人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングで「トゥーランドット」を観る ~ フランコ・ゼフィレッリによる絢爛豪華な演出、トゥーランドットのクリスティーン・ガ-キー、リューのエレオノーラ・ブラットにブラボー!

2019年11月21日 07時19分45秒 | 日記

21日(木)。わが家に来てから今日で1879日目を迎え、安倍晋三首相の通算在職日数は20日で計2887日となり、明治・大正期に首相を3回務めた桂太郎の2886日を超えて憲政史上最長となった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        「森友・加計問題」から「桜を見る会」まで 長期政権のおごりが累積してる    

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」と「エリンギの中華スープ」を作りました 唐揚げは時々食べたくなります。唐揚げにはやっぱりビールです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング2019-2020の第1弾、プッチーニ「トゥーランドット」を観ました   これは今年10月12日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です

キャストはトゥーランドット姫=クリスティーン・ガ-キー、カラフ王子=ユシフ・エイヴァゾフ、リュー=エレオノーラ・ブラット、ティムール=ジェイムズ・モリスほか。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、演出=フランコ・ゼフィレッリです

 

     

 

このオペラはジャコモ・プッチーニ(1858-1924)が生涯最後の瞬間まで書き続け、未完に終わった作品です

物語の舞台は、昔の中国・北京の紫禁城。トゥーランドット姫は異国の王に権力を奪われた祖先ロウリン姫に自分を重ね、外国の王子からの求愛を拒絶し、自分が出す「3つの謎」を解けなかった王子を次々に処刑していた ペルシャの王子の公開斬首刑の場に、目の不自由な老人とお付の女性が現われる。かつてのダッタンの王ティムールと女奴隷リューだった そこで偶然、息子のカラフと再会する。カラフは父やリューの制止に耳を貸さず姫への新たな挑戦者に名乗り出る カラフがトゥーランドット姫が出した「3つの謎」を解くと姫は狼狽する カラフは逆に「夜明けまでに自分の名前を当てれば、命を差し出す」と提案する トゥーランドット姫は「王子の名前が判るまでは誰も寝てはならぬ」というおふれを出す。カラフはこれを受けて「誰も寝てはならぬ」を歌う 3大臣(ピン・パン・ポン)が美女や財宝を差し出して北京を去るよう促すが、カラフは耳を貸さない そこにティムールとリューが引き出され「謎の王子」の名前を引き出すための拷問を受ける リューは口を割らず「氷のような姫君」を歌い自害する カラフのために自身を犠牲にするリューの死に動揺する姫をカラフは激しく抱きしめ、熱い口づけで真実の愛に目覚めさせる 姫は群衆を集め「ついに謎が解けた。彼の名は愛」と告げる

 

     

 

METライブ「トゥーランドット」を観ていつも感動するのは、フランコ・ゼフィレッリの細部にこだわった演出・美術による絢爛豪華な舞台です そのゼフィレッリは今年6月に死去したことから、METはこの公演を彼に捧げています なお、この公演の演出は、前回までのMETライブ「トゥーランドット」とは細部で若干変えているようでした

トゥーランドット姫を歌ったクリスティーン・ガ-キーは、2018‐19シーズンのMET「ワルキューレ」でブリュンヒルデ役が絶賛されたアメリカのドラマティック・ソプラノです ひと言でいえばパワフルで美しい高音が魅力で、演技力も十分です 私が今まで聴いたMETライブの「トゥーランドット」のタイトルロールは、マリア・グレギーナが最強でしたが、ガ-キーは彼女に匹敵する強靭な声の持ち主だと思いました

トゥーランドット姫とは対極の役柄であるリューを歌ったエレオノーラ・ブラットは、2007年にオペラデビューしたイタリアの若手ソプラノですが、研ぎ澄まされた叙情的な歌唱によって聴衆を深く感動させました

カラフを歌ったユシフ・エイヴァゾフは、1977年アゼルバイジャン生まれのドラマティック・テノールですが、明るく輝く声質の持ち主です 立派な顎鬚が特徴ですが、彼はMETを代表するプリマドンナ、アンナ・ネトレプコの夫と言った方が分かり易いかも知れません 幕間のインタビューで「今日(10月12日)は尊敬するパバロッティの誕生日です。この日のアリアは彼に捧げます」と語っていました。それだけに「誰も寝てはならぬ」は聴きものでした 余談ですが、この曲は2006年のイタリア・トリノ冬季五輪でフィギュア・スケートの荒川静香選手がフリー演技の音楽に採用したことで一気に人気が沸騰しました

ティムールを歌ったジェイムズ・モリスは1947年ボルティモア生まれの大ベテランで、深く豊かなバスバリトンで歌に説得力を持たせていました

特筆すべきはMET音楽監督2年目を迎えたヤニック・ネゼ=セガン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団による迫真の演奏です 終始、集中力に満ちた演奏で、トゥーランドットの気強さに、カラフの情熱に、リューの悲しみに寄り添いながら、スケールの大きい演奏を繰り広げました

最後に忘れてはならないのはメトロポリタン歌劇場合唱団による迫力あるコーラスです 彼らがいかにこの公演に厚みを与えているか 図り知れません

METの「トゥーランドット」を観て感動しない人はいないでしょう これを観れば「オペラは総合芸術である」ということが一目瞭然です

ところで、このオペラを観ていつも思うのは、カラフほど利己主義的な男はいないだろう、ということです 目の不自由な父親をほったらかし、リューの自己犠牲をいいことにして、惚れた女と結婚して自分だけ幸せになろうというのですから その観点から言うと、今年7月に新国立劇場「オペラハウス」で上演されたアレックス・オリエ演出による新国立オペラ「トゥーランドット」の結末は説得力を持っていました 「カラフとトゥーランドットがめでたく結婚して幸せな人生を歩むなんて許せない」という演出になっていました(今年7月20日付の当ブログ参照)。いずれにしても、METのオーソドックスなスタイルにせよ、アレックス・オリエによる斬新なアプローチにせよ、プッチーニは この未完のオペラを 最終的にどのように決着させようとしたのだろうか、と思いを巡らせたくなる初冬の候です

 

     

コメント
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