人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

入院8日目 → 明日退院へ / 中山七里著「護られなかった者たちへ」を読む

2021年10月15日 19時52分39秒 | 日記

15日(金)。入院8日目を迎えました。先週の金曜日に救急車でこの病院に搬送されてから、もう1週間が経ったのか!と時の流れの速さを感じます

昨夜は午後7時から東京オペラシティコンサートホールで、高関健指揮東京シティ・フィルの演奏でオール・ストラヴィンスキー・プログラムを聴く予定でしたが、残念ながら聴けませんでした

朝食です。食事でいつも気をつけているのはスプーンは使用せず箸で食べること、そして完食することです

     

朝食後、中山七里を区切りの良いところまで読んで、散歩に出ました。1300歩ほど歩いて戻った9時頃、主治医が来て抜糸をしてくれました。縫うといっても昔のように針と糸で縫い合わせるのではなく、ホチキスのような器具でパチンパチンと打ち込む方法なので、抜糸はそのホチキスの針を引き抜くことになります。5本の針を相当な力で引き抜くので痛みを感じますが、時間的にはほんの数分で終わりました

その後、主治医からM RIの検査結果は異常なしで、明日土曜日に退院しても良いと言われました。退院後に通院する必要もないとのことです。なお、肋骨の方のケアについては整形外科に通うべきかどうか後で伝えるとのことでした。こちらからは10時に退院したい旨を伝えました

浅草行きの特急列車が曳舟駅に停車中です。とにかく暇です

     

頭をしばらく洗っていないので、髪の毛がモジャモジャで気持ち悪かったのですが、看護師さんからお風呂に入っても良いと言われたので、午前中に休憩コーナー入口近くの風呂に入りました。頭部もシャンプーしましたが約1週間ぶりのお風呂はとても気持ちが良く、新しいパジャマに着替えたら気分がリフレッシュしました。健康な時は当たり前のことが本当に有り難く思えます

部屋に戻り、あとは昼食を待つばかり、と油断していたら、リハビリのO先生から「今からちょっといいですか?」と言われ、外階段の上がり下がりの訓練をやることになりました。昨日までと違い階段だけを2階から7階までを休まず何度か往復する訓練で、これはさすがにハードでした。今までで一番キツイ訓練でした。汗をかいたのは初めてです。リハビリはこれで最後であってほしいと思います

昼食です。

     

午後は歩くのはやめて中山七里を読んで過ごしました

         

中山七里著「護られなかった者たちへ」(宝島社文庫)を読み終わりました。中山七里は1961年、岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞し2010年にデビュー。以後「おやすみラフマニノフ」、「いつまでもショパン」、「もういちどベートーヴェン」などの作家家タイトルシリーズをはじめ数多くの作品を次々と発表、「中山七里は7人いる」と言われるほどの多作ベストセラー作家です

     

仙台市で他殺体が発見される。拘束したまま食料を与えられず餓死させるという残酷な殺害方法から、宮城県警捜査一課の刑事・笘篠誠一郎(とましのせいいちろう)は怨恨の線で捜査を始める。しかし被害者の青葉区役所福祉保健事務所保護第一課長・三雲忠勝は、人から恨まれるとは思えない聖人のような人物で、容疑者は一向に浮かばずにいた。捜査が暗礁に乗り上げるなか2人目の餓死死体が発見される。人格者として知られる城之内県議会議員だった。一方、事件の数日前に出所した模範囚の利根勝久は、8年前に起きたある出来事の関係者の行方を探っていた。笘篠は三雲と城之内が過去に塩釜福祉保健事務所で上司と部下の関係にあったことを突き止める。そして、知人老女の生活保護受給申請をめぐって利根が三雲と城之内を殴った挙句、その後福祉保健事務所に放火したかどで収監された事実を突き止める。当時、利根はヤクザ者との喧嘩で殺されそうなところを救ってくれた老女・遠島けいと、同じ長屋に住むカンちゃんと不思議なコミュニティを作りお互いに助け合って生活していた。しかし、利根が長期出張中にけいが生活保護を受けられず餓死してしまう。笘篠は利根がその時の復讐を果たすために2人を殺害したと考え、当時、塩釜の福祉保健事務所の所長だった上崎岳大も狙われる恐れがあるとして捜査を進める。

笘篠は上崎を狙うために仙台空港に忍び込んできた利根を遂に追い詰め逮捕するが、利根は殺したのは自分ではない、と言う。第3の殺人を止めるために来たと言う。利根の告白は真実なのか? 利根でなければ誰が殺したのか?・・・笘篠の前に意外な真実が待ち受けていた

     

 

中山七里には社会的なテーマを取り上げる作品が数多くありますが、本作は「生活保護」と「東日本大震災」を扱っています

「生活保護」に関しては死んだ三雲の部下・丸山菅生(まるやますがお)の次の言葉が福祉の現場の実情を物語っています。

「生活保護を必要としている住民の数に対して、予算があまりにも少な過ぎる。私たちの担当は相談者の訴えをそのまま申請するだけですが、三雲課長はその案件を取捨選択しなければなりません。酷く残酷な言い方になりますが、掬った指からこぼれ落ちる人は一定数存在する。でも、そのこぼれ落ちた人を受け止めるセーフティネットがない。案件を却下する度、課長は断腸の思いだったでしょう」

また、中山作品には必ずと言っていいほど人生訓めいた言葉が何気に散りばめられています。遠島けいが利根に語る言葉にこういうのがあります。

「厚意とか思いやりなんてのは、1対1でやり取りするもんじやないんだよ。それじゃあお中元やお歳暮と一緒じゃないか。あたしやカンちゃんにしてもらったことがうれしかったのなら、あんたも同じように見知らぬ他人に善行を施すのさ。そういうのが沢山重なって、世の中ってのはだんだん良くなっていくんだ」

こういう人ばかりだったら世の中はいつも平和だろうと思います

それにしても、流石はストーリーテラーの中山七里のミステリーです。ドンデン返しがあったかと思っていると、2度目の大ドンデン返しが待っています。映画化されているので、原作と比べて観るのも面白いかもしれません

         

入院最後の夕食です。ゆっくり味わっていただきました

     

夕方のスカイツリーです。これほど近くで観るスカイツリーとも明日でお別れです。殺風景な入院生活に彩りを与えてくれてありがとう。明日退院します🐯

 

          

コメント (2)
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