18日(月)。昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ショスタコーヴィチ「鼻」を観ました これは今年10月26日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です
キャストは主人公コワリョフにバリトンのパウロ・ジョット、コワリョフの鼻にテノールのアレキサンダー・ルイス、警察署長にテノールのアンドレイ・ポポフほか、指揮はパヴェル・スメルコフ、演出はウィリアム・ケントリッジです
この作品はショスタコーヴィチが21歳~22歳の時にゴーゴリの小説に基づいて作曲した傑作オペラで、1930年に本格的に舞台初演されました。物語は
「床屋の朝食の中から人間の鼻が出てきた 床屋はそれを川に捨てに行くが警察分署長から不審尋問される。同時刻、主人公コワリョフが目覚めて、自分の顔に鼻が無いことに気が付く
街に探しに出たコワリョフは、大聖堂で服を着て歩く鼻に出会い「私の鼻ではないか?」と訊くが鼻であしらわられてしまう
コワリョフは新聞社に行って「求人広告」ならぬ「求鼻広告」を出してくれと頼むが「そんなバカバカしい広告を出したら新聞の評判が落ちる」として断られてしまう
街で大暴れしていた鼻は警察に逮捕され、突然元の形に復帰する 警察分署長に高額な賄賂を渡して鼻を買い取ったコワリョフは、元の場所に鼻を付けようとするが、なかなか付かない
医者を呼んで付けようとするがうまくいかない。やっとのことでピタッと付いたところで、人々は口々に「こんなバカげた話があるはずはない!」「作者は何故こんな話を取り上げたのか?」などと、このオペラそのものへの批判を始める
そんな中を、鼻を顔に取り戻したコワリョフが意気揚揚と街を歩いていく
」
この公演の特徴は、ドローイング・アニメーションの巨匠ケントリッジによる演出です アニメ・フィルムや文字、画像などを舞台背景に投影し奇想天外のドラマを盛り立てて聴衆を飽きさせません
鼻は”張りぼて”で出てきたり、アニメで登場したりします
この作品が作曲された1927~28年頃のソ連は、まだ前衛的な芸術運動が認められていました 青年ショスタコーヴィチの音楽には勢いがあります。奇想天外なストーリーにつける音楽は当時のソ連をオチョクッています
ロシア語による全3幕ですが、休憩時間がなく1時間45分ノンストップで疾走します 幕間の音楽はどこまでが本筋の音楽で、どこからがチューニングか分からないほど不協和音が鳴り響きます
主人公のコワリョフを歌ったパウロ・ジョットは出ずっぱりの熱演で、終始ハリのあるバリトンを聴かせてくれました ”コワリョフの鼻”を歌ったアレキサンダー・ルイスは良くとおるテノールで”自尊心を持った鼻”を魅力のある歌声で表現していました
これはオペラというよりも一つの歌付きの舞台作品として観ても十分面白い作品だと思います。今週金曜日まで、新宿ピカデリー、東劇ほかで上映中です