人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

イングマール・ベルイマン監督の5時間11分の超大作「ファニーとアレクサンデル」を観る ~ シューマン「ピアノ五重奏曲」の第2楽章、シューベルト「ロザムンデ」の間奏曲第3番も流れる

2019年02月11日 07時21分51秒 | 日記

11日(月)。わが家に来てから今日で1592日目を迎え、安倍晋三首相は9日 党本部で開いた会合で、昨年12月に購入した自身の眼鏡の話題に触れ「地元の人たちからお父さんを思い出したと言われた」とエピソードを披露し、党員らの笑いを誘った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ハズキルーペなら尻で踏んづけても壊れませんよ その前に尻に敷かれないように

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でイングマール・ベルイマン監督・脚本による1982年スウェーデン・フランス・西ドイツ合作映画「ファニーとアレクサンデル」(カラー・5時間11分)を観ました

舞台は1907年のスウェーデンの古い大学町ウプサラのクリスマスイブ 少年アレクサンデル(パッティル・ギューヴェ)と妹のファニー(ペルニラ・アルヴィーン)は、富裕な劇場主で俳優の父オスカル・エクダール(アラン・エドヴァル)や女優の母エミリー(エヴァ・フレーリング)と共に毎年恒例のキリスト降誕劇を上演し、クリスマスを盛大に祝った その中心人物は、元女優で今日の栄華を築いたオスカルの母ヘレナ(グン・ヴォールグレーン)だった。ところが、その年明けにオスカルが舞台のリハーサル中に過労のため突然倒れ、そのまま帰らぬ人になってしまう 夫を亡くしたエミリーは、相談に乗ってくれたベルゲルス主教(ヤン・マルムシェー)と再婚することになり、アレクサンデルとファニーは母と主教館に移る そこには主教の母ブレンダ、妹ヘンリエッタ、病気で寝たきりの叔母エルザが住んでいた。兄妹は主教館の暗い雰囲気に驚く。主教は彼らに質素な生活と精神生活を強い、アレクサンデルにはつらく当たった ある日、別荘でくつろぐヘレナのところにエミリーが訪れ、結婚は失敗だった、離婚したいが夫が許さないと訴えた ヘレナは昔愛人だったイサクに相談し、彼の計らいで子どもたちはイサクの家に預けられる。エミリーは夫が睡眠薬で朦朧とする間に主教館を去る。その夜エルザの部屋のランプの火が原因で館が火事になり逃げ遅れた主教も焼死する エミリーは懐かしい劇場を訪問し旧交を温めるのだった

 

     

 

この映画は、イングマール・ベルイマンが自身の故郷である地方都市ウプサラを舞台に撮った自叙伝的作品で、劇場を営む一族の2年間を孫の視点で豪華絢爛に描いた全5部構成・上映時間=5時間以上の群像ドラマです

この映画では、アレクサンデルが新しく父親となった司教に反抗的な態度を取ったことからムチ打ちの罰を受けるシーンがあり、アレクサンデルはますます神の存在を否定するようになりますが、これはベルイマンの父親がプロテスタントの聖職者だったことと無縁ではないのではないか、アレクサンデルこそベルイマンその人ではないか、と思いました

「プロローグ」でアレクサンデルが一人で人形芝居に興じるシーンが映し出されますが、その時バックに流れていたのはロベルト・シューマンの「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44」の第2楽章です 葬送行進曲風の音楽ですが、アレクサンデルの近い将来の苦難を暗示しているかのように響きます また、同じ音楽が第3部でエミリー、アレクサンデル、ファニーの3人が司教に連れられて司教館に移るシーンでも使われており、ここでも3人を待ち受ける司教館の暗く不安に満ちた雰囲気を暗示しているかのように響きます

第1部ではヘレナがシューベルトの劇付随音楽「ロザムンデ」の「間奏曲第3番」を弾くシーンがあります これは家族が平和に暮らしている状況を表しているかのような明るく幸せな音楽です

一方、死の床にあるオスカルが枕元で妻エミリーに「私が死んだらショパンの葬送行進曲を流してくれ」と遺言するシーンがあり、葬式では遺言通りフレデリック・ショパンの「ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 作品35」の第3楽章「レント」がブラス・バンドによって演奏されます

午前10時に始まった上映は第3部と第4部の間に約20分の休憩を挟み、終了は午後3時35分でした まるでワーグナーの楽劇並みの長さですが、まったく飽きることなく楽しむことが出来ました これで新文芸坐のイングマール・ベルイマン特集も終了です いつか「ブルジョワジーの密かな愉しみ」でお馴染みのルイス・ブニュエル監督特集をやってほしいと思います

 

     

コメント
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