人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パーヴォ・ヤルヴィ ✕ NHK交響楽団でストラヴィンスキー「春の祭典」「花火」「幻想的スケルツォ」「ロシア風スケルツォ」「葬送の歌」を聴く ~ スーパー・ドライな演奏:第1908回定期演奏会

2019年02月22日 07時21分27秒 | 日記

22日(金)その2.よい子は「その1」から見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨夕、サントリーホールでNHK交響楽団第1908回定期演奏会(Bプロ)を聴きました オール・ストラヴィンスキー・プログラムで、①幻想曲「花火」作品4、②「幻想的スケルツォ」作品3、③「ロシア風スケルツォ」、④「葬送の歌」作品5、⑤バレエ音楽「春の祭典」です 指揮はパーヴォ・ヤルヴィです

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成。左奥にはハープが3台スタンバイします。コンマスはマロこと篠崎史紀氏です

1曲目は幻想曲「花火」作品4です この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)が1908年に、作曲の師匠リムスキー・コルサコフの娘の結婚祝いのために書き始めた作品ですが、何と師匠は死去してしまい、楽譜は戻されてきたそうです。「花火」は不発に終わったことになります しかし、この曲が 次に演奏される「幻想的スケルツォ」とともに1909年2月6日にサンクトペテルブルクで初演された時に、ロシア・バレエ団を率いる伝説の興行師セルゲイ・ディアギレフが聴いていたのです 彼こそ、ストラヴィンスキーに「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」のバレエ三部作を書かせたその人です その意味では「花火」は後で大倫の花を咲かせることになります

曲を聴いた範囲では、花火と言っても打ち上げ花火のようなものではないように感じます しかし、ヤルヴィの指揮で聴くこの曲は、管弦楽の鳴り方がすでにストラヴィンスキーそのもので、色彩感豊かな演奏が展開します

続いて演奏される「幻想的スケルツォ」作品3は、幾分おとなしめの作品です

3曲目は「ロシア風スケルツォ」です この曲はロシアからアメリカに渡ったストラヴィンスキーが、新大陸で作曲した意欲作です 「プログラム・ノート」によると、「最初、ある戦時プロパガンダ映画のために用意されたものが、次にジャズ・バンド用に仕立て直され、最後にフル・オーケストラ用に編曲された」とのことです どこか「ペトルーシュカ」をジャズ風にアレンジした曲のような感じがします 演奏がのってきて速いテンポで絶好調に達したと思ったら急に音楽が止まってしまいます われわれ聴衆は、急ブレーキをかけて止まった車から慣性の法則によって前に放り出されたような感覚に襲われます こういう感覚はストラヴィンスキーの他の作品にあったような気がします

前半最後の曲は「葬送の歌」作品5です この曲は師と仰ぐリムスキー・コルサコフを亡くしたストラヴィンスキーが、1908年の夏に、彼の死を悼んで作曲した音楽です 「プログラム・ノート」によると、楽譜は初演後、革命の混乱のなかで失われたと言われてきたそうです その後、2015年のサンクトペテルブルク音楽院の図書館改修工事の折に、初演から100年以上の時を経て「葬送の歌」の楽譜が発見されたそうです

ヤルヴィの指揮で演奏が開始されます。冒頭の低弦によるトレモロが不気味な雰囲気を醸し出します 曲想は異なるものの、私にはムソルグスキーの「禿山の一夜」や、ベルリオーズの「幻想交響曲」に近い不気味な音楽に思えました。暗く重い音楽です


     


プログラム後半はバレエ音楽「春の祭典」です 前述の通り、この曲はロシア・バレエ団の主宰者・ディアギレフの依頼により「火の鳥」「ペトルーシュカ」に次いで作曲され、1913年5月29日にパリのシャンゼリゼ劇場でピエール・モントゥーの指揮、ロシア・バレエ団のバレエにより初演されました 初演当日は、支持派と反対派の怒号が飛び交い、ろくに演奏が聴こえなかったと言われています

ヤルヴィの指揮で第1部「大地の讃仰」の演奏に入ります 冒頭の「序奏」はファゴットの独奏で始まりますが、この演奏が異様に長く感じました。今まで聴いた中で一番長いと思います 第1部の終曲「大地の踊り」は速いテンポで絶好調に達したところで急にストップします 前半で聴いた「ロシア風スケルツォ」と同じで、慣性の法則で前に放り出されたような感覚を覚えます

第2部「いけにえ」を含めて全体を通して聴いた印象は、当初の予想通りメリハリの利いた明快な演奏でした キャッチフレーズ的に言えば「スーパー・ドライ」な演奏です ビールの「超辛口」ではありません。「アサヒ・スーパー・ドライ」の宣伝文句を思い出してください。そう、「コクがあるのに キレがある」です 歌わせるところは十分に歌わせて「コクがある」一方、ファゴット、オーボエ、イングリッシュホルン、フルート、クラリネットといった木管楽器、トランペット、トロンボーン、ホルンといった金管楽器、ティンパニ、大太鼓、シンバルといった打楽器の個々の楽器の演奏にキレがありました N響の楽員はヤルヴィの指揮に俊敏に反応してスピード感あふれる演奏を展開しました

終演後、若手の女性ヴァイオリン奏者からヤルヴィに花束が手渡されました 次に定期公演を振るのは6月なので、今回で一段落といったところでしょう


         

 

コンサートに先立って、サントリーホール窓口で、6月に「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」の一環として開かれる「クス・クァルテット ベートーヴェン・サイクル Ⅰ~Ⅴ」の引き換え券と5枚のチケットとを引き替えました 今年もベートーヴェンの弦楽四重奏曲を全部聴くぞ


     

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ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」(Pf:沼田昭一郎)、グレンダール「トロンボーン協奏曲」(Tb:藤田麻里奈)を聴く~東京藝大モーニングコンサート / 2019年度年間チケットを取る

2019年02月22日 00時09分00秒 | 日記

22日(金)その1.モコタロの調子が良くありません うつろな目をして顔が左に傾いているので、娘が駒込の動物病院に連れていき診てもらったところ、原因は不明だが神経系統か三半規管の障害だと思われるとのことでした 元気がなくケージの外に出ようとしないのですが、食事はおやつも含めてちゃんと食べているので、処方された飲み薬を飲ませてしばらく様子を見ることにしました

ということで、わが家に来てから1603日目を迎え、21日午前の衆院予算委員会の審議が、桜田義孝五輪相が遅刻したため中断した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       桜田氏は スペインのサクラダファミリアみたいに 政治家としては未完成のままだ

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉のアスパラ巻き焼き」と「トマトとレタスのスープ」を作りました 「豚肉~」は久しぶりに作ったので ちょっと手順を間違えましたが、味は大丈夫でした

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から東京藝大奏楽堂で「第13回藝大モーニング・コンサート」を、午後7時からサントリーホールでN響B定期公演を聴きました ここでは「第13回藝大モーニング・コンサート」について書きます。プログラムは①グレンダール「トロンボーン協奏曲」(Tb:藤田麻里奈)、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30」(Pf:沼田昭一郎)です 管弦楽は藝大フィルハーモニア管弦楽団、指揮は高関健です


     

 

全席自由です。1階11列13番、センターブロック左通路側を押さえました   2018年度最後のモーニング・コンサートとあってか、会場は文字通り満席です

オケは高関シフト=左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンマスは植村太郎です

神奈川県横浜市出身の藤田麻里奈さんが濃紺のシックな衣装で登場、センターでスタンバイします   演奏するのはデンマークの作曲家・ヴァイオリニスト・指揮者だったラウ二・グレンダール(1886-1960)が28歳の時、1924年に作曲した「トロンボーン協奏曲」です 第1楽章「モデラート・モルトマエストーゾ」、第2楽章「アンダンテ・グラーヴェ」、第3楽章「マエストーソ」の3楽章から成ります

高関氏の指揮で演奏に入ります。第1楽章冒頭のメロディーを聴いた時、まるで映画音楽のようだと思いました 全楽章を通じて感じたのは、北欧の冷たい空気を感じさせる弦楽器と、温かみのあるトロンボーンの優しい音色のコラボレーションが鮮やかだったということです 藤田さんは、確かなテクニックの裏付けによって最高音から最低音まで美しい音色でグレンダールの世界を表出しました 滅多に演奏される機会のない曲を取り上げ、素晴らしい演奏をしてくれた藤田さんに感謝します 藤田さんは現在、藝大6年生ということですが(6年生と大学院2年生は違うのでしょうか?)、これからどういう道に進むにせよ、自分の信じる道をしっかりと歩んでほしいと思います


     


プログラム後半はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1909年に、アメリカとカナダを旅行中に作曲した作品で、作曲者は「アメリカのために作曲した」と語っています 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「インテルメッツォ:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーヴェ」の3楽章から成ります

演奏するのは学部3年生、埼玉県出身の沼田昭一郎君です 高関氏とともに現れた青年は、細身のひょろっとした体つきで、この難曲を弾きこなすスタミナとパワーがあるのだろうか?と心配になるくらいでした その結果は40分後に分かるはずです

高関氏のタクトで第1楽章が開始されます オケによる短い序奏に続いてピアノが叙情的な第1主題を奏でます。次第に盛り上がっていき、カデンツァでピアノ独奏は超絶技巧の頂点に達します 技術的には完璧で、相当 複雑かつ演奏困難であろうパッセージを、沼田君は何の苦もなく弾いているように見えるところが凄い 最初からパワー全開です。第2楽章は冒頭のオーボエによる美しい旋律が印象的です 第3楽章は再びパワフルなピアノのよる怒涛の快進撃が続きます 高関氏も負けていません。藝大フィルハーモニアを煽り立て、歌わせるべきところは歌わせます ピアノとオケとの丁々発止のやり取りが激しいフィナーレは圧巻でした

会場いっぱいの拍手とブラボーは、「細身のひょろとした体つきで、この難局を弾きこなすスタミナとパワーがあるのだろうか」という懸念を一気に吹き飛ばした沼田君の 胸のすくような演奏に送られました 2018年度「モーニング・コンサート」の最後を飾るのに相応しい素晴らしい演奏でした    私たちは「人は見た目で判断してはならない」という教訓を沼田君から教えられました


         


昨日、午前11時からの「モーニング・コンサート」に先立って、奏楽堂の受付で「2019年度モーニング・コンサート」の全13回セット券(@1,000円✕13枚。全席自由。入場整理番号付き。限定200セット)を取りました 午前10時から発売開始なので9時25分頃 現地に着いたのですが、すでに30人以上が並んでいました   私の取ったチケットの整理番号は36番です。今年度が35番だったので1番違いです

2019年度モーニング・コンサートの日程等は下のチラシの通りです 2019年度も26名の藝大生が出演しますが、どんな学生が誰のどの作品を演奏するのか、今から楽しみです


     

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