人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでヴェルディ「椿姫」初日公演を観る ~ 中村恵理にブラボー! / 「ウクライナ応援コンサート」本日5時半から池袋西口公園「グローバルリング」で開催

2022年03月11日 06時48分11秒 | 日記

11日(金)。「グローバルリング」のホームページによると、本日午後5時半から6時半まで池袋駅西口広場の野外劇場「グローバルリング  シアター」で「ウクライナ応援コンサート」が開かれます プログラムは①ラヴェル「ボレロ」、②シベリウス:交響詩「フィンランディア」、③アイルランド民謡「ダニーボーイ(ロンドンデリーの歌)」です 演奏は小林研一郎指揮「コバケンとその仲間たちオーケストラ」です    入場無料・全席立見とのことです ①と②ではロシア軍と闘うウクライナへの応援の意味を込めて、③では一方的に仕掛けられた戦争によって不本意な死を遂げたウクライナ国民へのレクイエムとして、さらに 福島県出身のコバケンとしては、11年前の今日 東北地方を襲った東日本大震災で犠牲になった人たちへの哀悼の意味を込めて演奏すると思います 今回のコンサートの開催は、ハンガリーやチェコで長年指揮活動を展開し現地から大きな評価を得てきたコバケンならではの俊敏な行動だと思います オーケストラのメンバーは在京オケの楽団員やフリーランスの人たちだと思いますが、指揮者に人望がなければ演奏者は集まりません さすがはコバケンです

私は今夜 東京オペラシティコンサートホールで、東京フィルの定期演奏会(スメタナ「わが祖国」)を聴くので 池袋に行けないのが残念です

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2617日目を迎え、国際ハッカー集団「アノニマス」が ロシア政府が報道規制を敷き、ウクライナ侵攻について国民に正確に伝えていないことに抗議してロシアのテレビをハッキングし、本来の映像に差し替えてロシア軍のウクライナでの戦闘の様子などを数十秒間流した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     普段からこういうことにハッキング技術を生かしていれば世界から好かれるのにな

 

         

 

昨日、夕食に「牛肉のしぐれ煮」「生野菜とアボカドのサラダ」「豆腐と油揚げの味噌汁」を作りました しぐれ煮は若干煮すぎて肉が固くなってしまいました。次回の反省材料にします

 

     

 

         

 

昨夕、新国立劇場「オペラパレス」でヴェルディ「椿姫」の初日公演を観ました 出演はヴィオレッタ=中村恵理、アルフレード=マッテオ・デソーレ、ジェルモン=ケジム・ミシュケタ、フローラ=加賀ひとみ、ガストン子爵=金山京介、ドゥフォール男爵=成田博之、ドビニー侯爵=与那城敬、医師グランヴィル=久保田真澄、アンニーナ=森山京子、ジュゼッペ=中川裕一、フローラの召使=上野裕之。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=アンドリー・ユルケヴィチ、演出=ヴァンサン・ブサールです

なお、ヴィオレッタは当初、アニタ・ハルティヒが歌う予定でしたが、「直前のスケジュール及び入国制限(入国後の待機義務)により十分なリハーサル期間を確保できない」ことから降板になり、代わりに中村理恵が出演することになりました 中村恵理は前作「蝶々夫人」に続いて2公演連続でタイトルロールを歌うことになります

 

     

 

オペラ「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813‐1901)がアレクサンドル・デュマ・フィスの原作「椿姫」によるフランチェスコ・マリア・ピアーヴェの台本に基づいて1853年に作曲、同年ヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演されました

物語の舞台は19世紀半ばのパリ。高級娼婦ヴィオレッタは、富豪の息子アルフレードからの求愛にためらいながらも、真しな愛に心を開く 2人はパリ郊外で一緒に暮らすが、アルフレードの父ジェルモンがヴィオレッタを訪れ、自分の娘の縁談のためにも2人の関係を終わらせるように頼む ヴィオレッタは涙を呑んで身を引く これを裏切りと捉えたアルフレードは夜会で彼女を罵倒するが、やがて誤解と分かった時はすでに遅く、ヴィオレッタは病床で愛するアルフレードの腕に抱かれ息絶える

 

     

 

私が新国立オペラの「椿姫」を観るのは2002年、2004年、2008年、2011年、2015年、2017年、2019年に続いて今回が8度目です そのうちヴァンサン・ブサールの演出で観るのは4度目です

会場は9割近く入っているでしょうか。良く入りました

アンドリー・ユルケヴィチの指揮でヴィオレッタの儚い運命を暗示するかのような前奏曲が演奏されます 数あるオペラの前奏曲や序曲の中でもこれほど悲しい前奏曲はないと思います と思っていると、一転、夜会の開幕を告げる明るく華やかな音楽が奏でられ、有名な「乾杯の歌」になだれ込みます この辺の音楽運びはヴェルディならではです

今回の公演の最大の立役者はタイトルロールを歌い演じた中村恵理です 大阪音楽大学卒、同大学院修了。新国立オペラ研修所第5期修了。2008年より英国ロイヤルオペラに在籍し、09年にはアンナ・ネトレプコの代役として「カプレーティ家とモンテッキ家」ジュリエッタに出演し成功を収めました 2010年から16年までバイエルン州立歌劇場と専属歌手契約を結び、「フィガロの結婚」スザンナ、「魔笛」パミーナなどに出演。11年にはベルリン・ドイツ・オペラに「トゥーランドット」リューでデビュー 16年には「チェネレントラ」クロリンダでウィーン国立歌劇場にデビューを果たしています

第1幕のアリア「ああ、そはかの人か ~ 花から花へ」、第2幕でのジェルモンとの長大な二重唱、第3幕のシェーナ「さようなら、過ぎた日よ」をはじめ、高音から低音まで、強音から弱音まで、完璧なコントロールのもと、ベルカントで聴衆を魅了しました ほとんどヴィオレッタに成り切っていたと言っても過言ではありません まさに世界に通用するソプラノ歌手です

アルフレードを歌ったマッテオ・デソーレはイタリア・サッサリ出身のテノールですが、後半にいくにしたがって声がよく伸びるようになりました

素晴らしかったのはジェルモンを歌ったゲジム・ミシュケタです 1982年アルバニア生まれのバリトンですが、威厳のある落ち着いた歌唱で、存在感が抜群でした 特に第2幕でのヴィオレッタとの二重唱、そしてアリア「プロヴァンスの海と陸」はバリトンの魅力が十二分に発揮された素晴らしい歌唱でした

他の歌手陣も健闘しましたが、今回は上記の3人に尽きます

特筆すべきは新国立劇場合唱団の迫力のある合唱です さらに、アンドリー・ユルケヴィチ ✕ 東京交響楽団(コンマス:グレブ・ニキティン)は歌手に寄り添いつつ、時にオケ自らベルカントを奏でていました

 

     

 

演出で、何度見ても分からないのは第2幕のパリ郊外の田舎家のシーンで、空に浮かんでいる白い傘です いったい何を象徴しているのか、さっぱり分かりません あれがアンブレラなら、折り畳み傘になったら半ブレラなのか、などと余計なことを考えてしまいました

一方、4度目に観て今回初めて気が付いたことがあります それは全ての幕でステージ上に置かれているピアノの意味です ヴァンサン・ブサールの「プロダクション・ノート」によると、舞台上に置かれたピアノは19世紀半ばに実際に使われていたものだそうですが、第1幕ではシャンパンを置くテーブルとして、第2幕では手紙を書くデスクとして使われていました ところが、第3幕になると病身のヴィオレッタがピアノの上に横たわって寝ているのです さらにヴィオレッタと小間使いのアンニーナや医師グランヴィルの間には薄い膜が張られていて、まるでお互いが異次元にいるような演出になっているのです その時、ハタと気が付きました。「そうか、第3幕ではヴィオレッタはすでに死の世界にいて、ピアノは棺桶を象徴しているのだな」と これはあくまでも個人の解釈ですが

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されます いつもなら3回位で一旦幕が下りるのですが、この日は5回まで下りませんでした 代役を見事に務め上げた中村恵理をはじめとする歌手陣、大健闘の合唱団に大きな拍手が送られました さらにウクライナ出身の指揮者アンドリー・ユルケヴィチ氏には、東響をまとめ上げ素晴らしい演奏を展開したことに対する賞賛の拍手と、ロシアの侵攻により苦境に立たされている故郷ウクライナに対する応援を込めた熱い拍手が送られました

かくして、「椿姫」初日公演は成功裏に終わりました

コメント (2)
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