囲碁きちの独り言 Ⅱ

趣味の旅行、うたごえ、囲碁の事や日常の出来事を記録する。

絶えないホームレス=上野公園

2020-12-27 08:57:58 | 囲碁きちのつぶやき
私は眼が悪いこともあり、昔から本はあまり読まない。でも、柳美里の作品「JR上野駅公園口」が話題になっているというので急に読んでみようと思った。
話題の要因がこの作品が全米図書賞翻訳部門で一位に選ばれたからです。
そこで全米図書賞とはどんなものかネットのikipediajaで調べてみた。

「全米図書賞(National Book Awards)は、アメリカで最も権威のある文学賞の一つ。1950年3月15日に、複数の出版社グループによって創設され、現在は全米図書協会(National Book Foundation)によって運営されている。2004年時点で、小説・ノンフィクション・詩・児童文学の4部門があり、受賞者には副賞として賞金10,000ドルとクリスタルの彫像が贈られる。」

柳美里の作品も読んだことがありませんでしたが、昨日本屋で買ってきて、読んでみました。



上野公園のホームレスのことがテーマだと言うことは新聞などで読んでいました。また、柳美里が福島県に移住しているとも聞いていました。
だから、津波か福島原発事故で事情があって最後ホームレスになった人の話かと思っていました。

確かに、主人公は福島県のひとでした。でも、直接的には津波や原発事故ではありませんでした。
上野公園のホームレスの描写が多かったですが、その生活の一端を知ることができ、興味深かったです。

また、「特別清掃」という名でホームレス狩りを行い、皇族が来たときに目に触れないようにすることも書いてありました。これは、さもありなんと思いました。戦争中・東京大空襲後の下町の天皇の視察の際、大量の犠牲者の死体を天皇の目に触れないにように隠した ことを知っていたからです。
私は、天皇制は差別の典型だと思っています。天皇が「神」などということは誰も信じていなかったと思います。でも、歴史を垣間見ると時の権力者が天皇制を利用していたことの繰り返しだったと思います。現に、太平洋戦争に勝利したアメリカでさえ、日本統治のために天皇制を利用しました。

主人公の郷里福島・相馬の浄土真宗門徒の葬儀の様子も克明に描かれています。脈々と続く地域の生活の歴史の一端を知り勉強になりました。

私が一番驚いたのは、この作品を翻訳し、異国の作品を読み、高い評価を与えたアメリカの読書人の読解力です。
特別なストーリーがあるようにも思えず、私には不思議な作品に思えました。

そして、年の瀬を迎え、コロナ禍もありホームレスの方が上野公園にも増えるでしょう。悲しい現実です。

妹のお墓が下谷にありますので、そのお墓参りの後、上野公園に行き、作品に出てきた場所を散策してみたいと思います。新たな発見があるかも知れません。
コメント
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