まったく固まったLord I型

ご常連さんから、珍しいカメラが来ましたよ。岡谷光学のロード１型って言うのかな? しかし、ヘリコイドはおろか、ダイヤル類など可動する部分は全く固着してビクとも動きません。シャッターセイコーシャラピットも不動です。ヘリコイドの固着は稀に見ますけど、こういうのは珍しいよね。オーナーさんは治れば、との事ですが、余計に動くようにしないと気がすみませんね。で、まずはシャッターを分離してヘリコイドの固着を治します。なにか、先日の私のバイクのエンジンと一緒みたいで、無理をしないように、いろいろな手を使って、やっと動き出したところです。

全部の画像を載せると膨大になるので割愛。ヘリコイドが復活したのでグリスUPをしてあります。分離しておいたシャッターです。幸いシャッター羽根などに大きな錆はありませんでした。組み直しで復活しています。1/500のバネの調子が悪いので調整をしているところ。

レンズにはカビと前玉拭き傷がありますね。Highkor C 3.5 f=4cmが搭載されています。すべて分解して清掃をして行きます。

シャッターとレンズ関係の組立が終っています。シャッターを作動させていますがお分かりになりますでしょうか? 調子は良いと思います。

ファインダーは結構チープな作りですね。子供雑誌の付録のように簡単な折り曲げで作られています。すべて、曲げ加工だけですよ。清掃でクリーンな視界となりました。

巻上げノブも全く固着してビクともしませんでした。現在はスムーズに動きますよ。簡単な巻き止め機構で、今は巻き上がっているところ。レリーズボタンが下降するとロックレバーも下がってロックが外れる機構。

このノブを引き上げると刃がスライドしてフィルムをカットする機構。この部分も固着していましたよ。ギロチンカッターということですかね。

裏蓋開閉鍵。中央を上下にスライドさせると思うでしょ。上側を手前に引っ張るとロックが外れます。シボ革の剥れと、下側はすでに剥れて失われています。パターンが合いませんけど、取り合えず間に合わせで貼っておきます。

全くどこも動かないカメラも珍しいですが、今は、完璧に作動します。良く見ますと、メッキの状態は良好でへこみなどもありません。ただ、ものすごく汚かったですけどね。資料によれば1953年製(昭和28年)だそうで、私と同じ歳のカメラでした。もう１台、うしろにカメラが来ていますがなんでしょうね?

少し前にTENAXの招き猫をやりましたが、これはZEISS IKON TAXONA(タクソナ)の初期型でしょうか。24X24mmフォーマットで、レンズはテッサー3.5/37.5が搭載されているかわいらしいカメラですね。絞りと距離を●に合わせるとパンフォーカスとなります。しかし、レンズの繰り出しが非常に重い。というよりは動かない。全体のオーバーホールをして行きます。

シャッターを分離しますが、カバーを分離するためにシボ革をめくらなければなりませんが、このシボ革が樹脂一枚もので、しかも硬化していため、無理な曲げの負荷を掛けると切れてしまう可能性が高いですね。シャッターはTEMPOR。

シャッターを分解してシャッター羽根やスローガバナーなどを洗浄して組み立てています。問題はヘリコイドネジ部がアルミのため、グリス劣化で長時間経過をして腐食が進み「巣」が出来ています。ネジ部も磨耗と荒れがあります。シャッターのテスト中。

完成したシャッターユニットを本体に搭載します。本体側の巻上げ機構は非常に簡素なものですが、日本製のものより作りは良いと思います。

ファインダーは↑のLordsと同じように薄板板金ものですね。トップカバーへの取り付けは、接眼レンズを差し込んでスプリングピン１本を差し込むだけの簡単な方式。清掃をして再組立てをします。

レンズは前板に拭き傷はありますが、カビは清掃が出来てきれいになっています。こちら側のヘリコイドネジ部(アルミ)も古いグリス汚れを丁寧に清掃してあります。

スプールは取り外し出来る専用のものですね。

すべてオーバーホールが終わりました。調子は良好で、年代を考慮すると非常にきれいな個体だと思います。小型で可愛らしいカメラですが、ずっしりとした重さは、日本製にはない本物感がありますね。