人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト&ブラームス「クラリネット五重奏曲」を聴く ~ イシュトヴァン・コハーン、植村太郎、石上真由子、朴梨恵、辻本玲:北とぴあ つつじホール

2019年11月16日 07時15分16秒 | 日記

16日(土)。わが家に来てから今日で1874日目を迎え、中国の習近平国家主席は14日、香港の抗議活動について「暴力的な犯罪行為が続いており、法治と社会秩序を著しく踏みにじっている。香港警察が厳格に法を執行するのを強く支持する」と述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       暴力的な犯罪行為をやってるのは香港警察だろうが! 人権問題では中国は小国だ

     

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 決め手は焼き具合と、塩、黒コショウ、日本酒、醤油、オイスターソース、トマトケチャップによる味付けです

 

     

 

         

 

昨夕、王子の北とぴあ つつじホールで「クラリネット五重奏  室内楽演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「セレナード第10番変ロ長調K.361”グラン・パルティータ”」より第3楽章「アダージョ」(イシュトヴァン編)、②同「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」、③ブラームス「6つの歌より”愛のまこと”作品3-1」(イシュトヴァン編)、④同「5つの歌曲」より”メロディーが導くように”作品105-1(同)、⑤同「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」です 演奏はクラリネット=イシュトヴァン・コハーン、ヴァイオリン=植村太郎、石上真由子、ヴィオラ=朴梨恵、チェロ=辻本玲です

イシュトヴァン・コハーンはハンガリー出身。数々の国際コンクールで第1位を受賞しており、現在は東京音楽大学非常勤講師を務めています 植村太郎は現在 東京藝大准教授で、前日、高関健指揮藝大フィルハーモニア管弦楽団の定期公演でコンマスを務めました 石上真由子は高校2年の時に第77回日本音楽コンクール第2位、現在長岡京室内アンサンブルのメンバーとして活躍しています 朴梨恵はハノーファー音楽大学院ヴィオラ科を修了、現在京都を中心に活躍しています 辻本玲は現在、日本フィルのソロ・チェロ奏者を務めています

 

     

 

北とぴあは都電利用によりdoor-to-doorで20分と、自宅から一番近いコンサートホールです さくらホールは何度か聴いたことがありますが、つつじホールは初めてです

全自由席です。K列22番、右ブロック左通路側を押さえました 会場は8割方埋まっているでしょうか。前半は植村太郎が第1ヴァイオリンを務めます

冒頭、植村氏がマイクを持って、「われわれはいつもは京都を中心に活動していますが、今日は初めて東京での開催です 東京で最初のコンサートがなぜ 北とぴあ なのか、と言いますと、私の自宅がすぐ近くだからです いつも北とぴあの前を通って王子駅まで行き来しています。それでは、本日の演奏曲目についてイシュトヴァンに解説してもらいます」とあいさつ、イシュトヴァンにマイクを渡しました イシュトヴァンは いきなりハンガリー語らしき言語で流暢に話し始めましたが、通訳がないので誰もがチンプンカンプンです その後、日本語で「皆さん、ご安心ください。わたし日本語出来ます」と宣言して曲目の解説に入りました たどたどしい日本語でユーモアを交えながらモーツアルトの「グランパルティータ」や「クラリネット五重奏曲」を初めて聴いた時の感動を中心に、結構な時間をかけて解説しました モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」の第3楽章「メヌエット」は、曲想が単純であるにも関わらず演奏するのがとても怖い、と語っていたのが印象に残りました 確か彼のパートナーは日本人女性だったと思いますが、そうした環境が人前で躊躇なく日本語を話すことを可能にしたのではないかと思います もう少し要領よく話せると良いのに、とは思いますが、母国語でなく日本語で自分の演奏曲目に対する想いを一生懸命 語る姿勢には好感が持てました

さて、1曲目はモーツアルト「セレナード第10番変ロ長調K.361”グラン・パルティータ”」より第3楽章「アダージョ」(イシュトヴァン編)です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1781~82年に作曲した「13管楽器のためのセレナード」を、イシュトヴァンがクラリネット五重奏用に編曲したものです この曲はミロス・フォアマン監督「アマデウス」で、サリエリがモーツアルトの天才を知り、自分の才能のなさを自覚するシーンで流れる運命的な曲として使われています オーボエが演奏する部分を第1ヴァイオリンが奏で、そこにクラリネットが絡んでくるのですが、このアダージョは聴くたびに感動で鳥肌が立ちます 本当はオーボエとクラリネットで聴きたいところですが、イシュトヴァンの編曲は本質を捉えていました

2曲目は「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」です この曲はモーツァルトが1789年に、クラリネットの名手アントン・スタードラーのために書いた作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「メヌエット~トリオ1・2」、第4楽章「アレグレット・コン・ヴァリアツィオー二~アダージョ~アレグロ」の4楽章から成ります

イシュトヴァンはもうすぐ30歳になる、とプログラム・ノートで自己紹介していますが、彼の演奏を聴く限り、とても20代の演奏とは思えない壮年期の円熟した演奏に感じられます 確かな演奏技術に支えられた歌心は人を惹きつける力を持っています 第2楽章「ラルゲット」は至高の音楽ですが、イシュトヴァンは天上の音楽のように明るく清らかに演奏しました 植村氏をはじめとする弦楽四重奏がしっかりソリストを支えました


     


プログラム後半はヨハネス・ブラームス(1833-1897)の3曲です 第1ヴァイオリンが石上真由子に代わります

最初の「6つの歌」より”愛のまこと”作品3-1と「5つの歌曲」より”メロディーが導くように”作品105-1は、ブラームスの歌曲をイシュトヴァンが編曲したものですが、前者はほの暗い雰囲気の、後者は憧れを感じさせるような曲想でした

最後は「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」です この曲はブラームスが1891年にクラリネットの名手リヒャルト・ミュールフェルトの演奏に刺激を受けて作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アンダンティーノ~プレスト・ノン・アッサイ、マ・コン・センチメント」、第4楽章「コン・モト~ウン・ポコ・メノ・モッソ」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭の石上真由子と植村太郎のヴァイオリン二重奏が素晴らしい 一気にブラームスの世界に引き込まれます モーツアルトではあまり目立たなかった辻本玲のチェロが俄然前面に出てきます さすがは ブラームスだなあ と思います 第2楽章「アダージョ」におけるクラリネットによる寂寥感に満ちた演奏に深い感動を覚えます   さらに石上真由子のヴァイオリンが良く歌います 第3楽章、第4楽章ともクラリネットを中心とする5人のアンサンブルが見事です

演奏を聴き終わって、引退を決めていたブラームスの前にミュールフェルトという天才クラリネット奏者が現われなかったら、晩年の傑作、クラリネット・ソナタ(2曲)、クラリネット三重奏曲、クラリネット五重奏曲は世に出なかったんだな、と感慨深いものがありました モーツアルトにはアントン・シュタードラーがいたように、ブラームスにはリヒャルト・ミュールフェルトがいた 作曲家に作曲する気持ちを起こさせる力を持った演奏家の存在がいかに大きいかを感じざるを得ません

5人はアンコールに、モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」第4楽章のフィナーレを演奏、明るくコンサートの幕を閉じました

 

     

コメント
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