23日(土)。わが家に来てから今日で1604日目を迎え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、探査機「はやぶさ2」が地球から約3億キロメートル離れた小惑星「りゅうぐう」に午前7時29分着陸したと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
このスケールの大きい偉業に比べれば 国会内の与野党のいざこざは些細なことだ
昨日は、娘も私も夜外食だったので、夕食作りはお休みしました
昨夕、サントリーホールで読売日響第585回定期演奏会を聴きました プログラムは①リーム「Ins Offene・・・」、②ブルックナー「交響曲第7番ホ長調」(ノヴァーク版)です 指揮はローター・ツァグロゼクです
ツァグロゼクは1942年ドイツのバイエルン州生まれ。パリ・オペラ座、ライプツィヒ歌劇場音楽総監督、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団首席指揮者、シュトゥットガルト歌劇場音楽総監督などを歴任しています 1955年夏、レーゲンスブルク大聖堂合唱団に在籍していた12歳の時に巨匠フルトヴェングラーに見い出され、ザルツブルク音楽祭の「魔笛」の第一童子に抜擢されデビューしたとのこと。生きている伝説ですね 音楽活動はそれ以来63年の長きにわたるそうです。読響とは2016年以来2度目の共演となります
1曲目はリーム「Ins Offene・・・」の日本初演です この曲はドイツの作曲家ウォルフガング・リーム(1952~)が1992年に作曲し1995年に初演された作品です タイトルの「Ins Offene・・・」は「開いた・・・の中へ」という程度の意味だそうです
ステージには、オケが3つのグループに分かれてスタンバイしています 舞台中央にヴァイオリン、トランペット、打楽器のグループ、向かって右サイドにピッコロ、クラリネット、ホルン、トロンボーン、打楽器、ヴィオラ、チェロのグループ、左サイドにバスクラリネット、コントラファゴット、チューバ、ハープ、ピアノ、打楽器、コントラバスのグループが配置されています さらに2階席の前後左右にヴァイオリン奏者などが配置されており、合計39人で演奏されます
指揮者ツァグロゼクが指揮台に上がり、さっそく演奏に入ります この曲は、各グループ間の音のやり取りや音色の変化が楽しめる作品らしいのですが、典型的な”現代音楽”で、この手の音楽が苦手な私にはチンプンカンプンでした 恥も外聞もなく さらに言えば、なぜ3つのグループに分けなければならないのか、必然性が理解できません 終演後、会場いっぱいの拍手が送られていましたが、どれほどの人が曲を理解した上で称賛の拍手を送ったでしょうか そういう私も拍手をしましたが、それはあくまでも演奏者に対する敬意からです
プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番ホ長調」(ノヴァーク版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年12月30日にライプツィヒで初演された作品です 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります
ステージ上はフル・オーケストラ態勢でスタンバイします 弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び。コンミスは日下紗矢子さんです
ツァグロゼクが指揮台に上がり 第1楽章が弦のトレモロで開始されます そこにホルンとチェロが入ってきますが、この「ブルックナー開始」はいつ聴いてもワクワクします 続いてブルックナーらしい雄大な音楽が展開します 弦楽器が美しい 木管ではフリスト・ドブリノヴのフルートが良い味を出しています
さて、この曲の演奏で私が一番感銘を受けたのは第2楽章「アダージョ」でした ワーグナー・チューバとヴィオラにより重心の低い演奏で始まりますが、弦楽合奏が主題を感動的に歌い上げます この時、コンミス・日下紗矢子さんの動作の大きい演奏姿を見ていて、まるでヴァイオリン・セクション全員の音が日下さんの身体に吸収され、彼女のヴァイオリンを通して客席に訴求してくるように感じました こういう経験は今回が2度目です。1度目は10年ほど前にユベール・スダーンが東京交響楽団を指揮してシューベルトの「交響曲第3番」を演奏した時です その時コンミスを務めたのは大谷康子さんでしたが、今回と同じように感じました なぜか 両方とも女性のコンマスなのが不思議です
ツァグロゼクの指揮で「アダージョ」を聴いていると、彼のテンポで呼吸が出来ることに気が付きます 彼が人間の生理に合った自然な音楽の流れを作っている証左です 弦楽器を中心に、金管も木管も、そして打楽器もスケールの大きな演奏を展開します 終盤のワーグナー・チューバによる葬送音楽を聴いていたら胸が熱くなってきました ここはブルックナーが敬愛していたワーグナーの死を悼んで作曲した音楽です
第3楽章「スケルツォ」はリズム感も良くトランペットと弦楽器が会話を交わします
第4楽章「フィナーレ」は軽快な音楽で開始され、次第にスケール感を増していき、最後はオケの総力を持って音の大伽藍を築き上げます
会場割れんばかりの拍手とブラボーに、ツァグロゼクはコンミスの日下紗矢子さんと固い握手を交わしました
ツァグロゼクはかつてベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者を務めていたことがあり、一方、日下紗矢子さんは現在 同管弦楽団の第1コンサートマスターを務めているので、その関係性が今回の演奏に何らかのケミストリーを生じさせたこともあるかも知れません 今回のツァグロゼク ✕ 読売日響のブルックナーは、コンミス日下紗矢子あっての名演奏だったと思います