23日(土)。今日の朝日新聞朝刊によると、オランダの指揮者ベルナルト・ハイティンクが21日、ロンドンで死去しました(享年92歳)。アムステルダム生まれ。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を筆頭に、ロンドン・フィル、グラインドボーン音楽祭などで要職を務め、ベルリン・フィルやウィーン・フィルにもしばしば客演しました
残念ながら私は彼の指揮で生演奏を聴いたことがありませんが、彼がロンドン・フィルとアムステルダム・コンセルとヘボウ管弦楽団を指揮したショスタコーヴィチの「交響曲全集」(13枚組CD)は愛聴盤で、コンサートの予習の時は必ずこのCDを聴いています ハイティンクさんのご冥福をお祈りします
ということで、わが家に来てから今日で2478日目を迎え、大阪管区気象台は23日、近畿地方に冬の到来を告げる木枯らし1号が吹いたと発表した というニュースを見て 謎かけ遊びをするモコタロです
木枯らし1号とかけてなんと解く クラシック音楽と解く その心は アキが来ない
午後2時から東京芸術劇場でNHK交響楽団の「第1940回定期演奏会Cプログラム2日目」を聴きました コンサートを聴くのは9日間の入院を挟んで2週間ぶりですが、退院1週間目とうことで胸部のバンドをシャツの内側に巻いて出かけました
プログラムは①グリーグ「ペールギュント」組曲第1番 作品46、ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です
指揮はヘルベルト・ブロムシュテットです
午後2時からの本番に先立って、1時15分からCプログラムだけの室内楽演奏がありました ヴァイオリンの白井圭、大林修子、ヴィオラの佐々木亮によりマルティヌー「セレナーデ」が演奏されましたが、抒情的な第2楽章が印象に残りました
なお、白井氏によると、大林さんは12月いっぱいでN響を卒業するとのこと。隠れ大林ファンとしては寂しい限りです
ブロムシュテットは1927年スウェーデン人の両親のもとにアメリカのマサチューセッツ州スプリングフィールドで生まれました ストックホルム王立音楽院などで学び、1954年にストックホルム・フィルを指揮してデビュー。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団などの首席指揮者を歴任しました
N響との初共演は1981年で、1986年に名誉指揮者に就任しています
会場は9割以上は入っている模様です コロナ禍のもと、休憩なしの約1時間半のプログラミングが受けているのかもしれません
オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります。コンマスは白井圭です
1曲目はグリーグ「ペールギュント」組曲第1番 作品46です 「ペール・ギュント」はノルウェーの作家ヘンリク・イプセンが1867年に出版した全5幕から成る喜劇です
エドアルド・グリーグ(1843-1907)は1874年1月にイプセンから作曲を依頼され、1875年に完成しました
その後、グリーグは1888年に組曲として改編し(第1番)、1893年には組曲第2番を出版しました
「組曲第1番」は第1曲「朝」、第2曲「オーセの死」、第3曲「アニトラの踊り」、第4曲「山の王の宮殿で」の4曲から成ります
御年94歳のブロムシュテットが矍鑠たる足取りで指揮台に上がります 彼はタクトを持ちません。長年連れ添ったN響相手にはアイコン・タクトですべてが通じるのでしょう
第1曲は神田寛明のフルート、吉村結実のオーボエが清々しい朝の空気を醸し出します
第2曲「オーセの死」では弦楽器による弱音のアンサンブルが美しく響きます
第3曲「アニトラの踊り」に移る時、ブロムシュテットの顔が明るくパッと輝きました
そして、アラビア風の音楽が妖艶に演奏されました
第4曲「山の王の宮殿で」では、ゆったりしたテンポから次第に速度を上げていき畳みかけるクレッシェンドが堪りません
実に爽快な演奏でした
休憩時間はありませんが 楽団員全員がいったん舞台袖に引き上げます ステージ上の配置はそのままなので、おそらく立ちっぱなしで指揮をとるブロムシュテットの心身を休めるために時間をとったのだと思われます
プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1889年にわずか1か月で作曲、1890年2月2日にプラハで初演されました
第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります
ブロムシュテットの指揮で第1楽章が開始されます 冒頭の哀愁に満ちたメロディーが心に響きます。ここでもフルートが素晴らしい演奏を展開します
全体的にリズム感がとても良いと思います
第2楽章でもフルートをはじめオーボエ、クラリネット、ファゴットといった木管楽器群の演奏が冴えわたります
第3楽章は弦楽器の渾身の演奏により郷愁を誘うメロディーが奏でられます
この曲のハイライトと言ってもよい楽章です
間を置くことなく突入した第4楽章は、冒頭のトランペットによるファンファーレが空気を一変させます
次いで登場するチェロとヴィオラの演奏が素晴らしい
変奏に次ぐ変奏が展開し、最後に高速テンポのコーダで曲を閉じます
全曲を通じて感じたのは、N響の楽員全員がブロムシュテットの期待に応えるべく渾身の演奏を展開していたことです 終演後はカーテンコールが繰り返され、楽団員が舞台袖に引き上げた後もブロムシュテットが呼び戻され、スタンディング・オベーションに応えていました
蛇足ですが、下の写真はベルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるドヴォルザーク「交響曲第8番」のCD(1974年5月、ドレスデン・ルカ教会での録音)です 今から47年前、ブロムシュテット47歳の時の演奏です。若いですね