人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

伊坂幸太郎著「マリアビートル」を読む~愛すべき殺し屋たち

2013年11月15日 07時01分49秒 | 日記

15日(金)。昨夕、4人で飯野ビルのベトナム料理YBで飲みました。30分という約束でしたが、3時間30分でした。いつもの通りです

昨日の朝日朝刊・社会面に「プロの楽器、税関申告不要」という小さな記事が載りました。要約すると

「ドイツの空港で昨年、プロの演奏家のバイオリンが相次いで差し押さえられた問題で、EUは『職業用具として』EU域外から持ちこむ楽器は税関申告しなくてもよい」と規則を変えたことが分かった 21日から適用する。従来はプロの楽器でも、物品の一時輸入のため通関手帳を示し、免税扱いを受ける必要があった。改正後も、プロの楽器以外で、430ユーロ(約5万7千円)以上の物品は、これまで通り税関申告が必要だ

昨年、このニュースを新聞で読んだ時には、ベートーヴェンを生んだドイツで、このような事件が起こるとは信じられない思いがしました。やっと常識的な判断がくだされた訳ですね

 

  閑話休題   

 

伊坂幸太郎著「マリアビートル」を読み終わりました 著者の伊坂幸太郎についてはこのブログでも何冊か紹介してきました。彼は1971年千葉県生まれ。「ゴールデンスランバー」「グラスホッパー」「重力ピエロ」「フィッシュストーリー」「モダンタイムス」等、数えきれないほど面白いエンタテイメント小説を書いてきた人です

この「マリアビートル」は2010年9月に、伊坂幸太郎が3年ぶりに書き下ろした長編小説で、「グラスホッパー」の続編とされている作品です

物語は、東京駅発盛岡行きの東北新幹線「はやて」の車内です 幼い息子に致命的な大けがを負わせた仇に復讐すべく「はやて」に乗り込んだ、元アル中の引退した殺し屋の『木村』。闇社会の大物から密令を帯びた、文学通の『蜜柑』と、機関車トーマスが大好きな『檸檬』の殺し屋コンビ、運とツキに見放された、一見気弱な殺し屋・天道虫こと『七尾』、木村の仇であり、顔は中学生、心は悪魔の『王子』。こうした一筋縄ではいかない連中が同じ新幹線に乗り合わせて、狙い狙われ、追いつ追われつの殺人ゲームが展開します

登場人物はほとんど殺し屋と言ってもいいほどですが、木村は子供想いの良き父親だし、七尾はいつも運に見放されて仕事ができないと嘆いているし、蜜柑は妙に文学通だし、檸檬はなぜか機関車トーマスの大ファンだし、とそれぞれが愛すべき人物なのに対して、王子は悪意に満ちた中学生として描かれています。複雑なストーリーですが、物語の構図としては王子対他の殺し屋たちと言っても良いかもしれません

伊坂幸太郎の”表現へのこだわり”とでもいうべき会話があります。文学通の蜜柑が七尾に対して次のように言います

「死んだ親父から言い残されたことがあるんだ。小説の中で体言止めを多用する作家と、会話の中に『にもかかわらず』って言葉を使うような相手は信用するな、ってな」

そのことを裏付けるように、テンポの良い彼の小説には体言止めの文章は見当たりません

この作品のタイトル「マリアビートル」についての説明がまったくないので、なぜ著者がこのタイトルを付けたのか分かりません たしかにこの物語には天道虫(てんとうむし)こと七尾にある仕事を依頼する真莉亜という女性が登場しますが、ビートル(カブトムシ)は登場しません

読み終わって思うのは、これは映画化したら絶対に面白いぞ、ということです

 

          

コメント
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