では、心を入れ替えてカメラに戻ります。北海道のINOBOOさんから、キヤノン・ぺリックスが届いています。寒いのに精力的ですね。ぺリックスはリターンミラー部分にペリクルミラーというハーフミラーをセットして、「視野像が一瞬たりとも消えない」という特徴を持っていますが、フィルム面の光量も1/2になってしまうという制約もあります。資料用として1台をメンテナンスすることにします。
60年代のキヤノンは巻上げ下部分にシリアル№を彫刻してありましたが、下の個体#1697XXでは、巻上げダイヤル右に移動しています。1965年発売のPELLIXの改良型として1966年にQL付きで発売されたようです。
アイビースシャッターはスライド式になっていますね。
ペリクルミラーは汚れが激しいですが、腐食は少ないようです。後ろのシャッター幕が透けて見えます。
絞込み測光レバーを倒すと受光素子が持ち上がって来ます。なんか感動する。
プリズムですが、ブラックモデルからの移植をご希望でしたが・・。左がブラックモデルのプリズムですが、すでに劣化したモルトでメッキ面を侵されて素通しとなっており清掃をされていました。では仕方がない、オリジナルを清掃して使います。
犯人はこいつです。PP製の保護カバーですが、私も当時生産で組み立てていましたが、部品は平抜きで来るので、まずは折り紙するのです。合わせ目が重なっておれば侵されなかったのに、平滑面を優先した結果でしょう。
アイビースシャッターは暖簾式かな?
ご希望で、トップカバーを前期型に替えます。露出計調整用の穴は後期型にはないので、ブラックモデルからメクラ栓を調達します。色が合わない~。
アンダーカバーにへこみがありますね。修正をしておきます。
FT系で見慣れた眺めです。ピンセット先のホゾ穴はFTbでも同じで、油が切れると真鍮のブッシュが摩耗をして小判孔になってしまいます。
交換した前期型のトップカバーには、シャッターダイヤル座がカシメられていません。脱落した形跡もないのでオリジナルと思いますが、下部が透けて見えます。
懐かしや、クイックローディング。この頃の電池蓋にはFTbのように10円玉で回せるスリ割りがありませんね。じつは固着して外すのに苦労しました。
その他、各部清掃、注油をしておしまいです。