人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

阿部加奈子 ✕ 北川千紗 ✕ 新日本フィルでドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」「ヴァイオリン協奏曲」「交響曲第9番”新世界より”」を聴く ~ 2022都民芸術フェスティバル

2022年03月03日 07時03分34秒 | 日記

3日(木)。昨日の日経朝刊 政治・外交面に「ウクライナ  米兵器が支え 持ち運び型ミサイルが効力」という見出しの記事が載っていました 超略すると

「ロシア軍によるウクライナ国内での進軍が遅れている一因に、携行型の兵器の存在が指摘されている ウクライナ軍は米欧諸国から受け取った対戦車ミサイル「ジャベリン」などの小型武器を持って前線に展開し、ロシアの侵攻を抑えている ジャベリンは全長1.2メートル、射程2.5キロメートルの米国製の小型兵器。戦車の武甲を貫く威力を持ちながら、1人で持ち運びができる 元陸上幕僚長・岩田清文氏によると、ジャベリンはコンピューターが内蔵され、目標に向かって自律的に飛び、短期間の訓練で命中率を高めることができる

記事では、ドイツやポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアなども携行型ミサイルをウクライナに送ったことが紹介されています NATO加盟諸国はウクライナが加盟国ではないので、直接ロシア軍に攻撃を仕掛けることができないため、武器の供与によってウクライナ軍を支援しようとするわけですが、昨日の朝日朝刊の記事「在日ウクライナ大使館『兵士募集』」には驚きました 超略すると

「ロシアのウクライナ侵攻を受け、在日ウクライナ大使館が志願兵を募ると公式ツイッターに投稿している 林芳正外相は1日の記者会見で『ウクライナ全土に退避勧告を発しており、目的を問わず同国への渡航をやめて頂きたい』と述べた。同国のゼレンスキー大統領は2月27日、外国からの志願者で外国人部隊を編成すると発表。在日ウクライナ大使館は同日、大統領の呼びかけを日本語で投稿した。参加はボランティアで、自衛隊での活動など専門的な訓練経験を条件にしている。在日大使によると、約70人から志願が来ており、そのうち約50人が元自衛隊員という

ロシアとウクライナの軍事力の格差(ロシアが軍事費で10倍、現役兵数や戦闘車両で5倍)を考えると、ウクライナは最終的にはロシアの猛攻に耐えられないだろうと言われていますが、それだけに、外国からの人的資源の投入によって最後まで抵抗し持ちこたえたいと考えるのは理解が出来ます ロシアが攻撃を止めれば戦争は終わりますが、ウクライナが戦いを止めれば国が無くなるからです 外国人部隊に志願している人たちの志は尊いと思います しかし、彼らにも大切な家族がいるでしょう。ことはそう単純ではないと思いますが、いかがでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2609日目を迎え、スイス・ジュネーブで1日にあった国連人権理事会の会合で、ロシアのラブロフ外相のビデオ演説が流れる直前に、会場にいた外交官らが一斉に席を立った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ぼく悪くないもん プーチン親分が一人で仕切っているんだもん:ラブロフ君の独白

 

         

 

昨日、夕食に娘が勤務先の同僚から仕入れてきたカルビ肉を焼きました あとは「生野菜サラダ」と「卵スープ」です。カルビは柔らかくて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで「2022都民芸術フェスティバル」参加公演「新日本フィル ~ ドヴォルザークの一夜」を聴きました プログラムはドヴォルザーク①序曲「謝肉祭」、②ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53、③交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=北川千紗、指揮=阿部加奈子です

指揮者・阿部加奈子はオランダ在住。東京藝大作曲科を経て、パリ国立高等音楽院指揮科で学ぶ。指揮をファビオ・ルイージ他に師事。2024年9月からフランス・ドーム響音楽監督就任が決まっています

 

     

 

自席はセンターブロックG列です。会場は8割くらい埋まっているでしょうか

拍手の中、オケのメンバーが入場し配置に着きます 弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子。隣はOB山田容子さん復活です   ヴィオラのトップには藝大フィルハーモニア管 首席の安藤裕子が客演しています

1曲目はドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」作品92です    この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)が1891年3月から翌年にかけて作曲した3つの演奏会用序曲の一つです(第1曲「自然の王国」、第2曲「謝肉祭」、第3曲「オセロ」)

阿部の指揮で演奏に入ります 冒頭からアクセル全開のアレグロが炸裂します スピード感あふれる演奏で謝肉祭の賑わいを活写、一気に聴衆の心を掴みます

2曲目はドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53です この曲は1879年7月から9月にかけて第1稿を、巨匠ヴァイオリニストのヨアヒムのアドヴァイスを受けて1880年に第2稿を、1882年に大幅な改定を加えて最終稿を完成、同年11月にヨアヒムの独奏で試演が行われました その後、1883年10月14日にプラハでチェコ出身のオンドジーチェクの独奏により公開初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ジョコーソ、マ・ノン・トロッポ」の3楽章からなります (※マ・ノン・トロッポ = しかし、はなはだしくなく)

ソリストの北川千紗は2020年 第89回日本音楽コンクール第1位、2021年 第3回ウラディーミル・スピヴァコフ国際ヴァイオリンコンクール第2位ほか入賞歴多数    現在桐朋学園大学大学院在学中です

ブルーの落ち着いた衣装を身にまとった北川千紗が入場し、ステージ中央でスタンバイ、第1楽章がオーケストラの決然とした演奏で開始されます 続いて北川のヴァイオリンが力強く入ってきます ヴィブラートがとても綺麗で、よく歌うヴァイオリンです 切れ目なく続く第2楽章は独奏ヴァイオリンのロマンティシズムの極致をいく演奏に魅了されます 名器ガダニー二が美しく響きます 第3楽章では独奏ヴァイオリンとオケとの丁々発止のやり取りが素晴らしく、北川が楽しんで演奏する姿が印象的でした

満場の拍手に、北川はバッハの無伴奏ヴァイオリン曲を静かに演奏、熱くなった聴衆のクールダウンを図りました

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』」です ドヴォルザークは1892年に家族を伴って渡米し、ニューヨークのナショナル音楽院の初代院長に就任しました この曲は1893年に作曲しましたが、中間の2つの楽章はアメリカの先住民の精神的英雄を扱った、ロングフェローの長編叙事詩「ハイアワサの歌」(1855)から着想を得ています 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

演奏に先立って、指揮者の阿部加奈子がマイクを持って登場し、聴衆に語りかけました

「現在のウクライナ情勢に、皆さんも心を痛めていると思います 戦争は始まってしまうと、死ななくてもいい人が死んでいきます 何の罪もない人々が理不尽にも殺されていきます こうしたことが許されてよいわけがありません ドヴォルザークは故郷のボヘミアを離れニューヨークの地に赴いて、そこで新世界交響曲を書きましたが、この曲には故郷ボヘミアへの郷愁が込められています この曲の演奏を通じてウクライナの人々に祈りを捧げたいと思います

聴衆から「想いは同じ」の意味を込めた大きな拍手が送られました

阿部が再登場し第1楽章の演奏に入りますが、かなり遅いテンポで開始されます 噛んで含めるような演奏と言えばよいでしょうか しかし、アレグロに移ると一気にテンポアップし、力強い演奏が続きます とくに終盤の畳みかけは凄まじいものがありました 第2楽章は「家路」のメロディーでお馴染みのラルゴです 森明子のイングリッシュホルンの独奏が素晴らしい フルートの野津雄太、クラリネットのマルコス・ペレス・ミランダの演奏も冴えていますが、この楽章はイングリッシュホルンが「美味しいところ」を全部かっさらっていきます 第3楽章で印象に残ったのはトライアングルの音の大きさとティンパニの強打です これほどトライアングルが存在感を示した演奏を聴いたのは初めてです また、ティンパニの強打もハンパありませんでした 第4楽章の冒頭は機関車ヲタクのドヴォルザークの面目躍如といったところです まさに機関車が動き出すときの力強い推進力が音楽として表れています 阿部は高速テンポでぐんぐん機関車を加速させていきます。実に爽快な演奏でした

阿部 ✕ 新日本フィルはアンコールにスメタナの歌劇「売られた花嫁」序曲を華々しく演奏、大きな拍手でコンサートを締めくくりました

 

     

コメント (2)
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