人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

林美智子プロデュース「ドン・ジョヴァンニ」を観る ~ アンサンブルだけで構成されたオペラ公演:第一生命ホール「室内楽ホール de オペラ」

2022年03月20日 07時04分59秒 | 日記

20日(日)。わが家に来てから今日で2626日目を迎え、ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合してから8年を記念した集会が18日 モスクワで開かれ、大観衆の前でプーチン大統領は ロシア系住民を大量虐殺から解放するためにウクライナでの「作戦」が必要だと改めて侵攻の正当性を訴えたが、中継した国営テレビ番組では演説途中で別の映像に突然切り替わる一幕があった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     映像が突然切り替わるなど普通はあり得ない  裏で反乱があったと思うのが自然だ

 

         

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「室内楽ホールホール de オペラ」シリーズ、「林美智子の『ドン・ジョヴァン二』」を観ました この公演は2016年3月の「コジ・ファン・トゥッテ」、2018年3月の「フィガロの結婚」に続く林美智子セルフ・プロデュースによるモーツアルトの「アンサンブル・オペラ・シリーズ」第3弾です 過去の2作とも観ましたが愉しかったので今回もチケットを取りました

出演はドン・ジョヴァン二=黒田博、ドンナ・エルヴィーラ=林美智子、ドンナ・アンナ=澤畑恵美、レポレッロ=池田直樹、騎士長=妻屋秀和、後藤春馬、山田大智(3人)、ドン・オッターヴォオ=望月哲也、ツェルリーナ=鵜木絵里、マゼット=加来徹、ピアノ=河原忠之です

 

     

 

自席は1階6列12番、左ブロック右通路側です。会場は7割くらい入っているでしょうか

ステージ後方上部にはスクリーンが設置され、字幕スーパーが縦書きで表示されるようになっています ステージ上は左奥にグランドピアノが置かれ、中央には椅子が5脚置かれているだけのシンプルな舞台です。客席は前列から2~3列目までは演出上空席になっています

本公演はイタリア語で歌われ、レチタティーヴォ(セリフ部分)は日本語で語られます

河原のピアノで序曲が最強音で奏でられますが、ど迫力でした そしてレポレッロ(池田直樹)が登場し「夜も昼も休む間もなく」とこぼしていると、ドンナ・アンナ(澤畑恵美)とドン・ジョヴァンニ(黒田博)が登場し言い争いが始まります 私はこの三重唱が大好きです 伴奏がオケだろうがピアノだろうが関係ありません。3人とも素晴らしい歌唱でした その後、ドンナ・アンナとドン・オッターヴィオ(望月哲也)の二重唱「行って、無慈悲な人」となり、ツェルリーナ(鵜木絵里)とマゼット(加来徹)の二重唱「恋を楽しむ乙女たちよ」が続きます そしてドン・ジョヴァンニとツェルリーナによる有名な二重唱「お手をどうぞ」が歌われます その後、ドンナ・エルヴィーラ(林美智子)が現れ「信用してはいけません、気の毒な方」を歌いドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオ、ドン・ジョバン二による四重唱となり、マゼット、ツェルリーナ、レポレッロが加わり第1幕のフィナーレを迎えます 林美智子、望月哲也、鵜木絵里、加来徹もそれぞれの役柄がピッタリで、素晴らしい歌唱力です

このように、本公演はソロのアリアがなく二重唱、三重唱、四重唱などアンサンブルのみで構成されています したがってレポレッロの「カタログの歌」もありません しかし、アンサンブルだけなのに、何の違和感もなく「ドン・ジョヴァンニ」が楽しめます いかにモーツアルトのオペラではアンサンブルが重要な役割を果たしているかが分かります

本公演ではなぜか騎士長が3人(妻屋秀和、後藤春馬、山田大智)出てきますが、「三位一体」のメインはバスの妻屋秀和です 第2幕終盤でドン・ジョヴァンニに「悔い改めよ」と迫る歌唱は芸術選奨文部科学大臣賞ものでした

 

     

 

可笑しかったのは、ツェルリーナ(鵜木絵里)とマゼット(加来徹)のコンビです 他の出演者が標準語で話しているのに、なぜかこの2人だけは博多弁で話していて、ツェルリーナがドン・ジョヴァン二に誘惑されそうになったシーンでは、マゼット「やっぱり、あん男となんかあったんじゃなかと?」、ツェルリーナ「なんもなかばい!」という感じです 鵜木絵里は「魔笛」のパパゲーナとか「コジ・ファン・トゥッテ」のデスピーナのようなコミカルな役柄は「右に出る者はいない」ほど”はまり役”ですが、このツェルリーナもピッタリです ダンスのシーンではツイストを踊っていましたが、それって60年代の踊りですばい。絵里さん、そんな古い人じゃなかとでしょ また、加来徹はバッハ・コレギウム・ジャパンでの真面目なバリトン歌手の一方で、こうしたコミカルな役も真面目にこなすイケメンです 真面目にやればやるほど可笑しか~

 

     

 

最初から最後まで一人でオーケストラの役割を果たしたピアノの河原忠之氏に大きな拍手が送られました 最後に、本公演のプロデューサーとして日本語セリフ台本を書き、演出を務めながら自らドンナ・エルヴィーラを歌った林美智子さんに満場の拍手が送られました ドン・ジョヴァンニに変装したレポレッロとドンナ・エルヴィーラが暗闇でデートするシーンで、舞台下にいるドン・ジョヴァンニに「暗闇でしか見えぬものがある 暗闇でしか聞こえぬ歌がある」と言わせたところは聴衆にバカ受けでした

今回も期待を裏切らない愉しい公演でした 本公演は21日(月・祝)午後2時からの部もあります 第一生命ホールにカムカムエブリバディ

 

     

コメント (2)
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