いよいよ、明日です。今夜にでも、用意をしなくちゃ。旅行準備もですが、部屋の片付けに簡単な掃除も。どうして? 異な事をおっしゃる。 . . . 本文を読む
アパートに立ち戻った彼は、どっと疲れを感じた。
緊張の糸が切れ、虚脱感に襲われていた。
「コン、コン」
突然、ドアをノックする音が聞こえた。思わず時計を見ると、十時近かった。
〝誰だ、今頃〟
訝しく思いつつも、「ハイ、どなたですか?」と、その場から声を上げた。
「ワタシです、真理子です」
消え入るような声が返ってきた。
彼は、耳を疑った。慌ててドアを開けると、確かに真理子が立っていた。
「来ちゃ . . . 本文を読む
いつの間にかまどろんだ彼が目覚ると、もう辺りは真っ暗になっていた。
「しまった! 今日は、バイトの日だった。うわあ、もう八時じゃないか」
慌てて飛び起きると、タバコ屋前の公衆電話に飛びついた。 . . . 本文を読む
ボクちゃん、元気にしていますか?
まだ一週間だというのに、一ヶ月以上逢っていないような気がします。
淋しいです。きっと、ボクちゃんのことだから浮気したでしょうね。
それとも、我慢してくれてるかな? . . . 本文を読む
ひ・み・つ、ククク。それよりねえ、どうなの? ミタ君、本気でダンスをやるつもりある? いいのよ、正直に言って。のぶこでしょ、のぶこに誘われたから入ったんでしょ? 見る目が違ってたからさ」 . . . 本文を読む
耀子のマンションまでの道すがら、降りしきる雨は止むことがなかった。
耀子の持参した傘は小さく、彼の体の半分が濡れていた。
〝そういえば、牧子さんの時もこんな具合だったな〟
思わず苦笑する彼に、耀子が肘で彼の脇腹をつつきながら尋ねた。
「なあに? 思い出し笑いしてえ。もしかして、他の女性とも相合い傘したの?」
耀子の鋭い問いかけに、
「おおっと! わかりますか。実はですねえ、くくく。
ホントは、そ . . . 本文を読む
部員の殆どは帰っていた。耀子とのぶこの二人だけが、後片づけをしていた。
「遅いぞ、ミタ君。もう、終わったよ」
「何してた 今頃、ノコノコやってきて」
笑顔を見せながら、二人が声を揃えて彼を詰った。
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二人の女性を見送った後、彼は吉田に詰め寄った。
「一体、どうしてたんだい。心配してたんだぜ、まったく。このまま退学なんてことになるんじゃないか、って」
「うん、まあな」
箸を止めた吉田は、丼の中の麺を箸でかき回しながら答えた。 . . . 本文を読む
「よおぉ、彼えぇ!」
学食内に響き渡るような野太い声が、彼を襲った。
相変わらずカレーライスを食している彼の元に、吉田が押っ取り刀で現れた。
額から滝のような汗を掻きながら、
「どうした? 元気ないじゃないか。年上の女性にふられでもしたか?」
と、彼の前に座り込んだ。
「いや、そんなことはないさ。すこぶる、元気だよ。それより、どうしてたんだ」
「しかし、暑いなあ。もう暦の上では秋だというのに。 . . . 本文を読む
やっとの思いでアパートに辿り着いた彼は、玄関先の郵便受けに視線をやった。いつもは空のそこに、白い封筒らしきものが見えた。
「お母さんからかな? そういえば、手紙を出していないや」
手にした封筒には、「ボクちゃんへ」とあった。 . . . 本文を読む
昨日は、岐阜祭りでした。
心配された雨も降らずに、代わりに桜吹雪が夕方に…。
午前中に、同人代表宅で文芸誌「文芸長良」の発送作業をすることになり、おじゃましました。
そこで、久々に[子どもみこし]に出会いまして、桜と共にバシャバシャと。 . . . 本文を読む