人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

内藤博文著「世界史で深まるクラシックの名曲」を読む ~ 興味深いエピソードや知識が満載の クラシック好きも入門者も楽しめる”読んで ためになる本”

2022年03月23日 07時21分59秒 | 日記

23日(水)。つい先日、都内で桜 の開花宣言が出たばかりなのに、昨日は雪が降ってきたりして、ちょっと ゆき過ぎ ではないかと思いました   先日の福島県沖地震で複数の火力発電が停止したうえ、気温低下で暖房需要が上がり電力不足が予想されることから、政府が「電力需給逼迫警報」を発令したので、昼間は暖房を点けず厚着して一日中ベッドに横になって読書をして過ごしました

新日本フィルから「パトロネージュ会員」継続依頼文書が届いたので、午後8時過ぎにホームページから「維持会員」として2口登録しました すると、パトロネージュ部の登原さんから早々とお礼のメールが届きました 要するに彼女は残業しているわけです 個人として出来ることは限られますが、新型コロナ禍がまだ終息していない中、運営が容易でないオーケストラを支えたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2629日目を迎え、ロシアの裁判所は21日、SNS(交流サイト)のフェイスブックやインスタグラムを運営する米メタを過激派組織に認定するとの判断を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアは「三権分立」が存在しないプーチン独裁政権だということが良く分かるな

 

         

 

昨日は一日中寒かったので「炒めにんにく醤油鍋」にしました 材料は豚バラ肉、キャベツ、シメジ、もやし、長ネギ、ニラ、豆腐です。〆はラーメンにしました

 

     

     

 

         

 

内藤博文著「世界史で深まるクラシックの名曲」(青春新書)を読み終わりました 内藤博文氏は1961年生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、現在は主に歴史ライターとして西洋史から東アジア史、芸術、宗教まで広い分野にわたり執筆活動を展開しています

 

     

 

著者は「はじめに」の中で次のように書いています

「モーツアルトとフランス革命の関係に限らず、クラシック音楽と世界史は深く結びついている ベートーヴェンを語るとき、皇帝ナポレオンは外せないし、ワーグナーを語るなら、バイエルンの『狂王』ルートヴィヒ2世やアドルフ・ヒトラーが顔を出す。ショスタコーヴィチの音楽にハマるなら、おのずとソ連の独裁者スターリンの話が出てくるし、バッハの音楽を知っていくと、そこにプロイセンのフリードリヒ2世(大王)の姿が見えてくる クラシック音楽は、世界史から影響を受けるのみならず、世界史を動かしてもいる たとえば、1829年に初演されたロッシーニのオペラ『ウィリアム・テル』は、1830年のパリ7月革命(フランス7月革命)の導火線となった ヴェルディのオペラはイタリアの独立と統一を煽り続けもした。ワーグナーのオペラ『ローエングリン』を聞いてしまったがために、ヒトラーは荒廃したドイツで権力を握ろうとした クラシック音楽、とくに傑作オペラは、権力者から市井の民までをも突き動かす情動を孕む。そして彼らに一国の命運を変転させるほどの巨大なエナジーを注ぎ続けてきたのである

本書は作曲家と彼らにまつわるエピソードなどの別に、次の20章から構成されています

1.バッハと狡猾なるフリードリヒ2世 ~ 最高傑作「マタイ受難曲」が1世紀以上も演奏されなかった理由

2.ヘンデルとイギリス・ハノーヴァー朝の始動 ~ ヘンデルのオペラがイギリスで大成功を収めた裏側

3.モーツアルトとフランス革命の勃発 ~ 二重の意味で革命的だったオペラ「フィガロの結婚」

4.ハイドンと将軍ナポレオンの台頭 ~ 音楽が世の中に大きな力を持つことを証明した「辺境の人」

5.ベートーヴェンと皇帝ナポレオンの暴風 ~ なぜ交響曲第9番は「合唱付き」となったのか

6.ロッシーニとパリ7月革命の衝撃 ~ ナポレオン没落後のヨーロッパを熱狂させたロッシーニ・クレッシェンド

7.ウェーバーとプロイセンの充実 ~ プロイセン(ドイツ)の大国化を後押しした「魔弾の射手」

8.ショパンとポーランドの亡国 ~ パリ7月革命がショパンの「革命エチュード」を生んだ

9.メンデルスゾーンと国民国家の目覚め ~ 「器楽音楽王国・ドイツ」の栄光を構築しようとした神童

10.ヨハン・シュトラウス父子とパリ2月革命の余波 ~ 「ラデツキー行進曲」が打ち消した革命と独立の世界

11.ヴェルディとイタリア統一運動 ~ 「ナブッコ」がイタリアの第2の国歌のようになった経緯

12.オッフェンバックと皇帝ナポレオン3世の帝政 ~ 第2帝政下、狂騒のパリで花開いたオペレッタ

13.ワーグナーと統一ドイツの誕生 ~ 楽劇王がバイロイトに祝祭劇場を建てた真の目的

14.ブラームスとウィーンの黄昏 ~ なぜブラームスは統一ドイツから距離を置いたのか

15.チャイコフスキーと皇帝アレクサンドル2世の改革 ~ チャイコフスキーが「悲愴」で予感していたロシアの混沌

16.ドヴォルザークとヨーロッパ各地の独立運動 ~ クラシック入門の定番曲「新世界より」に秘められた二重性

17.プッチーニとグローバル化する世界 ~ 「蝶々夫人」「トゥーランドット」・・・異国文化を採り入れた背景

18.ストラヴィンスキーと第1次世界大戦前夜 ~ ヨーロッパの栄光の時代の終わりを告げていた「春の祭典」

19.ショスタコーヴィチと全体主義の時代 ~ スターリンのために作曲された?「革命と勝利の交響曲」

20.カラヤンと東西冷戦 ~ 資本主義社会の顔として、作曲家よりも有名になった指揮者

上記の通り、最後のカラヤンだけが作曲家ではなく指揮者ですが、著者は20世紀の世界音楽史の中でヘルベルト・フォン・カラヤンの存在を無視することは出来なかったのでしょう

こうして見出しを見るだけでも、各作曲家がかかわった出来事や作品が頭に思い浮かびますが、初めて気づかされることも少なくありませんでした たとえば、ベートーヴェンとナポレオンの関係は、ベートーヴェンが「交響曲第3番”英雄”」をナポレオンに献呈しようとしたものの、彼が皇帝に即位したことから取り止めたことはよく知られています。本作ではベートーヴェンが1770年の生まれであるのに対し、ナポレオンは1769年生まれと1歳しか違わないことが指摘されています つまり2人は全く同じ時代を生きていたわけで、ベートーヴェンがナポレオンを強く意識していた理由が良く分かります

また、チェコではドヴォルザークよりもスメタナの方が高名だと言われているそうですが、その理由も納得しました ドヴォルザークは「交響曲第9番”新世界より”」「チェロ協奏曲」「弦楽四重奏曲第12番”アメリカ”」「スラブ舞曲集」などで世界的にお馴染みの作曲家です 一方、同じチェコの作曲家スメタナは連作交響詩「わが祖国」の第2曲「モルダウ」やオペラ「売られた花嫁」くらいしか知られていません 著者はチェコ国内ではスメタナの方が支持されているが、その理由は、スメタナの方が愛国の作曲家だからだと指摘しています 世界では「モルダウ」しか知らなくても、チェコの国民は「わが祖国」全6曲を愛している。それはチェコ人の愛国心を鼓舞し、チェコに誇りを抱かせる音楽が詰まっているからだといいます 一方、チェコ人にとってドヴォルザークがもどかしいのは、その全盛期がアメリカ時代であることだ、と指摘しています たしかに、新世界交響曲にしても、チェロ協奏曲にしても、弦楽四重奏曲第12番にしても、すべて米ニューヨークのナショナル音楽院の院長時代に作曲されました

プッチーニのオペラについての指摘は「なるほどね」と思いました それは「プッチーニの傑作オペラの多くはイタリアを舞台にしていない たしかに『トスカ』の舞台はイタリアのローマだが、他の傑作オペラはイタリアどころか、ヨーロッパからも離れていく。『マノン・レスコー』の第3幕の舞台は、フランスの港町ル・アーブル港で、第4幕の恋人たちが朽ち果てていく舞台となるのが新大陸のニューオーリンズの荒野である 以後も、『蝶々夫人』の舞台は日本の長崎、『西部の娘』はカリフォルニアで、遺作の『トゥーランドット』は中国の北京である プッチーニは異国に興味を感じた。そこから、イタリア・オペラの世界を全世界に広げたのだ」という指摘です

上記に限らず、興味深いエピソードや知識が満載のクラシック好きも入門者も楽しめる「読んで ためになる本」です   広くお薦めします

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