昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十一) 来ちゃった、、、

2015-04-16 09:01:51 | 小説
アパートに立ち戻った彼は、どっと疲れを感じた。 緊張の糸が切れ、虚脱感に襲われていた。 「コン、コン」 突然、ドアをノックする音が聞こえた。思わず時計を見ると、十時近かった。 〝誰だ、今頃〟 訝しく思いつつも、「ハイ、どなたですか?」と、その場から声を上げた。 「ワタシです、真理子です」 消え入るような声が返ってきた。 彼は、耳を疑った。慌ててドアを開けると、確かに真理子が立っていた。 「来ちゃ . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十一) 他の女性とも相合い傘したの?

2015-04-11 11:54:56 | 小説
耀子のマンションまでの道すがら、降りしきる雨は止むことがなかった。 耀子の持参した傘は小さく、彼の体の半分が濡れていた。 〝そういえば、牧子さんの時もこんな具合だったな〟 思わず苦笑する彼に、耀子が肘で彼の脇腹をつつきながら尋ねた。 「なあに? 思い出し笑いしてえ。もしかして、他の女性とも相合い傘したの?」 耀子の鋭い問いかけに、 「おおっと! わかりますか。実はですねえ、くくく。 ホントは、そ . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十一) 女か? 縁が切れたよ。

2015-04-08 08:15:26 | 小説
二人の女性を見送った後、彼は吉田に詰め寄った。 「一体、どうしてたんだい。心配してたんだぜ、まったく。このまま退学なんてことになるんじゃないか、って」 「うん、まあな」 箸を止めた吉田は、丼の中の麺を箸でかき回しながら答えた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十一) 定番だぜ、ラーメンとチャーハンは。

2015-04-06 08:30:06 | 小説
「よおぉ、彼えぇ!」 学食内に響き渡るような野太い声が、彼を襲った。 相変わらずカレーライスを食している彼の元に、吉田が押っ取り刀で現れた。 額から滝のような汗を掻きながら、 「どうした? 元気ないじゃないか。年上の女性にふられでもしたか?」 と、彼の前に座り込んだ。 「いや、そんなことはないさ。すこぶる、元気だよ。それより、どうしてたんだ」 「しかし、暑いなあ。もう暦の上では秋だというのに。 . . . 本文を読む

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