町田国際版画実術館は以前から一度は行きたいと思っていたところでした。
「彫刻刀が刻む戦後日本のふたつの民衆版画運動」と銘打った企画展が開催されていたので連れ合いと車で行きました。
我が家から会場までは約30kmですが府中街道など渋滞箇所ばかりですので1時間半以上かかりました。
戦争中は生活の実態を描いたつづり方や絵を描くこと自体が「危険思想をはぐくむ」とみなされ治安維持法で弾圧されました。
戦後はそんな実態をモチーフにした作品が生まれました。私が感動したのはやはりそんな作品です。
写真撮影OK のエリアもあり、そのエリアの作品の中から紹介します。
「署名」と言う題の作品です。作者は全日自治労(日雇いで働く労働者の組織)の機関紙に版画を提供していたと言います。生活向上を目指す署名運動でもしていた場面でしょう。署名する人のまなざしに圧倒されました。
題は「日本人は日本の米を」とありました。現代に通じる課題です。米を作る農夫の逞しさが現れています。
足尾銅山の公害をテーマにした連作にうちの4枚です。
直訴する田中正造の叫び、渡良瀬遊水地建設で村を追われた農民が北海道に移住するため小山駅を発つ時の様子、北海道の原野の厳しい現実、芋を植えても育たない悲惨な生活 を描いた4枚です。
「これはゲルニカ」と連れ合いが称賛した作品。描かれた子どもたちがいかにも楽しそうなのが救いでした。
実術館の中には版画を実際に制作する工作室もありました。
会員を募って版画教室を開いているようです。
作品の中には連れ合いの元の職場の同僚の父親の作品もあり、どの作品も見ごたえがありました。
また行きたいと思いますが車で往復3時間以上かかることを思うとそう簡単に行けないのが残念です。