だったんだろう。

 

そして、中学、高校では一人乗りのヨットで、いろんな強い選手に憧れて、いつか自分もそうなりたい、自分の背中を見てくれた誰かに訴えかけられる人になりたい、そう思っていた。だから、阿吽の呼吸というのか、そういうのってかっこいいって感じていた。何にも言葉にしなくても相手のことが想像できて、自分の思いも伝わって、そういうのが理想だなって。

 

でも、最近そうじゃないんだなぁって思う。

一人一人、生まれた場所も違って、周りの環境も違って、感じてきたこと、考えてきたことも違う。例え、今おんなじ場所でおんなじ景色を見たって、感じることは違う。

それを全て想像するって不可能なんだ。

感じ方が違うからこそ、それを完全には理解できないからこそ、個性があって、一人一人輝けるんだろうなって。

当たり前のことなんだけど、僕は気づけていなかった。

 

それぞれの考えを、思いを、気持ちを、唯一人に伝えることができるのが、言葉。

誰かの背中じゃない、表情でもない、会って言葉にしてはじめて、自分の「ひとりごと」が相手へのかけがえのない「メッセージ」になる。

言葉を作ってくれた人に感謝したい、ヒトって本当にすごいね。

 

ペアだった長岡さんともそうだった、自分は長岡さんの思いを全部分かっていたつもりだった。長岡さんとはお互いに何も言わなくても伝わっている、それだけの関係性があると思っていた。そんなのどこもカッコよくないのに。変な幻を追いかけていた。しっかり気持ちを伝えて初めて繋がり合えるのに。そっちの方がずっと尊いことなのに。

でも、実際部内の誰よりも長岡さんと考え方が似ていて、意見が一致することが多かったとは思う。だからこそ、「伝える」のを怠ってしまった。自分はおこがましかった。

 

全日本インカレに行けないと分かったあの夜。長岡さんの泣き声、涙を見て、初めて知った。

自分は長岡さんのことを何も知らなかった、長岡さんのこれほど強い思いを微塵も理解できていなかった。たちすくんでしまった。失ってから初めて気づいた。

 

秋インカレが終わって、レスキューで江ノ島まで二人だけで話したとき。初めて自分の正直な気持ちを長岡さんに言えた。そして、長岡さんからもたくさんの身に余る言葉を頂いた。その後、夜通し話しをした。今やもう長岡さんは忘れてしまったかもしれないけど僕にとって本当に忘れられない、かけがえのない時間だった。二人の気持ちが言葉となり、最高の「メッセージ」となって、繋がり合えた。

今まで何時間も、何日も二人だけであの大きな海にいて、一つのヨットを動かしていたはずなのに。二人で、仲間と一緒に、他校と激しくしのぎを削っていたのに。

 

自分が未熟なばかり、長岡さんにたくさん迷惑をかけてしまった。本当にすみませんでした。僕がもう少し早くこのことに気づけていたら、どうなっていただろう。

 

この経験は後悔というより、むしろ大切な大切な大切な経験として僕の奥深くに残っている。長岡さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。コロナが落ち着いたらまた飲みに行きたいですね。つもる話でもしたいです。

 

また、この前LBCH(葉山に新しく建設予定のクラブハウス)の設計者さんと、LBさんでゆっくり集まる機会がありました。

設計のことはもちろん、私生活や今までのあれこれを話しました。

(建設に多大なる貢献を頂いているLBの皆様、設計者さん、金銭・物資でお支え頂いている関係者の皆様、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。)

 

そんな中普段のLBCHミーティングとはまた違った環境で、どういう経緯でLBCHが今に至るのか改めてじっくり聞かせて頂きました。

 

今までのいわゆる合宿所とは違うものを建てたい。ただ寝てそこで学生が練習するというだけではない。LBさんも含め、ありとあらゆる人が集まるクラブハウス。支えてくださる様々な方と部員が交流しやすいコミュニティー作り。全く新しい部活のあり方。そこに込められたLBさん、設計者さんの想い。

 

そのような極めて珍しいコンセプトから始まり、もはや他大学の合宿所から学ぶだけでなく、海外のさまざまなクラブハウスを参考に今の設計図が出来上がってきているそうです。

 

僕はその強い「メッセージ」を伺い震えました。たくさんの方々と協力して素晴らしいクラブハウスを、作り上げ運用していきたい、後輩に残していきたい、と改めて強く決意しました。

 

逆に部員を代表して調さんから、部の目標や、今の現状、目標への道筋、どうして勝ちたいのか、など僕たちが考えていることを率直に説明しました。

その場にいらっしゃったLBさんや設計士さんが耳を傾けてくださり、少なくとも僕たちの熱意を汲み取っていただけたように僕は感じました。「こういう話を知らなかった、ますます、設計に気合いが入りますね、絶対に最高のクラブハウスを作ろう、」設計士さんがそう言って下さいました。

 

 

「メッセージ」を通して個人と個人が繋がる瞬間。

思いが「メッセージ」として伝わり、それがまた誰かの思いを作り、「メッセージ」として繋がっていく瞬間。そのとき、温かい空気がふんわりと包み込んでくれるように思う。

 

「メッセージ」にも本当に色々ある。嬉しさ、楽しさ、素晴らしさ、が乗った「メッセージ」。もちろん、怒り、悲しみ、つらさ、とか、負の感情が乗った「メッセージ」も。

言葉選びを少し間違っただけで、全く意図しない「メッセージ」が伝わる場合がある。「メッセージ」が暴走してしまうことだってある。

 

ただ、一人の「ひとりごと」で終わるより、どんな形でもいいから「メッセージ」として伝わっていく方がずっと良い。「メッセージ」には目に見えないものを伝える力があるんだから。これほど偉大なものとは、部活に入るまでわからなかった、知らなかった。

 

僕はこの「メッセージ」を大切にしたい。自分の思いが、願いが、上手く伝わらないかもしれないけど、伝わるまで、お互いが納得できるまでやっぱり発信していきたい。

そして、他の人の「メッセージ」も大切にしたい。みんなの「ひとりごと」を引き出してあげられるような人になりたい。

時には「メッセージ」がお互いぶつかることがあるかもしれないけど、逃げたくない。とことんぶつかり合いたい。そしたらどんどん「メッセージ」が洗練されて、きっといつの間にか最高の「メッセージ」を二人でつくり上げていると思う。

 

最近、同期で話す機会が増えた。テスト期間だけど、でもそれでも時間を作ってお互いに「メッセージ」を伝えあってきた。

それを通して自分が知らなかったこと、気づいていなかったことがこれほど多くあったのかと、驚愕する。話せば話すほど、自分の同期への気持ちが増してくる。

そして自分の想いが際限無く「メッセージ」として紡ぎ出されていく。それなのに「メッセージ」を紡ぎ出しても、紡ぎ出しても、まだ言い足りていないんじゃないか、伝わってないんじゃないかと、どうしようもなく不安に感じてしまう。もっと僕に表現力があれば良かったのに。それほどの強い想いを僕は生まれて初めて抱いた。そして、同じ熱量の想いを仲間も抱いてくれている。これは決して当たり前のことではない。僕はむしろ奇跡だと思う。

一緒に頑張りたいと思える仲間がいる。本当にこんな仲間に出会えて、良かった。心のそこから思える。自分は幸せの中にいるんだと。自分を、仲間を、支えあって頑張ってくれているみんながいるんだと。不謹慎かもしれないが、ここ数日、とっても自分は充実している。その幸せを大事に噛みしめている。みんな、ありがとう。

 

同期だけじゃない。様々な先輩と話す機会があった。引退された方も含めて。みんながみんな、思ってること、考えていることが違う。でも、「ヨット部」が本当に好きなんだなあ、「このチーム」が好きなんだなあって、そこだけは共通だった。

 

部員のみんながみんなこのヨット部を作りあげる大事で愛しい仲間なんだ。

早くみんなで再開したい、早くみんなと会いたい。

早くみんなとヨットに乗り、みんなで前に進んでいきたい。今はそのための艤装なのかな。

 

どうか様々な「メッセージ」が飛び交ってほしいと願う。後悔がないように。

 

副将 新3年 スナイプスキッパー 西尾拓大

 

P.S.

本当にこの仲間がいてよかった。どうかどうか、それだけはみんなに届いてほしい。

 

 

敬具

~~

次のブロガーはマネージャーのかなちゃんです。

この前はみんなで集まって盛り上がれて楽しかったよ!

 

お楽しみに!