10日(日)。わが家に来てから今日で1868日目を迎え、9日午前4時ごろ、大阪市新町の路上で、覚せい剤取締法違反などの罪で起訴され 大阪地検が護送中だった被告の男が護送車両から逃走した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
またか! 手錠だから逃げられるんだ 足枷をはめとけばそう遠くへは逃げられない
昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」を観ました キャストはドン・パスクワーレ=ロベルト・スカンディウッツィ、マラテスタ=ピアジオ・ピッツーティ、エルネスト=マキシム・ミロノフ、ノリ―ナ=ハスミック・トロシャン、公爵人=千葉裕一。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=コッラード・ロヴァ―リス、演出=ステファノ・ヴィツィオーリです
当初ノリ―ナを歌う予定だったダニエル・ドゥ・ニースが降板したのは非常に残念です 彼女はMETライブビューイングでもお馴染みのソプラノ歌手で、ライブで聴くのを楽しみにしていました
大金持ちの老人ドン・パスクワーレは、跡継ぎである甥のエルネストが縁談を断るので、自分が結婚して子どもを作ると宣言する 実はエルネストは若い未亡人ノリ―ナと愛し合っていたのだ ドン・パスクワーレはエルネストが跡を継がないため遺産は相続させず、おまけに家から出ていくように言う 医者でエルネストの友人マラテスタは、若い二人のために一計を案じる 自分の妹と偽り、ノリ―ナをパスクワーレに紹介する。清純な娘を演じるノリ―ナにパスクワーレは一目ぼれし、結婚契約書に署名するが、その途端にノリ―ナはわがままで贅沢三昧の悪妻に豹変する パスクワーレは困り果て、あまりの自己チューにとうとう堪忍袋の緒が切れ、彼女に出ていけ、と告げる
この作品は新国立オペラで初上演ということもあり、私がこのオペラを観るのはこれが初めてです
ドン・パスクワーレを歌ったロベルト・スカンディウッツィはイタリア生まれのバスですが、新国立オペラでは2001/2002シーズン「ドン・カルロ」以来の出演です 終始 力強く余裕のある歌唱で聴衆を圧倒しました 喜劇の主役というと笑いを誘う過剰演技をしがちですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です その点、演技力も節度を保った真面目なもので好感が持てました
マラテスタを歌ったピアジオ・ピッツーティはイタリア・サレルモ出身のバリトンですが、良く通る声で歌唱力も抜群でした 彼は身のこなしが柔軟で演技にスピード感があり、老人ドン・パスクワーレの緩慢な動作と好対照な動きを見せました
エルネストを歌ったマキシム・ミロノフはロシア生まれのテノールですが、甘く輝く歌声はベルカントそのものです
ノリ―ナを歌ったハスミック・トロシャンはアルメニア生まれのソプラノですが、声が良く通り、とくに高音が美しく、演技力も申し分ありませんでした
新国立劇場合唱団は第3幕を中心に迫力ある合唱を展開しました。
コッラード・ロヴァ―リス指揮東京フィルは、歌手に寄り添いながら、ときに自らベルカントを歌い上げました
コンピューター制御による舞台転換はスムーズで、ストーリー展開を弛緩させないという意味で大きな役割を果たしました
ところで「ドン・パスクワーレ」はドラマ・ブッフォ(滑稽な劇)です 「金持ちの老人が年甲斐もなく若い女性に恋をして結婚するが、それには裏があり、ひどい目に遭って結局は捨てられる」というストーリー。ここから得られる教訓は・・・『金にまかせて若い女性と結婚しても 決してうまくいかない』というものです 作品の舞台となった19世紀において、それは極めて”常識的な”考えだったでしょうし、21世紀の現代においても通用する考えだと思います 「ちょっと待て 加藤茶のケースがあるじゃないか」というご仁もおいでになるかもしれません しかし、あれはあくまで”例外”です。彼に一般人以上の経済力があったことは誰も否定できないでしょう 歌の文句ではないけれど「愛があれば 歳の差なんて」なんて考えるのは無分別というものです。人はそれ幻想と呼びます