違和感
右足太腿の付け根の何処かの部位に、まるで小さな起爆装置のような違和感がある。そうそう、あれは二人の孫と”風船バトミントン”に興じていた最中の事。
湊人の放った地面すれすれのショットを拾おうとして、大きく右足を踏み出し、強く太腿の筋肉を強張らせたときに感じたピリッだった。
まさか、口が裂けても運動神経のせいには出来ないし、五歳の孫に負けじと本気になったと云うのも大人気ないし、いい年をして夢中になったとも言い辛いし、斯くしてその違和感は胸の扉の中へと仕舞い込んだのだが・・。
遠い遙かな場所で響いた警告の太鼓のような、若しかしたらそれは勘違いで、実際は思いの他にすぐ隣から聞こえていたのかも知れない警鐘のように、不吉を呼び覚ます喇叭のように届いた違和感。
兎に角、誰にも悟られぬよう胸の抽斗の奥に仕舞い込んで平静を装っているけれど、そこから漏れ出す幽かなペインが、何時もと違う何かが身の裡に潜んでいるという存在だけは否応なく感知させようとときどき憑依してくるのだ。
それにしてもね~、まさかね~、幾ら何でも脆すぎるよね~。自分の肉体の裏切りが信じられない。イノチを囲っている物体の脆弱さを信じ難い。
長く生きてきているのだと、溜息交じりで再確認し再認識した小さな違和感の起こった出来事。
あの日から四日目、安静を心掛けているが、それは指先に刺さった小さな細い薔薇の棘のように時折神経を逆撫でしてゆくのだ。
┐(´д`)┌ヤレヤレ。 01/15 4:05pm まんぼ