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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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掘り出し物のPEN-Sブラックの巻

2020年09月16日 21時25分00秒 | ブログ

実は過去にも数度同じような事例がありましたが、このPEN-Sブラック#1020XXはリサイクルショップから救出されたものですが、専門店であればブラックモデルの希少性は承知しているので、ジャンク価格などと言うことにはならない訳ですが、専門知識のないリサイクルショップでは安価に売られていることが多いのだなぁと改めて感じます。現状は不動でかなりばっちいです。

シリアル№からPEN-Sの極初期型ですから1960年製と言うことになりますかね。発売は6月となっていますがシャッター捺印が「9」なので、発売3ヶ月後の生産ということになりそうです。ブラックは非売品で、報道各社に配られたと聞きますが、果たして何台ぐらい供給されたのでしょうね。今となってはメーカーにも資料はないと思いますが・・初期型のコパルシャッターはかなり厳しいと思いますが、現状はシャッター羽根が開いて停止しています。

ブラックモデルは過去にも扱って来ましたが、スプール軸が三光PENなどと同じ古い形式の部品が使われていたという記憶がありません。極初期のブラックだけの特徴かも知れません。

 

2か所のへこみがあります。駒数窓角の部分は駒数ガラスにも影響があります。荒だし程度に板金をしておきます。あぁ、間違いなくオリジナルのブラック塗装です。

 

まずはすべて分解洗浄をしましたが、塗膜が弱っているようで脱脂をすると白っぽくなりました。シュー下は艶がありますね。しばらく手で触っているうちに艶は戻ります。

 

これも過去の個体には無かったような?・・巻き戻しボタンの頭の部分まで塗装を施されています。

 

 

シャツターですが、シンクロ接点が半田付けは初期の個体では当然です。問題はシャッター羽根の外周の黒い部分。ここは、以後の個体と設計が異なります。以後はプレートになります。

 

では、洗浄後に組み立てていきます。洗浄をしてみると内部はきれいで、あまり撮影はされていないのでは?と思われます。

 

シャッター内部にも設計が異なる部分がありましたが撮影を忘れました。残念。また分解するのも・・

 

 

初期の個体はシャッターユニットを留める4本のネジの頭が小さいです。これによってシャッターの固定が緩んでいる個体が多いです。

 

巻上げダイヤルカバーは破損していましたので接着の上、再使用します。

 

 

巻上げダイヤル(スプロケット軸)を留めるネジが正ネジです。以後は左ネジです。

 

 

本体側はレンズを除いて完成。

 

 

これも特徴です。ファインダーのダストカバーが2ピースに分かれています。以後は1ピースになります。

 

ファインダーはひどく汚れていました。すべて分解清掃をしてあります。特徴はダイカストの接眼レンズ接着部分の形状の違いとハーフミラーの違いかファインダー像が青みがかって見えることです。

 

レリーズボタンのバネは初期型なのでバネの弱いタイプが使われています。

 

 

トップカバー横のネジは普通ですと塗装ネジですが、通常のメッキネジが使われています。この個体は過去に分解歴がありますので途中で紛失追加されたものかも知れませんが、オリンパスの流儀では、黒塗装でメッキネジを使う場合もありますので何とも言えません。吊環は材質が真鍮の頃ですから、かなり摩耗をしています。尚、巻き戻し側は黒メッキネジが使われています。外観からは見えませんが・・

レンズは前玉に傷がありますが、後玉はカビが多くダメかと思いましたが清掃できれいに取れてコーティングも無傷でした。初期のレンズの方が曇りやコーティングの劣化に強いのか? もちろんオリジナルではない可能性もありますけど、私の印象ではオリジナルのレンズだと思います。

裏蓋に遮光用のフェルトを貼って圧板を取り付けますが、かなり腐食気味ですので磨きます。

 

 

きれいになっています。底部のリベットには化粧塗装は施されていませんが、初期は艶消し黒塗料を筆で塗布されているので、途中で清掃されて剥離したものかも知れません。

 

と言うことで、この個体はブラックモデルの中でも初期の特徴を持った資料的にも貴重な個体と思います。良く見つけてこられましたね。初期型のシャッターも快調ですので実用も問題ありません。大切にされてください。

 

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