14日(木)その2.よい子は「その1」から見てね モコタロはそちらに出演しています
昨夕、上野の東京文化会館小ホールで都民芸術フェスティバル参加公演「デュオの煌めき」を聴きました プログラムは①シューマン「幻想小曲集 作品73」、②メンデルスゾーン「チェロ・ソナタ第2番ニ長調 作品58」、③黛敏郎「BUNRAKU~無伴奏チェロのための」、④プーランク「チェロ・ソナタ FP143」です
演奏はチェロ=岡本侑也、ピアノ=阪田知樹です
岡本侑也は2017年エリザベート王妃国際音楽コンクールのチェロ部門第2位・イザイ賞を受賞 阪田知樹は2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位・6つの特別賞を受賞しています
自席はJ列29番、右ブロック左から2つ目です 実は昨年あたりから この東京文化会館小ホールで聴くたびに不思議なことが続いています
私はほとんどの場合、右ブロックの左サイド(通路側か通路に近い席)を取るのですが、席番号はそのつど違うのに、すぐ前の席がいつも空いているのです
お陰でステージの演奏者が良く見えるのでラッキーだと思っているのですが、売れ残りにしては良い席なので急に来られなくなったとしか考えられません
しかし、そんなことが頻繁に起こるでしょうか
私は無宗教ですが「神の思し召し」でしょうか
いつも嬉しいような怖いような複雑な気持ちでいます
さて、この日のプログラムはすべて初めて聴く曲ばかりです CDを持っていないので予習が出来ず すべてぶっつけ本番で聴くことになります
1曲目はシューマン「幻想小曲集 作品73」です この曲はロベルト・シュ―マン(1810‐1856)が1849年2月に たったの3日間で作曲したクラリネットとピアノのための作品ですが、クラリネットに代えてチェロやヴァイオリンで演奏しても良いとされています
第1曲「繊細に、表情豊かに」、第2曲「生き生きと」、第3曲「情熱をもって」の3つの曲から成ります
二人の演奏者が登場して第1曲から入りますが、岡本侑也のチェロが良く歌います。ヨーヨーマのチェロってこういう感じじゃなかったかな、と思うような明るく伸び伸びとした演奏です 阪田知樹のピアノがピタリとついていきます
2曲目はメンデルスゾーン「チェロ・ソナタ第2番ニ長調 作品58」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1843年に作曲した作品です
第1楽章「アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります
二人の演奏で第1楽章に入りますが、この楽章ではメンデルスゾーン特有の”前へ前へ”という推進力を感じます 第2楽章のスケルツォを経て、第3楽章アダージョは、冒頭ピアノのアルペジオが繰り返され、チェロがなかなか現れません
おもむろに登場するチェロは女王の貫録です
間断なく続けて演奏される第4楽章はチェロもピアノも良く歌います
聴き終わって、この曲もCDを買わねば、と思いました
プログラム後半の最初の曲は黛敏郎「BUNRAKU~無伴奏チェロのための」です この曲は黛敏郎(1929-1997)が1960年に作曲したチェロ独奏のための作品です
人形浄瑠璃の「文楽」をモティーフに、近代のテクニックを駆使しつつ 鈴の音、拍子木、三味線、鼓、語りなどをチェロ1挺で表現します
岡本侑也の技巧を凝らした演奏を聴いて、これは琴を弓で弾くのと同じような音楽かな、と思ったりしました
正直に告白すると、この日のプログラムの中で一番面白く聴いたのはこの作品でした
この曲を海外で演奏したらバカ受けすること間違いなしだな、と思います。日本の世界そのものです
最後の曲はプーランク「チェロ・ソナタ FP143」です この曲はプーランク(1899‐1963)が名チェリスト、ピエール・フルニエの委嘱により1940年から1948年にかけて作曲し、1949年にフルニエによりパリで初演された作品です
第1楽章「アレグロ:マーチのテンポで」、第2楽章「カヴァティーヌ」、第3楽章「バッラービレ(舞踏曲)」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります
第1楽章は軽妙洒脱な音楽のオンパレードです チェロとピアノによる演奏は目先がクルクル変わります。第2楽章は一転、静けさを湛えた美しい音楽です
第3楽章は まさにフランス音楽特有のエスプリを感じさせる曲想です
第4楽章は重厚かつダイナミックな曲想です
二人は色彩感豊かな演奏を繰り広げました。岡本侑也は楽々と弾いているように見えましたが、実際はすごく難しい曲だと思います
会場いっぱいの拍手に、二人はアンコールにポッパーの「ハンガリー狂詩曲」を超絶技巧でダイナミックに演奏し再度大きな拍手を浴びました 二人とも有望な演奏家だと思います