心言蒐ⅩⅧ 極意
時間を主体的に操作できる
極意の一巻を
伝授されたような束の間がある
此岸の空気を吸って七十年余
既に施設された動かし難いrailの上を
戻れぬほどには脱線せず
不運の事故にも遭わず
ポイントではそこそこの行先を選び
長々と停車もせず
まして後戻りすることなど微塵もなく
旅路の大方を無難に走り来て
朧げに終着点の赤い点滅が見え隠れする
終盤の行程に至って
ようよう
それも移ろいの束の間に見い出した
自由自在の時間操作能力
それでも
その恩恵は希有に違いなくて
未来への動力源には為りそうにないが・・