人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

入院5日目 / 佐藤正午「書くインタビュー4」を読む

2021年10月12日 18時13分00秒 | 日記

12日(火)。入院5日目を迎えました

昨日の主治医F先生によると、念のため14日に頭のCT検査で最終チェックして、退院日を決めたいとのことでした。もっとも抜糸が縫った約1週間後なので15日金曜日になりそうです。したがって退院は早くともその後になると思います。

栄養・水分補給の点滴が入りました。これで最後のようです。

朝食です。

     

入院中の病室は男性4人部屋です。看護師さんに何度も名前を呼ばれているので、お互いの名前は分かっています。しかし患者同士が会話を交わすことはありません。コロナもあるし。そんな中、昨日のお昼頃、看護師さんが、私の向かい側のベッドのAさんに「Aさん、急な話で申し訳ないんだけど、他の病室に移ってもらうことになりました」と声を掛けていました。いつも協力的に見えるAさんは「いいですよ〜」と快諾して引越していきました。出ていくということは誰か別の人が引越して来るのか?と思っていると、夕方になってご老人が入室してきました。この「人事異動」はどういう理由で行われたのかと興味が湧きましたが、夜から朝にかけてのご老人の様子を見て私なりの考えが浮かびました。それはイビキがすごいということです。前の部屋にいた時、同室者から「イビキがうるさくて眠れない。何とかしてくれ」という苦情が出て、そのために病室を移動することになったのではないか、ということです。本当のところは分かりませんが、やっと眠れるようになったのにまた眠れないようになってしまいました。他の同室者も同様だと思います。相部屋特有の問題ですが困ったものです

[追記]

新入患者を「ご老人」と書きましたが、その後の看護師さんとの会話から50歳ということが分かりました。見た目は私より歳上に見えましたが、人は外見では分からないものですね

         

午前中、リハビリのO先生と7階に行き長い廊下を4往復したり、外階段の上がり下がりをやり、心拍数の変化を確認しました。散歩の間、O先生が徳島県の出身なので、「徳島新聞は阿波踊りの主催者側なので、お祭りの期間中は新聞社に電話をかけても誰も出なかったですよ」と話すと、O先生は「今年もコロナ禍の影響で中止になったようです」と答えていました。その後14階に行って脳のCT検査をしました。いったい何回同じような検査をすれば良いのか、と思いますが、こちらは「まな板の鯉」なので何とも仕様がありません。まあちゃんと調べてもらった方が安心ですけど

昼食です。

     

午後、リハビリのT先生から記憶力を試すテストが出題されました。どうも忘却力が記憶力を上回っているようで良い成績は納められませんでした

入院時にお世話になった看護師のSさんとリハビリのO先生から、病室と同じフロアなら自由に歩いて差し支えないとお許しが出ました。また、「休憩コーナーに飲料用自動販売機があるが、利用するならお茶やスポーツドリンクなどにしてほしい」と言われました。「ビール🍺はないんですか?」と聞いたら、笑って叱られました

夕食です。

          

         

佐藤正午「書くインタビュー4」を読み終わりました。本書は作家・佐藤正午氏とフリーライター東根ユミさんとの直木賞受賞作「月の満ち欠け」を中心とする「小説の書き方」をめぐるメールのやり取りを収録したものです。

このシリーズを読んで思うのは、最初のうちは大作家に対し「正午さん」と呼びかけて「正午さんなんて気安く呼ぶな😡」と罵倒されたり、言葉じりを捉えられて「おまえ、喧嘩売ってんのか🤜」とまで難癖をつけられて、精神的に追い詰められて心の病いに陥っていた東根ユミさんが、懸命に努力して佐藤正午全作品制覇のうえ、必死に佐藤正午に立ち向かっていく姿が素晴らしい

そんな東根さんも相当なストレスからか、危うく切迫流産になりそうな危機を迎えます。私はてっきり東根さんは独身だとばかり思っていましたが、パートナーもいるし妊娠もしていることを初めて知りました。東根さんはプロ意識から佐藤正午氏には自分が抱えた危機的状況を伝えないで「書くインタビュー」を続けてきましたが、もうじき生まれそうという限界に達し、佐藤氏に「同情は不要ですが、産休、育休をください」と懇願します。しかし佐藤氏は「インタビュアーは東根さんでなくてもよい」として「さようなら東根さん」と突き放します。佐藤氏の態度は冷酷に見えますが、インタビューとはいえプロとプロの真剣勝負なのだから要求は受け入れられないということだと思います。それは佐藤氏の回答の中の「そもそも、楽できる書き仕事、そんなものはありません。これに尽きます。楽に書き飛ばした原稿なんてものはあり得ない」という言葉に凝縮されています。

結局、佐藤氏の担当編集者のオオキ氏が東根さんの代わりを務めることになります。私としては「根性の東根さん」にいつの日かカムバックして欲しいと思います。

ところで、東根さんからの質問に対する佐藤氏の回答は一筋縄にはいきません。たいていの場合、質問内容とは全く関係ない話から始まって、それが終わるとやっと「ここからが本題です」として質問への回答が始まります。この冗長とも言うべき回答の書き方に佐藤正午の魅力の一旦が表れています。しかし本題に入ったからといって油断は禁物です。「蛇足ですが〜」と冗長な文章が待ち受けています。まあ、これも佐藤正午らしい魅力の一つです。こういう文章を読むと佐藤正午という小説家が、いかに細かく言葉使いに目を向け、書くことに執念を燃やしているかが分かります。まさに「小説のプロ」を感じます🐯

コメント (4)
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