20日(水)。昨日のブログに映画「ライ麦畑で出会ったら」のことを書いたら、勝浦市在住の大学時代の友人S君から電話があり、「当時は サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』と高野悦子の『二十歳の原点』がバイブルみたいな存在だった」という話になりました まっとうに読んだことのないサリンジャーはともかくとして、「二十歳の原点」は立命館大学文学部の学生だった高野悦子の日記や詩(1969年1月2日=大学2年から6月22日=大学3年まで)を元に著されたものです。全共闘運動に限界を感じ、恋人との関係に悩み、最後に自殺を選ぶまでの女子学生の心情が綴られていて、ほぼ同じ年代の若者として他人事とは思えませんでした
S君の電話を機に、三島由紀夫の陸上自衛隊市ケ谷駐屯地立て籠り・割腹事件、連合赤軍による浅間山荘事件、大学側による学生締め出しロックアウト、O君と革マル派の集会を見物に行ったこと等々 学生時代に起こった あれこれ を思い出しました S君、ありがとう。暖かくなったら また飲みに行きましょう
ということで、わが家に来てから今日で1601日目を迎え、トランプ米大統領が国境の壁の建設費を捻出するため、国家非常事態宣言を出したのは憲法違反だとして、カリフォルニア州など計16州が18日、カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプは最高裁の保守派判事を多くしたから 最終的には勝てると思っているぜ
昨日、夕食に「豚バラ大根」「白菜、シメジ、豆腐とタラのプチ鍋」「大根の葉のお浸し」を作りました 「豚バラ~」は大根をピーラーで剥いたので比較的短時間で出来上がりました
5月3日から5日までの3日間、東京国際フォーラムで開かれる「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019」の先行抽選販売(28日まで)の申し込みをしました 申し込んだのは3月2日からの先着販売では取れそうにない収容人数の少ないD7(221席)とG409(153席)の公演で、3日=5公演、4日=5公演、5日=4公演の計14公演です 抽選結果は3月1日(金)18時以降となっています。ダメ元ですが、抽選結果が楽しみです
昨年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭 ~ 東京国際フォーラム ガラス棟
昨日、早稲田松竹で「顔たち、ところどころ」と「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」の2本立てを観ました
「顔たち、ところどころ」はアニエス・ヴァルダ監督による2017年フランス映画(89分)です 「ヌーヴェルヴァーグの祖母」とも呼ばれる女性映画監督の先駆者で、2015年にはカンヌ国際映画祭で史上6人目となるパルム・ドール名誉賞、2017年には60年以上にもわたる映画作りの功労が認められアカデミー名誉賞を受賞したアニエス・ヴァルダ(作中で87歳)と、大都市から紛争地帯など様々な場所で、そこに住む人々の大きなポートレートを貼り出す参加型アートプロジェクトで知られるフランス人アーティストのJR(作中で33歳)。歳の差54歳の二人がフランスの田舎町をスタジオ付の小型トラックで巡りながら市井の人々と接し、作品をともに作り現地に残していく旅の様子を記録した、ロードムービー・スタイルのドキュメンタリーです
これは本当に楽しい映画でした 炭鉱労働者の村に一人で住む老女の写真を撮り、大きく拡大して住居の外壁に貼り出すと、それを見た老女が感動で涙するシーンは忘れられません これこそ生きた芸術ではないか と思った瞬間でした。これと同じようなことを行く先々で試みるわけですが、被写体となる市井の人々の笑顔がとても良く撮れていて、写真はその人の人間性を映し出すということが良く分かります
JRはどこに行っても決してサングラスを外さず帽子もとらないので、バルダは「あなたはマナーが悪い。本当の自分を隠している」と面と向かって非難し、二人の関係が険悪になったりもしますが、何とか折り合いをつけながら旅を続けます 村の人から「二人はどんな関係なの?」と訊かれると、JRは「出会い系サイトで知り合ったんだよ」とジョークを飛ばしますが、バルダは「ウソよ 私はそんな積極性は持っていないわ」と真面目に答えます こういうシーンは本当に可笑しいです
最後にバルダは「JRが 人と出会い顔を撮る という願いを叶えてくれた」として お礼に、 昔ともに映画の仕事をした映画監督J.L.ゴダールの家を訪ね JRを紹介するというサプライズを伝えます しかし、バルダが予め訪問の日時を約束していたにも関わらずゴダールは留守にしていて、窓にメッセージが残されていただけでした それを見たバルダは気を悪くし涙を浮かべますが、その時 そばにいる54歳年下のJRは「僕が君に何かしてあげることはないかい?」と言って、初めてサングラスを外します この時初めてJRの素顔を見たバルダは「あなたは優しいのね」と呟きます。このシーンは目頭が熱くなりました 久しぶりにいい映画を観ました
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」はルーシー・ウォーカー監督、ジム・ベンダース製作総指揮による2017年イギリス映画(110分)です
アメリカの偉大なギタリスト、ライ・ク―ダ―がキューバでセッションした地元のベテラン・ミュージシャンたちに声をかけて結成されたビッグバンドが「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」です 彼らが1997年にリリースしたアルバムは世界的な話題を集め グラミー賞を受賞、アルバムは400万枚を売り上げました 彼らの音楽に惚れ込んだヴィム・ヴェンダースが1999年に監督した音楽ドキュメンタリー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は世界中で公開され大きな話題を呼びました この映画は、それから18年を経て、グループによる活動に終止符を打つと決めた彼らのアディオス(さよなら)世界ツアーを追うとともに、彼らのプロとしてのキャリアの浮き沈みやこれまでの旅路を振り返るドキュメンタリーです
残念ながら、私は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のメンバーを一人も知らないし、どういう歌を歌っていたのかも知らなかったので、この映画を”楽しむ”までのレヴェルには至りませんでした
この映画で一番印象に残っているのは、当時 アメリカ大統領だったオバマさんが「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のメンバーをホワイトハウスに招いてセッションを開いた時のシーンです その時、オバマ大統領は次のようにスピーチしました
「『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のアルバムが発売された時は、私もCDを買いました 今の若い人たちは知らないかもしれないけれど、このくらいの大きさの、丸い」
つまり、オバマ大統領は「今の若い人たちは知らないかもしれないけれど、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』はね・・・・」と説明するのでなく、「今の若い人たちは知らないかもしれないけれど、このくらいの大きさの、丸い」」とCDの説明を始めて、ジョークで笑いを取ったのです Good Job でした。(今の大統領に出来るか?)
さて、ここで考えたいのは、アメリカとキューバの関係です 2015年4月にオバマ政権はキューバの「テロ支援国家」指定を解除すると発表、同年5月29日にリストの除外が正式に決定しました。そして、同年7月20日にアメリカ、キューバ相互に大使館が開設され、1961年に断交して以来54年ぶりに国交が回復しました 映画ではオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が両国の国旗を背景に握手をするシーンが映し出されました
ところが、オバマ氏の後を継いだドナルド・トランプは2017年6月16日にオバマの対キューバ政策を完全に解消するという路線を打ち出しました オバマ政権下で緩和された施策を否定し、キューバ軍関連組織との商取引規制や渡航制限などの対キューバ制裁強化策が同年11月9日から施行されることになりました せっかく築き上げた信頼関係を平気でぶち壊すのがトランプの特技のようです
この映画はその年=2017年にイギリスで製作されましたが、トランプ政権へのイギリス映画界からの警告の意味も合わせ持っていると考えるのは 穿った見方でしょうか