7日(月)。わが家に来てから今日で2613日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は西側が行っている制裁について「宣戦布告のようなもの」として、相次いで経済制裁を実施している西欧諸国などを牽制した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ロシアは宣戦布告どころか ウクライナに侵攻して戦争を仕掛けてるんじゃないか!
昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「第48回モーツアルト・マチネ 疾風怒濤」を聴きました プログラムはモーツアルト①交響曲第25番 ト短調 K.183、②グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調 K.617、③交響曲第29番 イ長調 K.201です 演奏は②のグラスハーモニカ=大橋エリ、フルート=相澤政宏、ヴィオラ=西村眞紀、チェロ=伊藤文嗣、オーボエ=荒木奏美、管弦楽=東京交響楽団、指揮=井上道義です
オケは8型の小編成で、弦は左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは小林壱成です
1曲目はモーツアルト「交響曲第25番 ト短調 K.183」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1773年=17歳の時に作曲しました モーツアルトはケッヘル番号の付いていない作品を含めて全部で約50曲の交響曲を作曲しましたが、そのうち短調の作品はこの第25番と第40番の2曲のみで、しかも両方とも「ト短調」です 第40番に対して第25番は規模が小さいところから「小ト短調交響曲」と呼ばれることもあります 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります
井上の指揮で第1楽章がシンコペーションで力強く開始されます まさに「疾風怒濤」の激しい音楽です 17歳のモーツアルトの激しい感情の高まりを聴くようです 「疾風怒濤」とは18世紀後半に文学界で起こった運動で、啓蒙思想に対する反動により 人間の自然な感情の表現を追求する運動ですが、それが音楽界にも影響を及ぼしたものです この冒頭の音楽を聴くと思い出すのが、天才モーツアルトに対するサリエリの嫉妬をテーマにした映画「アマデウス」です ピーター・シェーファーの戯曲をミロス・フォアマンが映画化した作品ですが、これ以外の選曲はない、と思えるほどこの映画の幕開けに相応しい音楽だと思います この楽章ではオーボエ主席・荒木奏美の演奏が際立っていました 第2楽章ではファゴット首席の福士マリ子の演奏が素晴らしかった 第3楽章では中間部におけるオーボエとファゴットのアンサンブルが冴えていました 第4楽章は、再び「疾風怒濤」の激しい音楽が繰り広げられました
舞台上の配置替えの間、井上氏がマイクを持って登場しトークを始めました
「モーツアルトは、この曲を17歳で作曲したんですよ、皆さん どうですか、この曲の落ち着きの無さというか、激しさは 17歳といえば恋をしたとか、振られちゃったとか、家出したくなったとか、精神的に不安定な時期ですよね でも、モーツアルトはこんなに素晴らしい曲を書いてしまった。天才ですね さて、次の曲は珍しいグラスハーモニカの曲です 40年くらい前に京都で取り上げたことがありますが、当時は演奏者がいなかったのでチェレスタで演奏しました 今回は大橋さんを見つけちゃったんですよ 日本で唯一のプロのグラスハーモニカの演奏家です やっと夢が叶います。お楽しみください」
ということで、2曲目は「グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調 K.617」です この曲はモーツアルトが最晩年の1791年に、グラスハーモニカ奏者マリアンネ・キルヒゲスナーのために作曲、同年6月10日にウィーンのブルク劇場で彼女の演奏で初演されました 曲は単一楽章ですが、流れとしてはアダージョ ~ アレグレットという構成になっています 佐野旭司氏のプログラムノートによると、「グラスハーモニカとは、1760年頃にアメリカの物理学者ベンジャミン・フランクリンが、イギリス滞在中に発明した楽器」とのこと ベンジャミン・フランクリンと言えば、凧を揚げて雷が電気であることを発見したことで有名な人ですね これは意外でした
4人の演奏者が配置に着きます グラスハーモニカの大橋エリを中心に、下手にフルート・相澤政宏、ヴィオラ・西村眞紀、上手にチェロ・伊藤文嗣、オーボエ・荒木奏美がスタンバイします 大橋エリの前には ガラス製のハーモニカが、ではなくて、水の入った大小様々なワイングラスのようなグラスが10数個並べられています 彼女はグラスの縁を指で擦って音を出します
指揮者なしで演奏に入ります グラスハーモニカの音は繊細そのものです。4人の奏者はグラスハーモニカの音をかき消さないように抑え気味で演奏します 大橋エリが何本の指を使って演奏しているのか分かりませんが、実に鮮やかに大小様々なグラスを選んでは擦り、美しくも儚いメロディーを紡いでいきます 天にも届きそうな純粋な音楽を聴きながら、まさかモーツアルトはこの曲を作った半年後にこの世を去るとは思ってもみなかっただろうな、と想像しました そして、まさか私は生きているうちに この曲が生で聴けるとは思ってもみませんでした
ところで、井上氏が「家でグラスハーモニカを作って音を出してみては?」と挑発していたので、夕食後にNetで「グラスハーモニカの鳴らし方」を検索してトライしてみました ①まずワイングラスと手指を洗剤でよく洗い油を落とす。②ワイングラスに水を半分位入れる。③グラスの脚の部分を左手で押さえて固定し、指を水で濡らしてグラスの縁を軽く擦る・・と、見事に音が全く出ません 何度か試してみましたが結果は同じでした おらの指は音痴か なんでどーしておせーて
最後の曲はモーツアルト「交響曲第29番 イ長調 K.201」です この曲はモーツアルトが1774年=18歳の時に作曲しました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「アレグロ・コン・スピーリト」の4楽章から成ります
井上の指揮で演奏に入ります 第25番の半年後に作曲された作品ですが、短調と長調の違いもあって曲想がまったく異なります 全体的に何と穏やかなメロディーでしょうか 井上 ✕ 東響は終始 軽快なテンポで演奏を展開しました
カーテンコールが繰り返され、最後に井上は舞台の出入口でバレリーナのように1本脚のターンを3回繰り返して引き上げていきました 審査員の皆さん、採点をお願いします