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木の実



                  カランコロンと
                  音が聞こえそうな




                  真夏の木の実は
                  乾いた音が
                  楽しそうな気がして




                  二つ三つと
                  落ちてきて
                  欲しいと思ったけれど




                  春を超え
                  夏まで頑張り通した
                  木の実は落ちるはずもなく




                  フンと地面を蹴って
                  頭を上げて見る




                  コロコロの木の実の
                  黒いシルエットが
                  青空に映えて




                  まぁ いいかぁ
                  こんなに青空が似合うなら
                  ずっと そこにいても

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窓辺



                  よく磨かれた
                  ガラス窓からの風景が
                  好きだった




                  曇りガラスに写る
                  影が好きだった




                  そんなことは
                  もうすっかり忘れて




                  乱暴に
                  開けたり閉めたり・・




                  旅先でいつもと違う
                  窓に出会うと




                  ガラス窓の向こうに
                  夢見た頃を思い出したり




                  楽しげに
                  踊るようなシルエットに
                  一緒に踊ろうなどという
                  いたずら心を見つけだしたり




                  旅の窓辺はどこよりも
                  遠いところへ運んでくれる

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青い池・・白金の森



                  白金の森のどこかに
                  青い池があると聞いた




                  見るまでは
                  ほんとうに青いのかと
                  思い続けて




                  池に向かっている小道の
                  白樺の木々の間から




                  キラキラ光る
                  青い水面が見えたとき




                  嬉しさよりも
                  不思議な風景に
                  夢を見ているような・・




                  ただ照りつける
                  太陽の中
                  音のない世界で
                  立ち尽くす




                  数分の後
                  変わらぬ景色に
                  夢ではなかったと・・・

                  帰り道




                  やっと 木の上高く
                  鳴く鳥の声に
                  青い池は美しかったと
                  振り返る


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自然の中で



                  風は駆け足で
                  通り過ぎていく




                  そんな風に
                  ありがとうとも
                  言わないで




                  慣れっこの花たちは
                  どこ吹く風と




                  涼しい顔して
                  これまた当たり前の
                  澄んだ光を受けて




                  遠くの風景と
                  大声で話しているに違いない




                  ほら こんなに
                  楽しそうな花たちが




                  本当の自然の中で
                  のびのびと




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花たちの舞台で



                  花たちは広い舞台で
                  大胆に・・繊細に・・
                  初夏を演じていた




                  紫一面に
                  「香り」を




                  遠く大雪を背景に
                  樹々の緑と




                  白 黄 オレンジ色が
                  風に揺れ




                  「そよぎ」を




                  そして
                  幾色もの花が
                  地を染め




                  「彩り」を表現




                  いつの間にか
                  舞台に上り
                  小さな脇を楽しむ

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紫陽花色へ



                  降り続く雨
                  道端の紫陽花だけは
                  艶っぽさを増し




                  雨に濡れた
                  黒いアスファルトに
                  映えている




                  少し飽きられ始めた
                  片隅の紫陽花もまた
                  ひっそりと色を変え始め




                  紫陽花はポツンと・・
                  少し寂しげにポツンと・・




                  ほんとは
                  そんな紫陽花が
                  一番好きと




                  伝えたいのに・・
                  あと一歩




                  伝えてはいけない
                  そんな雰囲気に
                  あと一歩近づけずに




                  ほんとの紫陽花色に
                  変わっていく姿を
                  そっと見る



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合歓の花



                  花びらは何本?
                  それとも
                  何本はしべ?




                  不思議な花
                  合歓の花




                  brasill70さんから
                  合歓の花のリクエスト




                  井の頭のはずれ
                  一本の合歓の木を見つけて




                  小さな蕾の頃から
                  待って




                  待って 待って
                  やっと咲いたら
                  雨続き




                  美しい合歓の花は
                  高い木の上・・
                  見上げて 背伸びして・・・・ベンチに乗って




                  合歓の花は
                  遠いところで
                  不思議に咲いていた


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ルピナスの花


                  「ルピナスの群生地」
                  大雪の麓を目指し
                  数年前車を走らせていた




                  たどり着いたら
                  一面のルピナスの中に立ち




                  似合うなんてことが
                  あるわけもないのに・・・
                  ニコリと一枚記念撮影




                  なのに・・・今年は
                  走らせる車の両側に
                  色とりどりのルピナスが




                  いつの間にか
                  色も数も増え




                  白樺の白い枝に似合って
                  もう数年の間に
                  似合わないことを
                  すっかり納得・・で




                  花だけの撮影に

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風に乗って



                  どこからか
                  風に乗って




                  耳を澄ませないと
                  聞こえないような




                  幾種類もの
                  花の織りなすハーモニー




                  光が舞うと




                  色と香りが
                  追いかけて




                  風に乗って




                  初夏の風景の中に
                  戻っていく




                  光に溶けて

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ジキタリスの花



                  「ピーターラビット」の
                  本の中での出会い




                  ジキタリスという花の名は
                  特別な響きがあって




                  上へ上へと花をつけ
                  伸びていくこの花が
                  西洋の田舎家に似合うと憧れた




                  低い花々の上に
                  自然に花つけた茎を出し
                  あちこちに咲いている
                  この花を見ながら




                  どこかにしまいこんだ
                  「ピーターラビット」の
                  どこにジキタリスが出ていたか
                  思い出せもしないのに




                  まだ見ぬ花に
                  憧れた気持ちだけは
                  鮮やかによみがえった




                         (4枚目の手前の黄色の花はルピナスです)
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